エコな電源を推進!非化石証書とは?価格の推移や今後の見通し

再生可能エネルギーや原子力などによるエコな電源で発電した電気の環境価値を証書化し、売買できるように制度化されたのが非化石証書です。

この記事では、非化石証書の購入に関心のある法人の皆さまが知っておくべき、非化石証書に関する基礎知識や価格推移などについてご紹介します。資源エネルギー庁は、非化石証書の取り引きは2021年後半から抜本的に改革される見通しである見解も示しています。改革により何が変わるのかなどについてもご紹介します。

目次

  1. エコな電源を推進!非化石証書に関する基礎知識

  2. 非化石証書の価格推移

  3. 非化石証書の価格は下落する?今後の見通し

  4. まとめ:非化石証書への知識を深め、購入するか検討しよう!

1. エコな電源を推進!非化石証書に関する基礎知識

FIT賦課金の低減や、CO2排出量が少ないエコな非化石電源の普及促進を目的に誕生したのが非化石証書です。非化石証書の概要や種類、メリットなどについてご紹介します。

非化石証書とは?概要やメリット

非化石証書とは、CO2排出量が多い化石燃料ではないエコな電源により発電した電気を、環境価値として取り出し証書にしたものです。非化石証書の電源として認められているものには、再生可能エネルギーや原子力発電などがあります。

2018年に非化石証書の取引市場が創設され、2019年1月時点でオークションが3回開催されていますが、取引量が3回目に大幅に増加しています。

非化石証書のメリットは、CDPやSBTにおいて活用でき条件がありますがRE100でも活用できることです。非化石証書を活用し、自社のCO2排出量を削減しようと考えている企業が増えたことが、取引量が増加している背景にあります。

(非化石証書オークション約定量)

出典:資源エネルギー庁『「非化石証書」を利用して、自社のCO2削減に役立てる先進企業』(2019/1/16)

現在までに3種類の非化石証書が誕生

非化石証書には3つの種類が存在し、対象電源や売上金の用途、がそれぞれ定められています。

[1]FIT非化石証書(再エネ指定)

対象電源:太陽光、風力、小水力、バイオマス、地熱など

売上金の用途:FIT賦課金の低減

[2]非FIT非化石証書(再エネ指定)

対象電源:大型水力、卒FITなど

売上金の用途:非化石電源の設備投資など非化石電源の促進

[3]非FIT非化石証書(指定なし)

対象電源:原子力など 

売上金の用途:非化石電源の設備投資など非化石電源の促進

出典:資源エネルギー庁『非化石価値取引市場について』(2020/11/ 27)(p.3)

非化石証書が抱える課題

非化石証書の種類により売手と買手それぞれの対象者は、以下のように定められいます。企業が非化石証書を調達する方法としては、小売電気事業者から電気と一緒に購入する方法しかありません。企業が直接購入できないことは、現在非化石証書に関する課題とされています。

[1]FIT非化石証書(再エネ指定)

売手:低炭素投資促進機構

買手:小売電気事業者

[2]非FIT非化石証書(再エネ指定)

売手:発電事業者

買手:小売電気事業者

[3]非FIT非化石証書(指定なし)

売手:発電事業者

買手:小売電気事業者

出典:資源エネルギー庁『非化石価値取引市場について』(2020/11/ 27)(p.3)

出典:『非化石価値取引市場について』

2. 非化石証書の価格推移

非化石証書は、非化石価値取引市場において取り引きされています。ここでは、非化石価値取引市場とはどのような場であるのか、非化石証書の価格推移についてご紹介します。

非化石価値取引市場とは?

非化石価値取引市場は、小売電気事業者によるエネルギー供給構造高度化法の目標達成を後押しする目的で、再生可能エネルギーや原子力などにより発電した電気を証書化し取引する場として創設されました。

エネルギー供給構造高度化法とは、年間の販売電力量が5億kWh以上の小売電気事業者に対し、非化石電源比率を2030年までに44%以上にすることを義務づけているものです。

FIT非化石証書の取引は2018年5月から、非FIT非化石証書に関しては2020年11月からオークションにより取引が開始しています。

出典:資源エネルギー庁『非化石価値取引市場について』(2020/11/27)(p.2)

非化石証書の価格推移

 

約定処理日

約定量

約定最高価格

円/kWh

約定最低価格

円/kWh

約定量加重平均価格

円/kWh

2017年度

(通年)

2018年5月18日

5,155,738

4.00

1.30

1.30

2018年度

(第1回)

2018年8月10日

2,241,311

4.00

1.30

1.30

2018年度

(第2回)

2018年11月9日

21,020,374

4.00

1.30

1.30

2018年度

(第3回)

2019年3月1日

8,557,640

4.00

1.30

1.30

2018年度

(第4回)

2019年5月17日

3,500,555

1.40

1.30

1.30

2019年度

(第1回)

2019年8月9日

106,376,433

2.00

1.30

1.30

2019年度

(第2回)

2019年11月8日

186,640,635

1.50

1.30

1.30

2019年度

(第3回)

2019年2月7日

84,674,694

2.00

1.30

1.30

2019年度

(第4回)

2020年5月15日

63,300,355

2.00

1.30

1.30

2020年度

(第1回)

2020年8月21日

151,173,370

1.40

1.30

1.30

2020年度

(第2回)

2020年11月13日

508,815,437

4.00

1.30

1.30

2020年度

(第3回)

2021年2月12日

445,634,238

1.50

1.30

1.30

2020年度

(第4回)

2021年5月14日

350,080,634

1.50

1.30

1.30

出典:新電力ネット『非化石証書の価格推移』

3. 非化石証書の価格は下落する?今後の見通し

2021年11月から非化石価値取引市場は改革される予定ですが、非化石証書の価格はどうなるのでしょうか。ここでは、非化石証書の今後の見通しについてご紹介します。

2021年後半に非化石価値取引市場は抜本的に改革される見通し

資源エネルギー庁は、2021年後半から需要家も参入可能な再エネ価値取引市場を試行的に実施することを発表しました。これにより2021年11月からこれまで直接非化石証書を購入できなかった需要家も直接購入できるようになります。

また資源エネルギー庁は、非化石価値取引市場を再エネ価値取引市場と高度化法義務達成市場に分割する案も示しています。FIT電源は再エネ価値市場で取り引きし、高度化法義務達成市場では非FIT非化石証書のみを扱う方針です。

出典:資源エネルギー庁『再エネ価値取引市場とは』(2021年7月)(p.1.3.4)

非化石証書の価格は今後下がる?

経済産業省は、非化石証書の最低価格を現在の1.3円/kWhから0.3円または0.4円に引き下げることを発表しました。現在の約4分の1の価格水準になります。価格引き下げは、11月から始まる再エネ証書の取引市場から適用される予定です。

出典:日本経済新聞『再エネ証書、企業が購入しやすく 価格4分の1程度に』(2021/9/23)

4. まとめ:非化石証書への知識を深め、購入するか検討しよう!

再生可能エネルギーや原子力発電などにより発電した電気の環境価値を取り引きできる非化石証書の基本的な知識や、価格の推移、今後の見通しなどについてご紹介しました。

2021年11月から、これまで非化石証書を直接購入できなかった企業も直接購入できるようになります。これにより、企業にとっては以前より安いコストで非化石証書を購入できるようになる見通しです。非化石証書への知識を深めて、購入するかのご検討につなげていただければと思います。

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