今後どうなる?バイオマス発電の3つの課題と展望を紹介

バイオマス発電にはいくつか課題があるため、普及が進まないという状況にあります。バイオマス発電は、廃棄物を資源として活用できるため、資源循環型社会の構築や地域活性化の観点から見ると優れた電源であると言えます。この記事では、まずはじめにバイオマス発電についての基本的な知識を深め、バイオマス発電が抱える課題についてご紹介します。バイオマス発電に関心のある法人のみなさまはご一読ください。

目次

  1. 木屑や燃えるゴミを活用!バイオマス発電はなぜ注目を集めるのか

  2. バイオマス発電普及はなぜ遅れてる?3つの課題

  3. バイオマス発電の現状と今後の展望

  4. まとめ:バイオマス発電の課題や今後の展望を理解し、企業の取り組みを検討しよう!

1. 木屑や燃えるゴミを活用!バイオマス発電はなぜ注目を集めるのか

様々な課題があるため日本ではバイオマス発電の普及は遅れていますが、バイオマス発電にはメリットもあるため注目を集めています。バイオマス発電の概念やメリットなどについてご紹介します。

バイオマス発電とは?

日本は、2050年度までの脱炭素化を実現させるために5種類の再生可能エネルギーの普及割合をバランス良く拡大させる方針を固めています。バイオマス発電もそのうちの1種類です。

[5種類の再生可能エネルギー]

  • 太陽光

  • 風力

  • 地熱

  • 中小水力

  • バイオマス

バイオマス発電とは、循環型社会の構築を目指すもので、動植物由来の生物資源を直接燃焼したりガス化することで発電するものです。

出典:資源エネルギー庁『再生可能エネルギーとは』

バイオマス発電のメリット

[1]CO2を排出しないエコな電源

資源を燃焼する時にCO2が排出されるのですが、木材は成長過程において光合成によりCO2を吸収するため、CO2排出量が実質ゼロになると考えられています。

出典:資源エネルギー庁『知っておきたいエネルギーの基礎用語~地域のさまざまなモノが資源になる「バイオマス・エネルギー」』(2017/11/28)

[2]循環型社会の構築・地域活性化

バイオマス発電で活用される資源は大きく6つのカテゴリーに分類されています。

  1. 木質系:林地残材、製材廃材など

  2. 農業・畜産・水産系:もみ殻、家畜排泄物など

  3. 建築廃材系:建築廃材など

  4. 食品産業系:食品加工廃棄物など

  5. 生活系:下水汚泥、し尿など

  6. 製紙工場系:セルロース(古紙)など

このようにバイオマス発電では廃棄物を資源として活用するため、廃棄物ゼロを目指す循環型社会の構築と地域活性化につながります。

出典:資源エネルギー庁『バイオマス発電』

2. バイオマス発電普及はなぜ遅れてる?3つの課題

循環型社会や地域活性化につながることから注目されているバイオマス発電ですが、現状では普及が進んでいません。ここでは、日本においてバイオマス発電普及を阻んでいる3つの課題についてご紹介します。

(1)発電コストの高さ

5種類ある再生可能エネルギーの中で、資源となる燃料の調達にコストがかかるのはバイオマス発電のみです。燃料コストが約7割を占めており、バイオマス発電の発電コストを高くしています。発電コストの削減が進まないまま、順次FITによる調達期間・調達価格での買い取りが終了する点も、新規参入を検討している事業者に大きな懸念を抱かせています。

出典:資源エネルギー庁『持続可能な木質バイオマス発電について』(2020/7/20)(p.22)

(2)小規模分散型設備になりやすい現状

バイオマス発電の資源は、広い地域に分散されているため、小規模分散型設備になりやすい傾向があります。そのため収集・運搬・管理にコストがかかり、そのことも日本におけるバイオマス発電普及を遅らせている問題点です。

出典:資源エネルギー庁『バイオマス発電』

(3)安定した燃料の確保

日本は森林資源に恵まれていますが、森林・林業基本計画により、間伐採で利用できる量に限りがあります。そのため一般木材やバイオマス液体燃料における原料の7割以上を輸入に頼っている現状にあります。バイオマス発電の割合を拡大させるためには、国内での安定した燃料の確保が課題とされています。

出典:資源エネルギー庁『今後の再生可能エネルギー政策について』(2021/3/1)(p.64)

3. バイオマス発電の現状と今後の展望

日本におけるバイオマス発電はどのような状況にあるのか、現状と今後の展望についてご紹介します。

バイオマス発電の導入割合

2020年度の日本における再生可能エネルギー割合は、前年から2ポイント増加となる20.8%です。そのうちバイオマス発電が占める割合は3.2%です。前年度と比較すると約2割増加していますが、日本が掲げる目標には程遠いです。

日本は第5次エネルギー基本計画の中において、日本は2030年度までにバイオマス発電割合を3.7〜4.6%に設定していましたが、第6次エネルギー基本計画策定に向け見直しが行われたことにより、目標が引き上げられる可能性があります。

出典:資源エネルギー庁『今後の再生可能エネルギー政策について』(2021/3/1)(p.19)

出典:isep『2020年の自然エネルギー電力の割合(暦年速報)』(2021/4/12)

バイオマス発電の今後の展望

一般社団法人バイオマス発電事業者協会によると、「一般木質・農作物残さ」分野における設備導入容量は以下のように推移する見通しです。

  • 2021年:198万kW

  • 2025年:411万kW

  • 2028年:455万kW

  • 2030年:484万kW

バイオマス発電が経済的に自立した電源になるように、2030年度を目標にガス火力発電程度の売電価格にし、競争力のある電源にする方針を固めています。

出典:一般社団法人バイオマス発電事業者協会『今後のバイオマス発電の導入見通し〈一般木質・農作物残さ〉』(2021/3/22)(p.1.3)

4. まとめ:バイオマス発電の課題や今後の展望を理解し、企業の取り組みを検討しよう!

法人の皆さまが知っておくべきバイオマス発電に関する基礎知識や、課題などについてご紹介しました。現在日本のバイオマス発電が置かれている状況を考えると、目標を達成するために解決すべき課題があります。バイオマス発電の課題や今後の展望を理解し、企業にできることはないか検討していただければと思います。

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