「CO2フリープラン」で脱炭素に取り組み未来に貢献する企業に

脱炭素社会に向けて、各電力会社が取り組んでいるCO2フリープランをご存知ですか。CO2とは環境に負荷をもたらす二酸化炭素のこと。CO2フリープランとはCO2の排出がゼロのCO2フリー電気を利用できるプランのことです。世界の脱炭素の動きの中、企業として「CO2フリー価値」がついた電力を使用することは大きなイメージアップへとつながります。CO2フリープランが企業にもたらす価値を解説します。

目次

  1. 「CO2フリープラン」とは?
  2. 「CO2フリープラン」で脱炭素社会を目指す
  3. CO2フリーで注目される3つの環境イニシアティブ
  4. 「CO2フリープラン」利用企業のメリット
  5. まとめ:「CO2フリープラン」で脱炭素企業としての価値を高める

1.「CO2フリープラン」とは?

CO2フリープランとは、「CO2フリー電気」を使用するプランのことを指します。では、「CO2フリー電気」つまりCO2を含まない電気とはどのようなものなのでしょうか?

CO2を含まない「CO2フリー電気」

石油や石炭等を使用し火力で発電する化石エネルギーは発電時に多くのCO2を発生します。一方、CO2フリーの電気は発電時にCO2を排出しません。非化石エネルギーの太陽光発電や水力発電、その他再生可能エネルギー電力のことを指し、「CO2フリー価値」が伴います。

再生可能エネルギー電力の種類

CO2フリープラン構成の電力として使用されている再生可能エネルギーとは、太陽光、風力など自然界に常時存在するエネルギーのことを指します。自然環境を生かしたエネルギーのため環境への負荷が少なくなります。

出典:資源エネルギー庁『なっとく!再生可能エネルギー 固定価格買取制度 (対象となる再生可能エネルギー)(2021.8.31)』

切り替えにより削減できるCO2排出量はどのくらい?

では非化石エネルギーに転換することでCO2の排出量はどれくらい削減できるのでしょうか。エネルギー起源によるCO2排出量は日本では東日本大震災以降に増加しましたが、再生可能エネルギーなどの普及拡大による電力の低炭素化に伴い、その後6年連続で減少しています。2019年度のエネルギー起源CO2排出量は、10億2,900万トンで、2013年度比8.6%減となっています。

出典:環境省 『温室効果ガス排出量 2.2 エネルギー起源CO2排出量全体(2021.4)(p.8)

CO2フリーの電気代は高額?電気代以外のメリットは

再生可能エネルギーを含む、非化石エネルギーはまだ発電コストが高いため、CO2フリー電気を使用すると電気料金が高くなる可能性は否めません。しかし高圧業務用電力や高圧電力を使用している企業にとっては電気代以外の大きなメリットがあります。それは国によって義務付けられた「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」において、CO2排出量を「0」として算定が可能なことです。

国によって公表されるこの制度で他事業者と比較してCO2排出削減が成功していれば環境問題に取り組む企業として大きなイメージアップにつながるのです。

2.「CO2フリープラン」で脱炭素社会を目指す

脱炭素はなぜ必要か

産業の発展により、人間社会は大量のエネルギーを消費するようになりました。その中の化石燃料は二酸化炭素CO2を始め、一酸化炭素、フロンガスなど温室効果ガスを大気中に大量に排出します。温室効果ガスの排出は地球の温暖化・気候変動を加速させており、世界の平均気温は2017年時点で工業化以前と比べて約1℃上昇しており、このまま対策しないと2030年から2052年までの間に気温上昇が1.5℃に達する可能性が高いと言われています。

出典:環境省『環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書』(2019.6.7)

世界の脱炭素事情

地球の温暖化に伴う気候変動が原因とみられる災害が世界中で多発していることから、2016年にパリ協定が発効されました。そこでは、

  • 世界的な平均気温上昇を産業革命以前より2度より十分低く保つとともに、1.5度に抑える努力をする。

  • 今世紀後半までに人為的発生による温室効果ガスの排出量と、森林などによる吸収源の除去量の均衡を達成する(=カーボンニュートラルの実現)

などの目標が定められ合意されました。日本は2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減、カーボンニュートラルの達成を目指しています。

出典:資源エネルギー庁「『カーボンニュートラル』って何ですか?(前編)」(2021.2.16)

出典:資源エネルギー庁『カーボンニュートラルに向けた産業戦略”グリーン成長戦略”とは?』(2021.5.20)

温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度とは

日本は平成18年4月1日にエネルギーを多量に使用する企業には、そのエネルギー使用により排出されたCO2の量を国に報告することを義務付ける「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」を制定しました。

企業が算定した排出量を国が集計し公表することにより、企業は自社が他企業と比較してどれほどのCO2を輩出しているかに気づけます。温室効果ガスの排出量の見直しと抑制を図り、また各企業の排出量を公表することにより、国民に対しても広く脱炭素への取り組みや理解を盛り上げることが期待できます。

出典:『環境省 温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度 制度概要』

3. CO2フリーで注目される3つの環境イニシアティブ

(1)RE100

「RE100」は世界に影響力を持つ企業が、事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーにすることを目標にした協同イニシアチブです。自動車生産、情報技術などグローバルに活躍する500社あまりの企業が参加しています。

再生可能エネルギーを積極的に活用することで、企業の温室効果ガス削減につながり、広範囲のエネルギーコスト管理を可能にします。企業が集結しともに脱炭素を目指すことで、社会にエネルギー移行を促進するためのシグナルを発信しています。

出典:環境省 『グリーン・バリューチェーンプラットフォーム 国際的な取り組み(1)RE100概要資料(2021.8.24)(p.1)』

(2)SBT

「SBT(Science Based Targets)」はパリ協定で発効された水準(世界の平均気温上昇を2度以内に抑制する)と整合した温室効果ガス削減目標を企業に対して設定するよう求めたイニシアチブです。

温室効果ガスの削減を科学的知見に基づいて設定することを促しており、2015年にWWF(世界自然保護基金)やCDP(旧カーボンディスクロージャープロジェクト)、国連グローバル・コンパクト、WRI(世界資源研究所)が共同で設立したものになり、日本では150社以上の企業が参加しています。(2021年8月10日現在)

 

出典:環境省 『グリーン・バリューチェーンプラットフォーム 国際的な取り組み(1)SBT 概要資料(2021.8.24)(p.2)』

(3)WMB

「WMB(We Mean Business)」は地球温暖化の対策を推進している企業や投資家の国際機関やシンクタンク、NGO等が構成機関となって運営するプラットフォームになります。このプラットフォームで連携しながら「経済(Economy)」や「エネルギー(Energy)」「輸送(Transport)」「土地(Land)」「環境と産業の構築(Built Environment & Industry)」「実現に向けて(Enabler)」といった6つの領域において計10種の取り組みを実施します。

たとえば「エネルギー(Energy)」なら企業に再生可能エネルギー100%を可能にするコミットを促す、「輸送(Transport)」では電気自動車への普及や移行を促すなどの取り組みがあります。

出典:環境省『 グリーン・バリューチェーンプラットフォーム 国際的な取り組み WMB関連資料(2021.8.24)(p.3~4)』

4.「CO2フリープラン」利用企業のメリット

企業が抱えるさまざまな課題を解決

企業は省エネや経費削減、また環境への貢献を考えた脱炭素、SDGsなど、さまざまな課題をかかえています。CO2フリー電気を使用するCO2フリープランはそのように企業が抱える「経営課題」の同時解決に向けた効果的な方法であるといえます。プランの導入とともにCO2排出量削減につながり、さらには社会へ自社の環境意識向上をアピールできるのです。

省エネ・省コスト

エネルギー資源の無計画な消費は環境を破壊し、世界に深刻な被害を与えます。脱炭素社会を構築するためにもCO2フリー電気は重要と言えます。企業が脱炭素に向けて、さまざまな取り組みをすることでCO2フリー電気やそのプランが普及します。再生可能エネルギーの需要が増せば、CO2フリーの電気を安価に利用することが可能になり省エネ・省コストにつながります。

世界では再生可能エネルギーの需要は拡大しているため、そのコストは年々低下しており、太陽光及び陸上風力の発電コストの低下は著しいものがあります。2019年に運転開始した太陽光の平均発電コストは0.07ドル/kWhと、2010年の0.38ドル/kWhから約82%も低下したのです。

出典:資源エネルギー庁『 第2節一次エネルギーの動向 ⑥再生可能エネルギーのコスト動向 』(2021.7.19)

持続可能な社会の実現に貢献

持続可能な社会では、地球環境や自然環境が適切に保全されなくてはいけません。その実現を目指し今後も世界的に脱炭素は進んでいきます。環境に負荷を与えるCO2を排出することのないCO2フリー電気のプランを利用することは企業にとって、また未来の地球のためにとって多大なる貢献になるのです。

5. まとめ:「CO2フリープラン」で脱炭素企業としての価値を高めよう

世界的に脱炭素が進む中、中小企業などもその例外ではいられません。むしろ積極的にCO2フリーに取り組むことは企業のイメージアップだけではなく、自社の環境意識向上にもつながり、結果脱炭素企業としての価値を大いに高めることとなります。ぜひCO2フリープランの導入を検討し、企業価値を高めてみてはいかがでしょうか。

 

アスエネESGサミット2024資料 この1冊でLCAの基礎を徹底解説資料 サプライチェーン全体のCO2排出量Scope1〜3算定の基礎を徹底解説
アスエネESGサミット2024