地球沸騰化の影響で予期される未来と今後求められるエネルギー

地球沸騰とまで表現される地球温暖化の問題は日々深刻化しており、世界中で気温の上昇や異常気象が頻発しています。このままのペースで地球温暖化が進行すると、私たちの生活や環境に大きな影響が及ぶことが懸念されています。その影響の範囲や深刻さはまだ完全に予測できないため、早急な対策が求められています。

では、具体的にどのような取り組みが必要なのでしょうか。本記事では、地球温暖化の現状についての詳しいデータや情報、そして今後の予測される影響について詳しく解説します。さらに、再生可能エネルギーの実態やその重要性についても触れています。

目次

  1. 地球温暖化の現状

  2. 再生可能エネルギーの概要

  3. 再生可能エネルギーのメリット・デメリット

  4. まとめ:節電やゴミの分別など、できることからコツコツ始めよう!

1. 地球温暖化・地球沸騰化の現状

地球沸騰とまで言われるようになった地球温暖化の現状と、地球温暖化によって引き起こされる影響について解説しています。

(1)地球温暖化・地球沸騰化の現状

地球温暖化が加速し、ヨーロッパや日本での豪雨災害など、異常気象による大規模な自然災害が後を絶ちません。日本では40℃を記録することが多くなり、世界各国で気温が上昇し続けています。

また、2023年7月27日、国際連合のグテーレス事務総長は「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と発言しており、この背景には、2023年7月の世界の平均気温が史上最高の16.95度以上となったことがあります。

日本国内では、7月に猛暑日が連続し、多くの地域で過去最高の気温が記録されました。例えば、石川県小松市では40.0℃、福島県伊達市でも40.0℃が観測されました。

アメリカのデスバレーでは、気温が53℃を超えるなど、世界中で猛暑が観測されています。ヨーロッパでは、ギリシャのロードス島で熱波による大規模な山火事が発生しました。

出典:産経ニュース「地球沸騰の時代 対応策強化に本腰入れよ」

出典:防災新聞「災害級の暑さで地球が沸騰する時代に到達!人類が生き残るためには」(2023/8/19)

(2)地球温暖化・地球沸騰化による影響

地球温暖化の具体的な影響として、以下のようなものがあります。

気温の上昇

最高気温が30℃以上となる真夏日の日数が増加することが予測されており、東京の現在の真夏日は年間約46日ですが、21世紀末には年間約103日となる可能性があります。

海面水位の上昇

気候変動が及ぼす海面水位の上昇は、沿岸や低平地、小島に住む人々の暮らしに影響を与えます。台風による高潮や沿岸域の氾濫、海岸侵食による被害が増加する可能性があります。

農作物への影響

地球温暖化により、農作物の栽培に影響が出る可能性があり、リンゴの色づきまで気温の影響を受け、収穫時期に影響が出ることが報告されています。

出典:環境省「地球温暖化の現状」

2. 再生可能エネルギーの概要

再生可能エネルギーの実態と具体的な再生可能エネルギーについて解説しています。

(1)再生可能エネルギーとは

再生可能エネルギー(太陽光、風力、地熱、中小水力、バイオマスなど)は、温室効果ガスを排出せず、国内で生産可能なエネルギー源のことをいいます。これはエネルギー安全保障にも寄与する重要な低炭素の国産エネルギー源とされています。

パリ協定の下で、温室効果ガスの排出量を削減することが必要とされており、再生可能エネルギーはその実現に貢献することができます。

日本は資源に乏しく、エネルギーの供給の大部分を海外からの輸入に依存しています。再生可能エネルギーは国産のエネルギー源であり、エネルギー自給率の改善に寄与することができます。日本の発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合は、2020年でおよそ20%で、残りの8割は天然ガスや石炭などで構成されています。

出典:資源エネルギー庁「再エネ 日本のエネルギー2022年度版」

出典:資源エネルギー庁『再生可能エネルギーとは』

(2)主な再生可能エネルギー

ここでは太陽光発電、風力発電、バイオマス発電、水力発電、地熱発電について詳しく紹介します。

太陽光発電

太陽光発電は、シリコン半導体などに光が当たると電気が発生する現象を利用し、太陽の光エネルギーを太陽電池(半導体素子)により直接電気に変換する発電方法です。日本における導入量は、近年増加しており、2016年度末には3,910万kWに達しました。

風力発電

風力発電は、風のエネルギーを電気エネルギーに変換する技術です。欧米諸国に比べると日本の導入は遅れていましたが、2000年以降導入件数は急増し、2016年度末で2,203基、累積設備容量は335.7万kWに達しています。特徴として、陸上と洋上での発電が可能であり、風力エネルギーは高効率で電気エネルギーに変換できる点や、夜間でも発電可能である点が挙げられます。

バイオマス発電

バイオマスとは、動植物などから生まれた生物資源の総称で、バイオマス発電では、この生物資源を「直接燃焼」や「ガス化」することで発電を行います。技術開発が進んでおり、多様な生物資源が有効に活用されています。特長として、CO2を排出しない地球温暖化対策、循環型社会の構築、農山漁村の活性化、地域環境の改善などが挙げられます。

水力発電

水力発電は、水資源に恵まれた日本の純国産の再生可能エネルギーとして、昔から盛んに行われています。大きなダムを利用した発電が一般的に知られていますが、中小水力発電の建設も近年活発化しており、河川の流水や農業用水、上下水道などを利用するケースも増えています。特長として、安定的な電力供給、長期稼働、低炭素での発電、成熟した技術力などが挙げられます。

地熱発電

日本は火山帯に位置しており、地熱利用は戦後から注目されてきました。1966年に本格的な地熱発電所が運転を開始し、現在は東北や九州を中心に展開しています。地熱発電の特徴として、高温の蒸気・熱水の再利用、持続可能な再生可能エネルギー、昼夜を問わずの安定した発電が挙げられます。

出典:資源エネルギー庁「再生可能エネルギーとは」

出典:資源エネルギー庁「太陽光発電」

出典:資源エネルギー庁「風力発電」

出典:資源エネルギー庁「バイオマス発電」

出典:資源エネルギー庁「水力発電」

出典:資源エネルギー庁「地熱発電」

3. 再生可能エネルギーのメリット・デメリット

再生可能エネルギーのメリット、デメリットについて解説しています。

(1)再生可能エネルギーのメリット

再生可能エネルギーがなぜ注目されているのかですが、それは、再生可能エネルギー(太陽光、風力、地熱、中小水力、バイオマスなど)は、温室効果ガスを排出しないため、環境に優しいエネルギー源であるためです。

これらのエネルギーは国内で生産可能であり、エネルギー安全保障にも寄与できる。東日本大震災以降、温室効果ガスの排出量が増加している中、再生可能エネルギーの導入はパリ協定の目標達成に向けての重要な手段となっています。

補足:再生可能エネルギーの現状と課題

日本の電源構成における再生可能エネルギーの比率は約16%で、他国と比べて低い水準にあります。2030年度の目標として再生可能エネルギー比率を22〜24%とする計画があります。

再生可能エネルギーの発電コストを低減させること、安定した電源としての役割を果たすこと、電力系統の問題を解決することなど、さまざまな課題が存在します。

出典:資源エネルギー庁「再生可能エネルギーの特徴」

(2)再生可能エネルギーのデメリット・課題

上述したように、再生可能エネルギーにはメリットが沢山あり、注目されていますが、同時にデメリット・課題も存在しますので、解説します。

高い発電コスト

再エネは他の電源に比べて発電コストが高い。特に日本では、太陽光発電の発電量に影響する「日照」や風力発電の発電量に影響する「風況」が国によって異なるため、発電コストの低減が難しい。

地理的な問題

日本は平野部が少ないなどの地理的な問題があり、再エネの導入が難しい。また、日本は島国であり、他国との電力の融通が難しい。

発電量の不安定性

太陽光や風力などの再エネは、天候によって発電量が大きく変動する。このため、発電量の予測が難しく、電力の需要と供給のバランスを取るのが難しい。

送電網の問題

日本の送電網は各エリア間の連系が限られており、余った電気を他のエリアに融通するのが難しい。

コストの問題

再エネの導入には大きな投資が必要であり、これが電気料金の上昇につながる可能性がある。

出典:資源エネルギー庁「資源エネルギー庁がお答えします!~再エネについてよくある3つの質問」

4. まとめ:地球温暖化・地球沸騰化の現状を知った上で、節電やゴミの分別など、できることからコツコツ始めよう!

この記事で説明したように、地球温暖化が進行し「地球沸騰」と表現されるほど深刻な状況になっており、世界各地で異常気象が頻発が記録されており、人々の生活や自然環境に甚大な影響を与えています。そのため、再生可能エネルギーによる発電が今後の課題となっています。

発電と聞くと企業でできることはあまりないと思われがちですが、節電やゴミの分別を徹底するだけでも、地球温暖化の抑制に効果があるほか、太陽光発電を事務所、自社ビルの屋根などに装置を取り付けることができるため、再生可能エネルギーの利用を検討するのも良いのではないでしょうか。

また、近年企業でも取り組みとして推奨されているカーボンオフセットを自社で行うことが可能になるので、ぜひ再生可能エネルギーの活用を検討しましょう。

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