CDPスコアとは?コンサルティングを受けるメリットも解説

CDPスコアやCDPコンサルについて、わかりやすく解説します。CDPとは企業の環境課題への取り組みを評価・開示する仕組みで、2050年におけるネットゼロやネイチャーポジティブの実現に向け、世界中で利活用されています。

CDPは環境報告のグローバルスタンダードにもなっていますが、それだけにCDPへの対応には専門性が要求されます。本記事ではCDPの概要やCDP質問書への回答、CDP情報開示のためのコンサルティングによる支援などについてご紹介します。

目次

  1. CDPの概要

  2. CDP質問書への回答

  3. CDP情報開示のためのコンサルなどの支援

  4. まとめ:CDP質問書に回答し、企業の環境課題に関する情報を開示しよう!

1. CDPの概要

CDPは国際的な非営利団体であり、環境インパクトに関する企業の情報開示を推進しています。CDPの概要について解説します。

CDPとは

CDPCarbon Disclosure Project)とは国際的な環境非営利組織で、人々と地球にとって健全で豊かな経済を保つことを目的に設立されました。2050年におけるネットゼロ(温室効果ガスの排出量と吸収量がバランスした状態)やネイチャーポジティブ(生物多様性の損失を食い止め回復させること)の実現を目指し、企業や自治体へ環境インパクトに関する情報開示を促しています。

出典:CDP「CDPからの情報提供」p4-5(2022/3/3)

CDPの情報開示システム

CDPでは「測定していないものは管理できない」という考え方の下、環境データを各企業から収集しています。これにはCDPが環境に関する質問書を案内し企業の回答を求める場合と、企業が自主的にCDPへ回答する場合があり、CDPは回答を基に各企業へスコアを付け、CDPのプラットフォーム(システム)を通じて機関投資家や購買企業へ情報を開示しています。

出典:CDP「CDPからの情報提供」p6-9(2022/3/3)

CDPのプログラム

CDPは、3つのプログラムを展開しています。

プログラム名

対象

対象にとってのメリット

CDPキャピタルマーケッツ

機関投資家

企業の環境対策に関する世界最大の情報プラットフォームを利用できる

CDPサプライチェーン

企業

原材料などの調達をより持続可能で、環境耐性の高いものにすることができる

CDPシティ

自治体

開示情報の評価を受け、ベンチマーキング(他自治体との比較)を活用し、事業機会を特定することができる

こうした各プログラムにも、企業や自治体からCDPへの回答データが活用されています。

出典:CDPジャパン「プログラム」

2. CDP質問書への回答

CDPが企業の環境インパクトを評価する際には、質問書への回答を求める場合があります。CDP質問書への回答について解説します。

CDP質問書とは

CDPでは企業の環境インパクトを評価するため、3種類(気候変動、フォレスト、水セキュリティ)の質問書を用いています。質問書には業種共通の一般質問書と、特定の業種に向けたセクター別質問書があります。

質問書の内容は、「気候変動」では排出量算定方法やGHG排出量、「フォレスト」では木材・パーム湯・牛製品・大豆などの利用状況、「水セキュリティ」では施設別の水に関する数値データなどです。

CDPでは「スコアリングパートナー」が、各企業のCDP質問書への回答内容に基づいてスコアリングを行います。

出典:CDP「スコアリングイントロダクション 2023」p5

出典:CDP「[企業向け]CDP概要と回答の進め方」p15(2022/4)

CDP質問書に回答するメリット

企業はCDP質問書へ回答することによって、さまざまなメリットを得られます。その中でも特に大きいのは、世界中の機関投資家・購入企業・イニシアチブからの情報公開要請に同時に応えられるという点です。

またCDP質問書はTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討する国際組織)の提言に沿った内容となっており、自ずとTCFDに沿った情報開示が可能です。その他、環境課題に関するリスクやチャンスの把握や、企業の評判の維持向上、各種環境政策への先んじた対応などの効果も期待できます。

出典:CDP「[企業向け]CDP概要と回答の進め方」p10(2022/4)

出典:TCFDコンソーシアム「TCFDとは」

CDPスコアリングについて

CDPスコアは、情報開示、認識、マネジメント、リーダーシップというプロセスのどの段階にあるかを示す、D-からAまでの8段階に分かれています。質問書への回答内容に応じ、各プロセスごとに点数が付けられますが、プロセスにおける所定の点数を超えなかった場合は、次の段階へ進むことはできません。たとえば仮に「認識」で高い点数を取れたとしても、その手前の「情報開示」で定められた閾値を超えられなければ、CDPスコアはD止まりとなります。

CDPスコアリング

出典:CDP「スコアリングイントロダクション 2023」p6-7

自社回答の難しさとコンサルの有用性

CDP回答企業は、自社の現在の状況について完全で正確な情報を回答する必要があります。さらにCDPで高評価を得るには、空白のない網羅的な回答、先進的な取り組み、前年からの改善、具体的で定量的な目標などが求められます。しかしCDPの質問書は内容が専門的で幅広いため、自社だけで回答するのはかなりの困難を伴いますので、外部コンサルを受けるのが有効です。

出典:CDP「スコアリングイントロダクション 2023」p5

出典:CDP「CDPからの情報提供」p63(2022/3/3)

出典:アスエネ「CDP回答コンサルティング

3. CDP情報開示のためのコンサルなどの支援

CDPによって情報開示する際には、CDPやコンサルタントによる支援が有効です。CDP情報開示のための各種支援について解説します。

CDPによる各種支援

CDPでは開示を推進するために、各種サービスを提供しています。たとえばCDPスコアや回答方法について解説した「CDPスコアレポート」、「CDP概要と回答の進め方」(それぞれ動画・資料)や、3つの質問書の詳細など、多くの参考情報がCDPのホームページ上で公開されています。さらに有償の「CDPレポーターサービス」を利用すると、企業ごとのニーズに合わせたサポートやデータアクセス、先進的な知見などの提供を受けることができます。

出典:CDPジャパン「情報開示」

コンサル会社による支援

CDP回答をするにあたって、コンサルタント会社の支援を受けるのもひとつの方法です。環境課題に強いコンサルタントでは、CDPを含む各種イニシアチブ対応を行っています。たとえば気候変動リスクと機会のシナリオ分析、炭素関連資産の特定と管理、上場企業における気候変動ガバナンスと戦略の強化などについて、コンサルタントからの助言を得ることが期待できます。

出典:アスエネ株式会社「イニシアチブ対応」

出典:アスエネ株式会社「CDP回答コンサルティング」

CDP回答コンサルティング

コンサル会社によるCDP回答コンサルティングでは、CDP質問書への回答について、前年度の回答内容分析や質問内容の解説、回答案のレビュー、提出内容の最終チェックなどのサポートが期待できます。経験豊富なコンサルタントによるレビュー面談を通じた適切な回答方法の提案や、仮採点による現状のスコア把握と回答のブラッシュアップなどで、スコアアップを目指すことも可能です。

出典:アスエネ株式会社「CDP回答コンサルティング」

4. まとめ:コンサルを受けつつCDP質問書に回答し、企業の環境課題に関する情報を開示しよう!

CDPは企業の環境インパクトに関する情報開示を進める、国際的な非営利団体です。企業はCDPからの質問書へ回答することによって、投資家や購入企業へ環境課題に関する情報開示の要求に応えることができます。CDPの質問書は気候変動・フォレスト・水リスクの3つで構成され、回答はD-からAまで8段階のスコアとして評価されます。CDP質問書への回答には専門性が必要ですが、コンサルタントの支援を受けることによって、スムーズな開示やスコアアップに向けたサポートを得ることができます。 

コンサルティングも活用しつつCDP質問書へ積極的に回答し、企業の環境課題に関する情報を開示しましょう。

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