サステナブルとSDGsの違いとは?両者の関係も解説

サステナブルとSDGsの違いについて、わかりやすく解説します!サステナブルであることもSDGsも、企業における昨今の事業運営において欠かすことのできない視点です。サステナビリティやSDGsを意識しない企業は、消費者からの理解を得られないだけでなく、事業の長期的な継続も難しいといえるでしょう。

本記事ではサステナブルやSDGsの概要や両者の違い、サステナブルやSDGsに関連する概念や、サステナビリティやSDGsに取り組む企業の事例などをご紹介します。

目次

  1. サステナブル、SDGsとは

  2. サステナブル、SDGsに関連する概念

  3. サステナブルに取り組む企業事例

  4. SDGsに取り組む企業事例

  5. まとめ:サステナビリティとSDGsについて理解し、持続可能な世界を実現しよう!

1. サステナブル、SDGsとは

サステナブルとSDGsは相互に深く関係しています。サステナブルおよびSDGsについてそれぞれの概要や違いについて解説します。

サステナブルとは

サステナブル(Sustainable)とは英語でSustain(持続させる)に-able(~できる)が組みあわさった言葉で、「持続可能」という意味です。元々は1987年に「環境と開発に関する世界委員会」が発表した報告書「Our Common Future」で取り上げられた概念で、環境保全を考慮した節度ある開発が重要であるという考えに立っています。海や森の資源を使いつくさず、地球環境を壊さないようにしながら、人間の生活に必要なものを未来にわたって作り続けていく社会のことを「サステナブルな社会」と呼びます。

サステナブルな社会を実現するには無駄を減らし、自然を守りながら資源を利用するための工夫が重要です。さまざまな地球環境の悪化が危惧されている現在、事業活動がサステナブルであることが、企業にも求められています。

出典:朝日新聞「「動詞+-able」の語」

出典:外務省「持続可能な開発」

出典:WWFジャパン「『地球にやさしい』ってなんだろう?」

SDGsとは

SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)とは、国連サミットで2015年9月に採択された17の国際目標で、その内容は以下の通りです。

1. 貧困をなくそう

2. 飢餓をゼロに

3. 全ての人に健康と福祉を

4. 質の高い教育をみんなに

5.ジェンダー平等を実現しよう

6. 安全な水とトイレを世界中に

7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに

8. 働きがいも経済成長も

9. 産業と技術革新の基盤をつくろう

10. 人や国の不平等をなくそう

11. 住み続けられるまちづくりを

12. つくる責任つかう責任

13. 気候変動に具体的な対策を

14. 海の豊かさを守ろう

15. 陸の豊かさも守ろう

16. 平和と公正をすべてのひとに

17. パートナーシップで目標を達成しよう

これらの目標にはそれぞれさらに詳細なターゲットが設定されており、その数は合計で169にもなります。たとえば「13.気候変動」については、以下のターゲットが設定されています(※要約して記載)。

13.1.気候関連災害や自然災害に対する強靱性と適応力の強化
13.2.気候変動対策の各国政策、戦略、計画への盛り込み
13.3.気候変動に関する教育、啓発、人的能力、制度の改善
13.a.緑の気候基金の本格始動
13.b.気候変動関連の効果的な計画策定と管理のための能力向上メカニズムの推進

出典:WWFジャパン「SDGs(持続可能な開発目標)とは?WWFの取り組みと、これからの環境保全」(2019/9/19)

出典:公益社団法人日本ユニセフ協会「読んでみようSDGsの前文・宣言」

出典:農林水産省「SDGs(持続可能な開発目標)17の目標と169のターゲット」

サステナブルであることとSDGsの違いや関係

SDGsが世界の抱えている課題についての国際的な共通目標であるのに対し、サステナブルであること(サステナビリティ、持続可能性)は、SDGsの根本にある概念です。元々SDGsは「サステナブルな社会の実現」を目指す環境課題への取組みと、「貧困をなくすこと」を目指す開発課題への取り組みを統合する話し合いを経て誕生しました。開発課題においても環境配慮は重要であるため、SDGsでは目標間の関連を通じて全ての目標にサステナブルであることが関係しています。

出典:環境省「すべての企業が持続的に発展するために」p4(2020/3)

出典:一般社団法人環境パートナーシップ会議「パートナーシップでつくる私たちの世界/国連の新しい目標-2030年に向けて 序章 2030年の未来に向けて」

出典:環境省「地球環境の限界と持続可能な開発目標(SDGs)」p8

2. サステナブル、SDGsに関連する概念

サステナブルとSDGs以外にも、環境や社会課題について考える際に知っておくべき概念があります。その中でESGとSXについて解説します。

ESGとサステナブル、SDGs

ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)を考慮した投資活動や経営・事業活動を指します。SDGsが目標であるのに対し、ESGはそれを達成する手段と言えます。

特にESGに注目した投資活動を「ESG投資」と言い、主に財務情報に注目した投資手法に対し、非財務情報であるESGを重視した投資手法となっています。ESG投資の主な狙いは、世界の持続可能性を損ねないような投資先を選定することで、投資リスクを避けることです。

ESGはサステナブルであること(サステナビリティ)とよく似た概念ですが、日本においては「ESG要素を含む中長期的な持続可能性」とされており、サステナビリティの方がESGより少し広いものと考えられています。

出典:内閣府「2.2 ESGの概要」

出典:金融庁「記述情報の開示に関する原則(別添)―サステナビリティ情報の開示について」p2(2023/1/31)

出典:年金積立金管理運用独立行政法人「ESG投資」

SXとサステナブル、SDGs

SXとは「サステナビリティ・トランスフォーメーション」の略で、企業が社会に対する価値提供を行うことでサステナブルな社会の実現に寄与するとともに、自社の長期的かつ持続的な成長と更なる価値創出へもつなげていくことを指します。サステナブルな事業活動と企業の経済的な成長は別のもの、もしくは関係性が薄いというように考えられてしまうことがありますが、SXの実践によって両者を両立することが可能です。

出典: 経済産業省「伊藤レポート3.0」p1,25(2022/8/30)

3. サステナブルに取り組む企業事例

多くの企業が、サステナブルな事業活動に取り組んでいます。サステナブルへ取り組む企業の事例をご紹介します。

株式会社ニチレイ

株式会社ニチレイは、「サステナビリティ基本方針」を掲げ、サステナブルな事業活動に取り組んでいます。具体的には、あさりの漁業改善プロジェクトを通じた黄海沿岸の生物多様性の保全(あさりを育む干潟の管理レベル向上)や、トラックドライバーの不足や長時間労働問題という社会課題に対応した次世代輸配送システム(切り離し可能な荷台を活用した中継輸送網)の構築など、社会課題の解決に向けたプロジェクトを実施しています。

出典:株式会社ニチレイ「ニチレイグループ統合レポート2023」p3,94

株式会社MonotaRo

工業用資材のインターネット通販サイト「モノタロウ」を運営する株式会社MonotaROは、サステナブルな社会の実現に向け、気候変動や人権問題など社会問題にも配慮した上で成長を継続することを目指しています。たとえば主要物流拠点における省エネルギーや再生可能エネルギーの導入、環境配慮型商品の開発・提案、ダンボールの削減、破棄商品の社内利用などに取り組んでいます。

出典:株式会社MonotaRo「サステナビリティ 方針」 

出典:株式会社MonotaRo「サステナビリティ 環境(Envionment)」

4. SDGsに取り組む企業事例

多くの企業が、SDGs達成に貢献する事業を展開しています。SDGsに関連した企業事例をご紹介します。

株式会社コプロ・ホールディングス

建設専門エンジニア派遣を行う株式会社コプロ・エンジニアードを中核会社とする株式会社コプロ・ホールディングスは、SDGsの17の目標のうち5つを取り組むべき優先課題として特定しています。

たとえばSDGsの目標10「人や国の不平等をなくそう」もそのひとつで、外国籍社員数を2021年度34名から2023年度92名まで増やすなど、国籍や宗教に関係なく雇用し仕事を提供することに取り組んでいます。また目標12「つくる責任つかう責任」について、紙使用枚数の削減に取り組んでおり、2021年度2,398,900枚から2023年度1,822,101枚まで減らしています。

出典:株式会社コプロ・ホールディングス「SDGsの取り組み」

株式会社ポピンズ

保育・介護事業を展開する株式会社ポピンズ(以下「ポピンズ」)は、「働く女性の支援」という創業コンセプトを保ち、SDGsの17の目標のうち「5.ジェンダー平等の実現」など3つを自社のターゲットとして掲げています。ポピンズは2020年に日本で初の「SDGs-IPO」すなわちSDGsに資する用途に限定した資金調達を、公募による新規株式公開によって実施しました。

これは日本で初めてのケースとなります。ポピンズではその後もSDGsの目標「5.ジェンダー平等の実現」に関し女性の活躍推進に取り組み、女性役員や女性管理職の登用や保育士など女性の雇用創出、「8.働きがいも経済成長も」に関して保育士の初任給引き上げや現職保育士向けの「保育マネジメント講座」海溝など、SDGsを経営の中心に据えた取組みを続けています。

出典:株式会社ポピンズ「SDGsへの取り組み」

出典:株式会社大和証券グループ「株式会社ポピンズホールディングスによる新規株式公開に伴う公募による募集株式発行(SDGs-IPO)のお知らせ」p1(2020/11/16)

出典:株式会社日本総合研究所「Second Party Opinion: ポピンズホールディングス」p2(2020/11/16)

株式会社メニコン

株式会社メニコン(以下「メニコン」)は自社のSDGsへの取り組みを、活動内容とSDGsの各ゴールを紐づけて公表しています。たとえば「コンタクトレンズ事業を中心とした安心・安全な製品やサービスを通じた、見える喜びの提供」はSDGsの「3. 全ての人に健康と福祉を」に貢献するものとされています。具体的な取組みとしては、使い捨てコンタクトの宅配事業「メルスプラン」、コンタクトレンズの豊富なラインアップ、近視進行抑制に向けた技術や商品の開発などが挙げられています。

また環境へ配慮した取組みは目標「13.気候変動に具体的な対策を」などに貢献するものとして、工場における廃棄物削減や太陽光発電導入、リサイクル可能な素材を使用した製品の開発、コンタクトレンズのケア用品で培ったバイオ技術を応用した稲わら分解促進剤やたい肥化促進システムの開発などに取り組んでいます。

出典:株式会社メニコン「SDGsへの取り組み」

5. まとめ:サステナブルとSDGsについて理解し、持続可能な世界を実現しよう!

サステナブルであることとSDGsは深い関係にあり、それぞれ企業の事業活動における重要なテーマです。サステナブルであることが普遍的な課題だとすると、SDGsはそれをより具体的な形に落とし込んだものと言えるでしょう。サステナブルな社会の実現へ貢献することは、現代においては企業の責務であると同時に、成長戦略でもあります。

サステナブルやSDGsについて十分に理解し、持続可能な世界の実現へ貢献する事業活動を行いましょう。

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