洋上風力発電とは?風力発電の新しい可能性。取り組み事例も紹介!
- 2022年06月15日
- 発電・エネルギー
再生可能エネルギーの主力といえば太陽光発電が一般的となっています。しかし、今後の再生可能エネルギーの主力化には、その他のエネルギーの普及も必要となってきます。そんな中で注目されるのが風力発電です。ここでは風力発電の中でも日本で建設がすすんでいる「洋上風力発電」について解説します。今後企業としても再生可能エネルギーへの転換は必要と考えられますので、日本における洋上風力発電のメリット・取り組み事例についての情報をチェックしておきましょう。
目次
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日本の代表的な再エネ電力!風力発電とは?
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主力電源化を目指す!風力発電のメリットとは?
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今後の対策に注目!風力発電の普及に向けた課題
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政府も後押し!洋上風力発電推進への動き
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種類もさまざま!洋上風力発電への取り組み事例
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まとめ:洋上風力発電は再エネ拡大の可能性を秘めている!
1. 日本の代表的な再エネ電力!風力発電とは?
まず、風力発電について解説していきます。2030年のエネルギーミックスにおいて1,000万kW(電源構成比1.7%)の導入が見通されている風力発電とはどのようなものなのでしょうか?
再生可能エネルギーの主役へ!風力発電とは?
風力発電とは、風が作り出すエネルギーを電気エネルギーに変える発電方法です。再生可能エネルギーとしては代表的な発電方法となりますが、日本では欧米諸国と比べると導入は遅れていました。2000年以降は導入件数が急速に伸び、2017年度で2,253基、累積設備容量は約350万kWまで増加しています。
出典:新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)『日本における風力発電導入量の推移』(2018/3)よりアスエネ作成
現在のエネルギー状況として、風力発電の占める割合は2019年度で約0.7%となっています。日本は2050年のカーボンニュートラルに向けて温室効果ガス排出削減に取り組んでおり、そのためには再生可能エネルギーの主力電源化は必須となります。
出典:経済産業省資源エネルギー庁『令和元年度(2019年度)エネルギー需給実績(確報)』(p.5)
現在再生可能エネルギーの主力は太陽光発電となっており、2017年3月には2030年の見通しに対して約61%の導入がすすんでいますが、風力発電は約34%の導入にとどまっています。再生可能エネルギーは季節や天候による影響を大きく受けるため、バランスのとれた導入が必要となり、今後再生可能エネルギーの主力化には風力発電をはじめとする太陽光以外の発電方法も普及させていくことが求められています。
出典:経済産業省資源エネルギー庁『これからの再エネとして期待される風力発電』(2018/2/6)
2. 主力電源化を目指す!風力発電のメリットとは?
では、具体的に風力発電のメリットとはどのようなものなのでしょうか。風力発電のメリットについてまとめてみます。
[1]低コストでの運用が可能
風力発電は大規模に発電することにより、発電コストを火力発電並みに抑えることができます。経済性も確保できる可能性が高いエネルギー源といえます。
[2]エネルギーへの変換効率が良い
発電規模(風車の高さや、羽(ブレード)の大きさや形状)により異なりますが、風力エネルギーは電気エネルギーへの変換効率がいいといわれています。
[3]夜間も稼働することが可能
風力発電は、太陽光発電のデメリットである夜間の運用も可能となっています。風さえあれば稼働することができますので、時間帯による影響を受けなくなります。
3. 今後の対策に注目!風力発電の普及に向けた課題
今後の普及が見込まれる風力発電ですが、それに伴ういくつかの課題もあげられています。ここではその中から特に問題視されている点をご紹介します。
[1]発電コストの低減
現在の日本の風力発電による発電コストは13.9円/kWhとなり、世界平均である8.8円/kWhの約1.6倍となっています。
出典:経済産業省資源エネルギー庁『これからの再エネとして期待される風力発電』(2018/2/6)
また、固定価格買取制度(FIT制度)スタート以来、FIT制度の対象として認定を受けた風力発電は、2030年のエネルギーミックスの見通しの「1,000万kW」に近づいています。しかし実際に稼働している風力発電の導入量はまだ少ないのが現状です。
今後、新型風車の開発や、開発から運営までを担うことのできる風車メーカーの育成などにより、強い風車産業をつくることが必要であるとされています。また、メンテナンスの効率化・保守運用をおこなえる人材の育成などをすすめ、「効率的」で「安定的」な発電システムの構築が必要になります。
出典:経済産業省資源エネルギー庁『これからの再エネとして期待される風力発電』(2018/2/6)
[2]環境アセスメントによる発電施設建設までの時間
現在の制度では、発電施設の建設に「環境影響評価(環境アセスメント)」の手続きが必要で、これには3~4年かかるとされています。この施設建設にともなう時間的な効率化も大きな問題とされています。現状、環境影響調査を他の手続きと平行しておこなうことで期間の短縮をめざす実証実験もおこなわれ、7割に期間を短縮できる効果を確認でき、今後の手続きの短縮化が求められています。
出典:経済産業省資源エネルギー庁『これからの再エネとして期待される風力発電』(2018/2/6)
4. 政府も後押し!洋上風力発電推進への動き
風力発電の中でも今後開発が期待されている分野が「洋上風力発電」となっています。ここからは洋上風力発電について解説します。陸上との違いや、日本でのメリットについて考えてみましょう。
洋上風力発電とは?
洋上風力発電とは、発電施設を洋上に建設する風力発電となります。政府は2021年度での2030年再生可能エネルギーの導入見込みとして洋上風力で5.7GWの目標を掲げています。
出典:経済産業省資源エネルギー庁『再生可能エネルギー政策の直近の動向』(p.6)(2021/9/7)
日本に最適!洋上風力発電のメリット
日本における風力発電の課題は地形にあります。日本の国土は山がちで発電所を建設できる場所は限られています。国土も広くなく、周囲を海に囲まれている日本において洋上風力発電は導入しやすく期待される発電方法といえるでしょう。
現在日本各地で建設に向けた環境アセスメント手続きがおこなわれ、その発電量は1,300万kW以上を見込んでいます。
出典:国土交通省 港湾局『我が国における洋上風力発電の現状と将来展望』(p.8)(2020/6/18)
洋上風力発電拡大に向けた法整備も行われている
洋上風力発電の課題としては建設においての法整備があげられています。海域の占用に関するルールや、漁業関係者や船舶運航事業者など海域を先行して利用している人々との利害調整の必要があります。この問題にも法改正など政府は積極的に取り組んでいるのです。
[1]再エネ海域利用法
2019年4月に施行された「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域利用の促進に関する法律(再エネ海域利用法)」により、事業を適切な調整を経てすすめることができるようになると期待されています。
出典:経済産業省資源エネルギー庁『新法施行後、「洋上風力発電」に向けた動きは今どうなっている?』(2019/12/25)
[2]協議会の設置
再エネ海域利用法により、経済産業大臣と国土交通大臣によって風の吹き方、水深といった6つの指定条件をクリアした、洋上風力発電に適した「促進区域」が2019年7月に11区域に整理され、そのうち4つについては「有望な区域」として協議会が設置されています。これは政府、自治体のほか、漁業組合や旅客船協会、有識者なども参加し、地元関係者や住民との調整の場となっています。
5. 種類もさまざま!洋上風力発電への取り組み事例
すでに各地ですすめられている洋上風力発電施設もありますのでご紹介します。
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ウインドパワーかみす洋上風力発電所(茨城県神栖市)
株式会社ウインドパワーグループがすすめるウインドパワーかみす洋上風力発電所は2010年6月に運転をはじめています。2つの施設があり、合わせて3万kWの発電出力があります。護岸から40~50mの水域に、陸上から風車を建設するという方法で建設コストの低減を実現しており、岸からの管理橋により、陸上施設と同様にメンテナンスをおこなうことができるように設計されています。
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銚子沖・北九州市沖着床式洋上風力発電設備
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2009年~2016年に実証研究事業として設置した設備で、風況特性のデータ収集などに利用され、その後民間の発電事業者に譲渡され運転を続けています。
出典:国立研究開発法人新エネルギー産業技術開発機構『北九州市沖で着床式洋上風車の実証実験を開始』(2013/06/27)
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福島沖浮体式洋上風力発電システム
資源エネルギー庁による委託事業で、平成23年度から浮体式の洋上風力発電の実証実験がおこなわれています。新たなエネルギー関連産業の創出を目指し、その事象研究の集積が期待されています。
出典:経済産業省資源エネルギー庁『平成30年度福島沖での浮体式洋上風力発電システム実証研究事業統括委員会報告書』(2018/8)
6. まとめ:洋上風力発電は再エネ拡大の可能性を秘めている!
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風力発電とは風が作り出すエネルギーを電気エネルギーに変える発電方法で、日本では2017年度で2,253基、累積設備容量は約350万kWまで増加しているが、2030年見込みの達成度は34%にとどまっている。
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風力発電のメリットは、「低コスト」「エネルギーへの変換効率の良さ」「夜間の運用が可能」となるが、課題として「海外と比較した際の低コスト化の遅れ」「設備建設までの手続きに時間がかかる」ことがあげられている。
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国土が山がちで建設場所の制限がある日本で注目されているのが「洋上風力発電」で、政府は2030年再生可能エネルギーの導入見込みとして洋上風力で5.7GWの目標を掲げている。
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洋上風力発電の課題は海域利用に係る法整備となっており、2019年4月には「再エネ海域利用法」が施行され、今後更なる開発が期待されている。
地球温暖化対策として、再エネの普及はすすめなくてはいけません。島国の日本において洋上風力発電は主力電源になりうる可能性を秘めていると思います。今後の動向に注目していきましょう。