ESG経営とは?ESG投資で実績を残す銘柄の特徴とは?

世界で注目を集めている「ESG」という取り組みはご存じでしょうか?近年では、投資銘柄を選定する際に、売上や利益といった直接的な指標だけでなく、ESGを経営に取り入れている企業への投資が活発になっています。

環境へ配慮した商品開発や社会的な善行、透明性の高い経営は、ある程度体力がある企業でないと実現が難しく、そもそも長期保有に向いている銘柄が多いのが特徴です。

今回はESG投資で実績を残している銘柄の事例や特徴を踏まえ、ESG経営の概要を説明します。

目次

  1. 投資家から注目を集めるESG経営とは?
  2. ESG投資が重要視される社会背景とは?
  3. ESG投資で実績を残している銘柄の事例・特徴
  4. まとめーESGの今後は?ー

1. 投資家から注目を集めるESG経営とは?

ESG経営は、透明性や柔軟性の高い経営で「環境や社会に配慮した取り組みを実施する」といった経営方法です。自然由来の原料を使って製品を開発したり、リモートワークやフレックス出勤など柔軟な働き方はもちろん、投資判断となる指標の透明性も担保できます。

つまり、ESG経営を実現するには、価格が高くても環境に良い素材を使ったり、さまざまな働き方ができるような職場環境を整えることが必要となります。

ここでチェックして欲しいことが、コストがかかる取り組みが多いということです。未来への投資にコストをかける体力があり、企業として果たすべき社会的な責任を理解していることが伺えます。

ESG経営の取り組みそのものが競合他社との差別化要因となり企業価値を高める事につながるのです。

また、投資家の観点から見ると、ESG経営に取り組んでいる企業を選べば、自ずと透明性、先見性があり、現代のビッグトレンドとして安定した配当を得られる可能性が上がるといったメリットがあります。

つまり、企業としてはESG経営を実現できれば、投資銘柄になる可能性が上がり、お金を集めやすくなるメリットが出てきます。

(1) ESG3つの要素

ESGは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(管理体制)の3つの要素で成り立っています。

環境面では、自然にダメージを与えない素材を利用した研究開発などが挙げられます。製品を作る上で動物実験を行わない、大気汚染物質を起こす原料は使わないといった取り組みも環境への配慮と評価されます。

社会面では、社会全体の課題である人権問題や性別による差別への取り組みがイメージしやすいです。さまざまな国籍の従業員を雇用したり、女性管理職の比率を高めたりすることはもちろん、産休や育児休暇が取得できるなど、働きやすい職場環境の実現などが挙げられます。

管理体制の部分では、透明性が高い経営によって事業の伸長率や今後の成長ポイントなどの情報が開示されていて、投資判断がしやすいといったことが評価の対象です。また、ESGの取り組みが競合他社と比べた際の差別化要因となり、企業価値が高まることで売上や利益が伸び、株主への配当が大きくなるといった可能性もあります。

(2) ESG経営のメリット

ESG経営のメリットは、企業価値を高めるブランディング施策となることです。

最近では、サステナビリティやSDGsなど自然や環境に配慮した商品かどうかといったポイントがユーザーの選択基準に入りつつあります。

例えば、2019年にアパレル企業が発表した調査によると、70%以上のユーザーが環境に配慮したファッションを取り入れたいと答えています。また、同じ調査では約70%のユーザーが、環境配慮を取り入れている企業やブランドのイメージは向上すると結果が出ています。

出典:PRTIMES『ファッションの環境意識調査』

消費者に選んでもらわなければ、売上も上がらず企業価値も伸びません。更に、ESG経営は地道な取り組みが結果に現れます。

一朝一夕では効果を発揮しない取り組みなので、他社が真似しようとしても簡単には結果が出せない強い差別化要因になり、ブランディングの観点でも非常に優良な施策と言えるでしょう。

(3) ESG経営のデメリット

ESG経営のデメリットは、直接的な売上や利益への寄与が不透明なのに、コストと時間が大きくかかる点です。例えば、新商品の開発とプロモーションに1,000万円の投資するのは、直接的に売上や利益で費用対効果が判断できます。

しかし、ESG経営は実施したからといって売上や利益への寄与は数値化することが困難です。

しかし、実績としてみると、実現すれば大きな差別化要因となる施策であることは間違いありません。

例えば、ショッピングモールを運営する株式会社丸井グループでは、ESG経営を取り入れた結果、日本の年金を管理運用するGPIFが選定する3つのESG指数へ銘柄として選ばれています。

ESGへの取り組みの結果、二酸化炭素の排出を抑える原料調達や、多様な働き方や活発な部署移動によるダイバーシティ推進などを実現しているからこそ、年金を運用する際の構成銘柄として選ばれるほど安定した成長が見込まれます。

2. ESG投資が重要視される社会背景とは?

ESG投資が重要視されている社会背景は、二酸化炭素や森林伐採による環境汚染や、未だに社会的に大きな課題である差別などもはびこっているといったことが挙げられます。

なぜESG経営を行う企業への投資が注目され出したかなど、チェックしてみましょう。

(1) なぜESG投資が注目されているの?

ESGの観点を持った投資が重要視され始めたきっかけは、国連によるPRI(責任投資原則)の提唱に始まります。

PRIは、ESGを投資プロセスに組み入れるのが特徴です。

簡単に言うと、利益だけの追求ではなく、企業としてESGの課題に取り組むことで企業価値が上がりやすくなることを明示した原則となります。

(2) ESG経営を取り入れている企業にはどんなものがあるの?

ESG経営で話題に挙げられる企業は、ほとんど大企業です。

ESG経営を実現するためには、さまざまな設備や環境への投資が必要なので、企業として体力が無いと厳しい面が多いからと考えられます。

(3) ESGの経営戦略とは?取り組み方について

ESG経営の戦略は、コーポレートアイデンティティと絡めてブランディングの一環として実施するのがおすすめです。

企業価値を高めるブランディングには、知名度を上げたり、好意的な印象を与える施策が必要です。

ESGへの取り組みは好意的な印象を与えやすく、取材や特集などで掲載されれば知名度アップにも役立ちます。

3. ESG投資で実績を残している銘柄の事例・特徴

ESG経営で実績を残している銘柄の事例や特徴をお伝えします。

<h3>(1) ESG経営の具体的な事例

ESG経営の具体的な事例として、チョコレートで有名な森永製菓株式会社が挙げられます。

チョコレートの原料であるカカオの輸入元のアフリカ諸国に対して、寄付によって子どもの教育環境を整えたり、農業のやり方を伝える取り組みを実施しています。

チョコレート1つにつき1円の寄付も、10年間で2億を突破したようです。

出典:森永製菓株式会社『他企業・他団体との連携 | CSRマネジメント | CSR情報』

また、リクルートホールディングスもESG経営を実現している企業の1つです。

有効活用されていなかった土地を新規事業として運用したり、後継者不足に悩む方と事業を承継したい企業をマッチングさせるなど、社会的な方面でESG経営を実施しています。

(2) ESG経営を実現させるためのポイント

ESG経営を実現させるためのポイントは、ブランディング施策と同様、短期的に費用対効果で見ないことです。

短期の費用対効果で考えると、ESG経営の実現にリソースを割くよりも、プロモーションに費用をかける方がメリットがあります。

ESG経営はブランディングの一環として、中長期施策として取り組むことを意識しましょう。

4. まとめーESGの今後は?ー

ESGは、サステナビリティやSDGsと共に、今後も注目される領域であることは間違いありません。

ESGをブランディング施策と捉えて、中長期的に地道な取り組みを続けることで大きな差別化要因となり、圧倒的な企業価値となる可能性を大いに秘めています。

ぜひ、ESG経営の実現に向けて具体的な施策を計画してみましょう。

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