転職市場で大注目の「GX人材」とは? 求人需要が6倍に

転職市場で最近注目されている「GX(グリーントランスフォーメーション)人材」とは?企業において、GX人材へのニーズが高まっている背景を最新の調査結果から解説。GX人材の求人動向を紹介します。

目次

  1. カーボンニュートラル実現に向けた、急激なビジネス環境の変化

  2. 転職市場におけるGX求人の伸び率は6倍に

  3. 転職者は3倍止まり。求人需要に供給が追い付かず

1. GX人材とは? 転職市場で大注目の理由

2015年のパリ協定を契機として、世界がカーボンニュートラルに向けて動き出しています。日本も2020年に「2050年カーボンニュートラル宣言」を行い、国内においても脱炭素社会への流れは不可逆なものになっています。

その流れを受け、日本の多くの企業が脱炭素への取り組みを最重要課題として位置づけて、CO2排出量の見える化・削減、規制に基づいた非財務である環境情報の開示や国際イニシアチブへの対応に取り組んでいます。

こうした取り組みのため、企業は、「サステナビリティ推進部(室)」や「グリーン推進部」、「カーボンニュートラル推進室」などの組織を立ち上げています。専門部署を設けないまでも、既存の部署に担当者を置いて、カーボンニュートラルやCO2排出量の見える化に取り組んでいます。

いまこの記事を読んでいる方は、すでにそういった部署で働いている人も多いかもしれません。

しかし現実には、大手の企業では、専門部署を設けているものの、専門人材を配置できておらず、中小企業では、人材がいなくてそもそも脱炭素に取り組めていないといった課題を抱えてている企業が多くなっているのです。つまり、企業規模を問わず、専門人材が求められているということなのです。

実はいま、こうしたビジネス環境の変化をうけ、転職市場で大きな変化が起きていることをご存じでしょうか。

それが、GX人材のニーズの高騰です。

GX人材とは、脱炭素やカーボンニュートラルに関わる業務に携わる人材を指すことが一般的です。また、「サステナビリティ推進部(室)」や「グリーン推進部」、「カーボンニュートラル推進室」などの専門部署で活躍する人材を指すこともあります。その職種は研究職や技術職、事務関連職種まで多岐に渡ります。

ただ、ここ数年の急激なビジネス環境の変化のなかで生まれた概念のため、日本国内では「GX人材」の定義づけを行っている最中でもあります(海外では一部定義づけが実施されています)。

脱炭素やカーボンニュートラルの取り組みに迫られる中で、企業では上記のような専門部署、専門職として、脱炭素に取り組む当該部署で活躍できる人材を募集する動きが活発化しているのです

2. 転職市場におけるGX求人の伸び率は6倍に

急激なビジネス環境の変化のなかで、いま必要とされているの「DX人材」ですが、その求人数はどれくらい増えているのでしょうか?

リクルートエージェントにおけるGX求人の推移 ※2016年度を「1」とする(出所:リクルート)

リクルートエージェントにおけるGX求人の推移 ※2016年度を「1」とする(出所:リクルート)

リクルートの転職支援サービス「リクルートエージェント」の求人の「求人タイトル」または「仕事の内容」から、経済産業省がGXについて示す「カーボンニュートラルを目標にした経済社会システム全体に関わる仕事内容や業務内容に準ずるもの」を抽出した調査によると、リクルートエージェントにおけるGX求人の推移は、2016年度を1として、2022年度では約6倍にまで増加していることがわかります。

とくに2020年からの伸びが顕著です。カーボンニュートラル宣言がされたのが2020年であることを考えると、社会の流れを受けて、ビジネス環境が大きく変わったということができると思います。

カーボンニュートラル達成に向けた取り組みがますます加速している昨今の潮流において、今後も「GX人材」の求人は増加することが予測されます。

ではどんな業界、職種で求人が増えているのでしょうか。同じくリクルートの調査結果を見てみましょう。

リクルートエージェントにおけるGX求人の推移(業界別)※2016年度を「1」とする(出所:リクルート)

リクルートエージェントにおけるGX求人の推移(業界別)※2016年度を「1」とする(出所:リクルート)

業界別の求人数の推移を見てみると、どの業界においても、その求人数が増えていることから、業界問わず「GX人材」が求められていることがわかります。とくに採用活動が活発なのは、「化学業界メーカー」「IT通信業界」です。GX人材としての転職を考えている方にとっては、注目の業界といえます。「GX人材」はニーズが高く、業界未経験者であっても、転職を検討する価値はあると考えられるでしょう。

リクルートエージェントにおけるGX求人の推移(職種別)※2016年度を「1」とする(出所:リクルート)

リクルートエージェントにおけるGX求人の推移(職種別)※2016年度を「1」とする(出所:リクルート)

さらに職種別の推移を見てみましょう。採用職種は企画系から技術系まで多岐にわたります。企業は「カーボンニュートラル」「サーキュラーエコノミー」など、これまでにない取り組みをする必要があることから、異職種から人材を迎えるケースも多くあります。

特にグローバル展開を進める企業では、環境や社会に配慮した事業展開をしているかを重視して「ESG投資」をする海外投資家の視線が厳しくなっていることもあり、GXを推進するための人材ニーズは高いのが特徴です。どの業界でも、サステナビリティ関連の非財務情報開示にあたるポジションの求人が多く見られます。

現在、サステナビリティ関連職やカーボンニュートラルなどにまつわる職種に就業している転職希望者には、現在のキャリアが転職の強みになるということができるでしょう。

また、「経験者」がほとんど存在しないジャンルの求人では、「興味関心の高さ」と「何らかの専門性やスキル」があれば採用に至るケースもあるそうです。

GX人材のニーズの高さは、求職者にとっては思いがけない業界や企業に活躍のチャンスともいえるのです。

3. 転職者は3倍に増加。求人需要に供給が追い付かず

リクルートエージェントにおけるGX求人の転職者推移※2016年度を「1」とする(出所:リクルート)

リクルートエージェントにおけるGX求人の転職者推移※2016年度を「1」とする(出所:リクルート)

これまで見てきて、GX人材のニーズが高まっていることはわかりました。では、どれだけの人が、転職をしているのでしょうか。上のグラフを見てください。これはリクルートエージェントで実際にGX求人に転職した人の推移です。

GX求人への転職者も上昇傾向であり、「3.09倍」になっています。ただGX求人の推移は、2016年度を1として、2022年度では約6倍にまで増加しているのに対して、実際の転職者は約3倍にしか増えていないともいうことができるでしょう。つまり企業の需要に対して人材の供給が追い付いていない状況です。

GXは比較的新しい概念だからこそ、GX求人の経験者は少数です。だからこそ、こういった需要と供給のミスマッチが起きているともいえるでしょう。

しかし、その背景にはもう一つの要因があると推測されます。それは「どこでGX求人を見つけたらいいのかわからない」ということです。

前述のとおり、GXは新しい概念です。ここ数年の間に急増した求人だからこそ、GX人材としての転職を目指す求職者にとって、その仕事探しの窓口がわかりにくくなっているという現状があります。

企業にとっては、喉から手が出るほど必要なGX人材。求人数が増えている今こそ、チャンスです。現在の「サステナビリティ」や「カーボンニュートラル」に携わっている経験を活かし、これまでのキャリアとは異なる業界や新たな企業にチャレンジしたい、仕事を通じて環境問題など社会課題の解決にも貢献したいといった思いがあるのなら、GX人材の求人に強い転職サービスを使って、新たな一歩を踏み出すことを考えてみてもいいのではないでしょうか。

GX人材としての転職に興味を持たれた方は、アスエネでもキャリア相談を行っています。ぜひ、お問合せください。

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