世界最大CO2排出量である中国の脱炭素化が加速!その取り組みとは?

中国のCO2排出量は世界最大です。その背景にあるのが2000代の急速な経済成長と石炭消費量の多さです。経済的に大きく成長した中国は、今脱炭素に向け水素開発投資やEVの普及拡大など本格的に取り組んでいます。この記事では、脱炭素への中国の取り組みに関心のある法人の皆さまが知っておくべき、中国の脱炭素政策やCO2排出量の現状などについてご紹介します。

目次

  1. 中国のCO2排出量はどのくらい?

  2. 脱炭素に向け中国はどのように動くのか

  3. CO2世界最大排出量の中国での脱炭素が加速

  4. まとめ:中国も脱炭素へ!企業でも脱炭素の取り組みを始めよう。

1. 中国のCO2排出量はどのくらい?

中国は世界最大のCO2排出量国と言われていますが、どのくらい排出しているのでしょうか。世界各国と比較したCO2排出量状況や中国でCO2排出量が多い原因についてご紹介します。

世界各国のCO2排出量状況

2018年度の世界のCO2排出量の合計は約335億トンで、CO2排出量が多い国が占める割合は以下の通りです。

  • 中国 28.4%

  • アメリカ 14.7%

  • インド 6.9%

  • ロシア 4.7% 

  • 日本 3.2%

  • ドイツ 2.1%

  • 韓国 1.8%

世界の二酸化炭素排出量を表した画像

一方で中国のCO2排出量は世界1位ですが、1人あたりの排出量では世界7位です。

  • アメリカ 15.1t/人

  • 韓国 11.7t/人

  • ロシア 11.0t/人

  • 日本 8.5t/人

  • ドイツ 8.4t/人

  • 中国 6.8t/人

  • インド 1.7t/人

各国の一人当たりが出している二酸化炭素の量を表した画像

出典:JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター『データで見る温室効果ガス排出量(世界)』

中国のCO2排出量が多い原因

中国は、経済成長に伴いCO2排出量が急激な伸びを見せています。2000年代前半からCO2排出量が急増しており、2018年度は1990年比で356%増となる95.3億トンを排出しています。

中国でCO2排出量が多い主な原因は、石炭消費量の多さにあります。中国は一次エネルギー消費量が世界で1番多く、2018年度は32.7億トンを消費しています。このうち58.2%を石炭が占めています。

出典:環境省『第3節 社会経済活動と環境負荷』

各国のCO2排出量の推移を表したグラフ

出典:環境省『世界のエネルギー起源CO 排出量(2018年)』(p.5)

出典:JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター『3-7 主要国の一次エネルギー消費量と構成(2018年)』

2. 脱炭素に向け中国はどのように動くのか

CO2排出量大国と呼ばれる中国は、世界が脱炭素に向かう中どのように動く方針を固めているのでしょうか。脱炭素に向けた中国の目標と取り組みと今後解決すべき課題についてご紹介します。

脱炭素に向けた中国の目標

パリ協定合意をきっかけに、世界各国で脱炭素の取り組みが加速しており123ヵ国と1地域(2017年実績)が、2050年までのカーボンニュートラル宣言に賛同しています。中国は2050年ではありませんが2060年までにカーボンニュートラルを実現させることを目標に掲げています。2030年までにCO2排出量を削減傾向に転じさせること、GDPあたりのCO2排出量を2005年度比で65%以上削減することを中間目標として設定しています。カーボンニュートラルに賛同した国を赤色で塗ってある世界地図

出典:経済産業省『2050年カーボンニュートラルを巡る国内外の動き』(2020年12月)(p.5.6)

脱炭素に向けた中国の取り組み

中国は、2019年から2020年のわずか1年間で、原発約120基分の再生可能エネルギーの設備容量を整備しています。新たな目標として2030年までに太陽光発電と風力発電の設備容量を12億キロワット以上に引き上げる計画です。

中国は、世界全体のCO2排出量削減へ貢献する意向も示しています。これまで中国は、インドネシアなどにおける石炭火力発電プロジェクトに資金を拠出してきましたが、石炭火力発電プロジェクトを停止することを2021年9月に国連総会で表明しています。

出典:毎日新聞『原発120基分の発電力が1年で 中国、再生可能エネルギー急拡大』(2021/2/19)

出典:BBC NEWS『中国、海外での新たな石炭火力発電プロジェクト停止へ 習主席が国連総会で表明』(2021/9/22)

脱炭素実現に立ちはだかる中国の課題

中国は脱炭素を実現させるために、石炭火力発電の抑制や再生可能エネルギー電源の拡大に対応する送配電網の整備などいくつか課題を抱えています。

  • 石炭火力発電の抑制

  • ガス火力発電など調整電源の拡大と蓄電技術の開発と運用

  • 対象を全消費者にするなど電力取引のさらなる自由化

  • 再生可能エネルギー電源の拡大に対応する送配電網の整備

  • 水素技術の開発と利用

天候に左右される不安定な太陽光や風力発電を主電源にするためには、供給量を安定させる必要があります。供給量を安定させるために必要となるのが大規模な電力網の刷新ですが、莫大な資金がかかります。

出典:自然エネルギー財団『中国の電力システム改革』(2021年2月)(p.10) 

3. CO2世界最大排出量の中国での脱炭素が加速

CO2排出量が世界最大である中国の脱炭素への取り組みが加速しています。中国で実施されている脱炭素の取り組みの例をご紹介します。

大胆な水素開発投資

中国は2000年代から水素製造の研究開発に力を入れており、2016年から本格的に水素開発投資を始めています。2017年から2018年における投資額は、約3.55兆円を超えます。

出典:自然エネルギー財団『中国のグリーン水素発展戦略、2060年カーボンニュートラルへ動き出す』(2021/8/11)

EV(電気自動車)の普及拡大

中国では、CO2を排出しないエコな電気自動車市場が活発です。宏光ミニという車名の小型EVが人気を集めています。約49万円という価格の安さが、国民へのEVの普及拡大につながっています。

出典:毎日新聞『破格40万円台も登場!中国で急成長「ミニEV市場」』(2021/8/6)

世界最大規模の排出量市場の始動

中国は、CO2排出量の取り引きする場である世界最大の排出量市場を始動させました。企業のCO2排出量削減への取り組みを促進させることが目的です。

出典:日本経済新聞『中国の排出量市場が始動 取引規模は「世界最大」』(2021/7/16)

4. まとめ:中国も脱炭素へ!企業でも脱炭素の取り組みを始めよう。

世界最大のCO2排出量である中国の現状や脱炭素への目標、取り組みの例などについてご紹介しました。経済成長に伴い2000年代からCO2排出量が急増した中国ですが、脱炭素実現に向け本格的な取り組みを実施しています。

今、中国を含む世界各国で脱炭素に向けた取り組みが進む中で、持続可能な企業であるためには、脱炭素への取り組みは欠かせません。本記事から、「日本企業でもどのように脱炭素に向けた取り組みをするという検討につなげていただければと思います。

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