“Circular Economy”ってどんな意味?ビジネスチャンスを掴む経済の捉え方

Circular Economy(サーキュラーエコノミー)は循環型経済と訳される言葉で、廃棄物を出さず資源を再利用する経済の在り方です。物資を大量消費する線形経済(リニアエコノミー)は地球環境に大きな負荷をかけています。それを修正する試みがサーキュラーエコノミーと考えることができるでしょう。

今回はサーキュラーエコノミーの意味やサーキュラーエコノミーに転換すべき理由、サーキュラーエコノミーとビジネスのかかわりについて解説します。

目次

  1. Circular Economy(サーキュラーエコノミー)の意味とは?

  2. Circular Economyと比較されるLinear Economyとは?

  3. Circular Economyに転換すべき理由

  4. Circular Economyを後押しする新ビジネス

  5. まとめ:Circular Economyでビジネスチャンスをつかもう!

1. Circular Economy(サーキュラーエコノミー)の意味とは?

Circular Economy(以下、サーキュラーエコノミー)は、日本語では循環型経済と訳します。サーキュラーエコノミーは「あらゆる段階で資源の効率的・循環的な利用を図りつつ、付加価値の最大化を図る経済」と定義されます。

製品の設計段階で3R(リユース・リデュース・リサイクル)を意識し、再生材など環境配慮型素材の積極的利用を図ります。そして、廃棄する資源を無くするよう努めます。従来のリサイクルよりも一歩踏み込んだ内容で、より一層の工夫や技術開発が必要となります。

 

出典:経済産業省『循環経済ビジョン2020(概要)』(p2.5)(2020/5)

2. Circular Economyと比較されるLinear Economyとは?

Linear Economy(以下、リニアエコノミー)とは、日本語では線形経済と訳します。1920年代、第一次世界大戦後の好況に沸くアメリカで大量生産・大量消費の文化が生まれました。原料を調達し、商品を大量生産。そして大量販売・消費する線形経済の始まりです。

日本で大量生産・大量消費が顕在化するのは高度経済成長期のこと。技術革新や大量生産技術の確立により商品があふれるようになりました。プラスチックなどの合成樹脂やナイロンなどの合成繊維が大量生産され始めるのもこの時代です。

出典:消費者庁『1960 年代 大量生産、大量販売、大量消費から起きる消費者問題 入門!消費者問題の歴史』

こうした経済が「線形経済」とよばれるのは資源の調達から製品の生産、消費、廃棄までの流れが一方通行だからです。

3. Circular Economyに転換すべき理由

世界的な人口増加や新興国の経済成長により資源需要が増大し、生産時に生まれたり、消費された商品が廃棄されたりしたときに発生する廃棄物の問題は世界環境に大きな影響を与えつつあります。リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーに転換すべき理由についてみてみましょう。

(1)世界的な資源需要の増加

世界のDomestic Extractionの推移と各国のDomestic Material Consumptionの推移 (1970年を基準1とした)出典:経済産業省・環境省『サーキュラー・エコノミー及びプラスチック資源循環分野の 取組について』(p4)(2020/5/18)

新興国の経済発展は世界的な資源需要の増加につながりました。それにともない採掘される天然資源の量も増加。2014年には1970年の3倍以上に達しました。特に経済成長が著しいベトナムなどの東南アジア諸国や中国での資源需要増加が顕著です。

出典:資源エネルギー庁 『日本のエネルギー 2022年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」』

資源の中でも特に注目すべきは「レアメタル」です。希少な金属であるレアメタルは先端技術産業で欠かすことができない鉱物資源です。先進国はもとより、経済成長著しい新興国でもレアメタルの需要が増大するでしょう。例えば、日本の基幹産業である自動車産業では多くのレアメタルが使用されています。

主要レアメタルの年間輸入量

出典:資源エネルギー庁 『日本のエネルギー 2022年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」』

また、再生可能エネルギー普及の鍵を握るとされる「リチウムイオン蓄電池」の原料であるリチウム、コバルト、ニッケルなどの鉱物資源はほぼ100%輸入に頼っています。これらの国際価格が上昇すれば製品コストの増大を招き、日本経済に打撃となるかもしれません。

(2)困難な廃棄物処理

1980年代、先進国が廃棄物を発展途上国に放置し、環境を汚染するという事態が相次ぎました。それを抑えるため、1992年に有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関する「バーゼル条約」が締結されます。

しかし、廃棄物の「輸出」は止まりませんでした。経済成長が著しい東南アジアや中国では、資源の供給が追い付かず廃プラスチックなどを資源として輸入したからです。

そして、2017年以降、東南アジアや中国で廃棄物の輸入に対する規制が強化されます。それまで、日本国内で発生した廃プラスチックや廃タイヤなどを「資源」として輸出していましたが、それが不可能となります。各国は自国で生み出される廃棄物を自国内で処理する必要に迫られているのです。

 

出典:経済産業省・環境省『サーキュラー・エコノミー及びプラスチック資源循環分野の 取組について』(p5)(2020/5/18)

出典:外務省『地球環境:バーゼル条約』(2019年12月13日)

4. Circular Economyを後押しする新ビジネス

廃棄物を出さず、可能な限りモノを長く使う試みの一つが「メルカリ」です。「メルカリ」でリサイクルが進むことで、廃棄物の量を減らせる可能性があります。

「airCloset」は月額定額制の洋服レンタルサービス。「メチャカリ」なども同じカテゴリーのサービスです。トヨタが打ち出した「Kinto one」は毎月一定額の支払いで保険料なども込みで自動車を利用できるサービスです。いずれも、「作って、売って、捨てる」という流れを断ち切るための試みといえるでしょう。

他にもAIを利用した需要予測やごみの分別、リサイクルの促進なども進められています。こうした技術革新もサーキュラーエコノミーを後押しする力となるでしょう。

出典:経済産業省・環境省『サーキュラー・エコノミー及びプラスチック資源循環分野の 取組について』(p6)(2020/5/18)

5. まとめ:Circular Economyでビジネスチャンスをつかもう!

サーキュラーエコノミーは大企業だけの話ではありません。中小企業にとっても大きなビジネスチャンスになります。たとえば、石川県金沢市にある「会宝産業」は中古自動車部品の海外輸出で利益を上げています。

また、長野県にある「山翠社」は古民家の解体や古木のリサイクルなどをつうじて、「古民家・古木サーキュラーエコノミー」というビジネスを行いGOOD DESIGN賞を受賞しています。

こうした試みは、都市部であれ地方であれ、今後ますます活発になると予想されます。サーキュラーエコノミーを他人事だと思わず、自社でも取り組むことでビジネスチャンスをつかめるのではないでしょうか。

出典:会宝産業『〜 循環型社会構築への挑戦〜 Vol. 1』(p3)

出典:山翠社『会社案内|店舗デザイン設計施工・古材買取販売・古民家移築解体再生 - 古木の店舗デザインNo.1/木のお店つくるなら山翠舎(さんすいしゃ)』

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