2030年代に時代が変わる!ガソリン車が禁止になるとどうなる?

プライベートや仕事の面も含めて、毎日の生活に無くてはならない自動車ですが、日本政府が目標として設定した2050年カーボンニュートラルを実現するために、2030年代にガソリンを燃料とする自動車の新車販売が禁止されます。それ以降に販売される自動車は、ガソリンに代わって水素や電気などいわゆるクリーンエネルギーを燃料として利用することになります。今回は、そもそもなぜガソリン車が禁止になるのか、海外の状況、自動車業界の取り組みなどをまとめてお伝えします。

目次

  1. 日本でガソリン車が2030年代に禁止になる背景

  2. 世界的にガソリン車が禁止に

  3. 自動車業界の取り組み

  4. まとめ:2030年以降の自動車を取り巻く環境を意識しよう

1. 日本でガソリン車が2030年代に禁止になる背景

ガソリン車の新車販売が2030年代に禁止になる背景は、2020年に政府が発表した「2050年カーボンニュートラル宣言」が関係しています。これは2050年までに、脱炭素社会を実現して温室効果ガスの排出量をゼロにしようという取り組みです。

カーボンニュートラル宣言を実現するためには、温室効果ガスを生み出す要因を無くしていかなくてはいけません。そこで温室効果ガスを生み出してしまうガソリンを燃料とする自動車の新車販売を2030年代に禁止にするという意見が経済産業省を中心に発表されました。

出典:経済産業省『資料1 2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン戦略(経済産業大臣説明資料)』(p.31)

出典:経済産業省資源エネルギー庁『カーボンニュートラルに向けた産業政策“グリーン成長戦略”とは?』(2021年5月20日)

出典:東洋経済オンライン『政府が「2030年ガソリン車禁止」を打ち出した訳』(2020年12月8日)

ガソリン車が環境を破壊する

自動車を動かすには燃料が必要です。ガソリンや軽油は主に炭素と水素で構成されており、エンジンで燃料として消費されると、窒素化合物や二酸化炭素を生み出します。窒素化合物、二酸化炭素ともに温室効果ガスとして地球温暖化に影響があるので、ガソリン車に乗っていると環境破壊に繋がるとも言えます。

ガソリン車はESG投資にも影響

ESG投資は、企業の環境への取り組みや社会への影響やガバナンスの透明性など、いわゆる財務情報以外の部分で企業を判断し投資を行っていくという仕組みです。2006年に国連で採択されたPRI(責任投資原則)をきっかけに、2018年には約31兆ドルもの投資残高となっています。

投資家が判断軸としてESGを重要視するということは、例えば社用車をクリーンエネルギー燃料のものに変えるといったことも投資を受けられる要因となり得るのです。だからこそ、企業として取り組める部分はいち早く環境への配慮を行うことが求められます。

出典:TOKEN EXPRESS『ESG投資の市場規模、増加の要因とは?世界と日本の現状と今後』(2020年12月11日)

2.世界的にガソリン車が禁止に

世界的に見てもガソリン車の新車販売などに規制が入ってきています。各国の状況も含めて、世界のガソリン車に対する取り組みをチェックしましょう。

海外でもガソリン車規制が強まる

海外では、再生可能エネルギーの導入が増加しており、風力発電などクリーンエネルギーの活用が進んでいます。そんな中、やはりガソリン車の環境への影響が問題視され、日本同様にガソリン車の新車販売禁止、電気自動車や水素自動車の活用のためのインフラ整備などが始まっています。

世界的に見ても、2050年にカーボンニュートラルを目標に掲げている国も多く、ガソリン車をはじめ、環境へ影響を与えるものへの規制が強まってきています。

イギリスでは5年前倒し!各国のガソリン車規制の状況

海外のガソリン車規制の例として、イギリスでは、2030年までにガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止すると目標を掲げています。元々は2040年をメドとした目標でしたが2020年2月に2035年、11月に更に早めて2030年と5年前倒しに取り組みを強めています。

13億ポンドを投下して、家庭や路上での充電設備を作ったり、購入をバックアップする補助金として約6億ポンドを準備しています。

また、ノルウェーやインドでは2030年から電気自動車・水素自動車のみを販売、オランダでは2025年から電気自動車のみを販売など、各国それぞれの取り組みを行っています。

出典:日本経済新聞『脱ガソリン車、世界で加速 英は販売禁止を5年前倒し』(2020年11月18日)

出典:BUSINESS INSIDER『2040年までにガソリン車を禁止する国は?』(2017年10月25日)

3.自動車業界の取り組み

ガソリン車の新車販売が禁止となって一番影響を与えられるのが自動車メーカーです。今までの開発方法では、目標が達成できず新たな仕組みを考えだす必要があったりと、業界として非常に難易度が高い対応に追われています。

自動車業界の対応状況

2030年代にガソリン車の新車販売を禁止するのいった意見が経済産業省を中心に提出されていることもあり、自動車業界は新たな技術開発など対応に追われています。自動車開発だと、日本国内で愛用者が多い軽自動車の電動化という取り組みが進められています。

また、自動車メーカー大手のトヨタ自動車株式会社と、電気事業大手のパナソニック株式会社が合弁会社を作り、車載用の電池開発を共同で行うなど業界を超えた取り組みも見られます。

出典:トヨタ自動車株式会社ニュースリリース『トヨタとパナソニック、車載用角形電池事業に関する合弁会社の設立を決定』『2020年2月3日』

メーカーごとに違う?ユーザー側への影響

自動車メーカー大手の本田技研工業株式会社は、2040年に発売する新車をすべてEV(電気自動車)とFCV(燃料電池車)とする目標を立てています。また、トヨタ自動車株式会社は2030年に新車販売の8割を電気自動車に置き換える方針を出しています。

基本的に、どのメーカーもユーザーにとっては環境に配慮されたタイプの新車販売が当たり前となっていきます。一方で、声高に叫ばれるのが急がれるのがインフラの整備です。都市部では充電スタンドなどが普及し電気自動車の販売台数も伸びていますが、地方では充電スタンドが普及していない地方も多く、自宅でしか充電できず外出しづらいのでガソリン車を購入するユーザーも多いようです。

出典:本田技研工業株式会社ニュースリリース『社長就任会見 代表取締役社長 三部 敏宏スピーチ概要』(2021年4月23日)

出典:朝日新聞デジタル『トヨタ、2030年に電動車800万台へ「脱炭素」加速』(2021年5月12日)

出典:くるまのニュース『EVは「大衆車」になれる? インフラ整備で課題山積み 地方格差をどう縮める?』(2020年12月26日)

4. まとめ:2030年以降の自動車を取り巻く環境を意識しよう

2050年のカーボンニュートラルに向けて、2030年代には、ガソリン車の新車販売は排除される可能性が検討されてます。地球環境に悪影響を及ぼす可能性の高いガソリン車を無くしていくことは、地球温暖化防止につながる全世界共通の目標として重要なポイントとなります。

日本では、国内大手の自動車メーカー各社が新たな技術の開発や業界を超えて合弁会社を作り、自動車用の電池開発などへ取り組むという動きも生まれています。一方で、充電設備の普及で都市部と地方で大きな差があるなど課題は残っています。

海外では、イギリスにおいてインフラ整備や購入補助金で大きな予算を投下したり、ノルウェーやインドでクリーンエネルギーを燃料とする自動車しか販売しないなどの取り組みが検討されています。

ガソリン車の新車販売を無くすことを検討するのは、地球環境の保護はもちろんESG投資にもあるように環境配慮といった面が企業価値にも直結してくる時代だからこそ。ガソリン車に対してのアクションとしては社用車など移動に使うものをクリーンエネルギーを燃料とする電気自動車などに変えることが取り組みやすいのではないでしょうか。ぜひ、毎日の交通手段から見直してみましょう。

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