日本最大級のESGカンファレンス「アスエネESGサミット2023」開催レポート

ESG・脱炭素経営を支援するアスエネは、日本最大級のESGカンファレンス「アスエネESGサミット2023」を10月11日(水)に開催しました。

ハイブリッド開催をし、オンラインでは数千名、オフライン会場となった大崎ブライトコアホールでも100名を超える賑わいを見せた本イベントでは省庁や業界を代表するゲストスピーカーを迎え、ESG・脱炭素経営などをテーマに8つのセッションを行いました。

目次

  1. 成長志向型カーボンプライシング構想について

  2. 環境省の脱炭素への取り組み

  3. 企業に求められるサステナビリティ・脱炭素に向けた取組の潮流

  4. カーボンフットプリント(CFP)の政府・消費者・企業の動向とCFPの始め方

  5. ビジネスは社会を変えるためのプラットフォーム

  6. 地球上のすべてのものに、良い影響を目指して

  7. KDDIのサステナビリティ経営とGXソリューション

  8. 今求められる人的資本の開示とESG経営

  9. アスエネESGサミットに参加をして

成長志向型カーボンプライシング構想について

「成長志向型カーボンプライシング構想について」というタイトルで行われたパネルディスカッションでは経済産業省の若林伸佳氏をゲストに迎え、Carbon EX

共同代表取締役兼Co-CEO竹田氏も交えてカーボンクレジットに関するディスカッションが行われました。

このディスカッションでは、カーボンクレジット市場や政府全体の体系に焦点が当てられ、GXリーグと排出権取引の概要、GX-ETS(GXリーグにおける排出権取引制度)の段階的発展、GXリーグの枠組み、そしてGX-ETSの情報開示仕組みについて詳細に議論されました。

また、カーボンクレジット市場のスケジュール、炭素価格の水準、そしてGX経済移行債についても話題となり、持続可能な未来への道筋が模索されました。また、Carbon EXの竹田CEOはマーケットプレイス型になっていることについて触れ、それに決まった背景や狙いについて言及しました。

環境省の脱炭素への取り組み

環境省 大臣官房 環境経済課の平尾禎秀氏が登壇し「環境省の脱炭素への取り組み」についてのパネルディスカッションは、環境省の各制度に焦点を当てた内容となりました。本パネルディスカッションではIPCCの最新報告や今年開催されるCOP28における議論、そしてESG金融の動向に触れ国際的な情勢を踏まえた状況について述べた後、環境省が掲げる中長期の温室効果ガス排出削減目標の実現に向けた具体的な取り組みについて焦点を当てました。

これには、グリーンファイナンスの促進、地域社会への脱炭素技術の普及、J-クレジット制度の活用、デコ活(デカーボネーション活動)、EEGS(エネルギー効率化グランドデザイン)などが含まれており、これらの制度やイニシアチブを通じて、環境省が脱炭素経済の推進に果たす役割が具体的に説明されました。

企業に求められるサステナビリティ・脱炭素に向けた取組の潮流

三井住友銀行(SMBC) サステナブルソリューション部 部長の藤間正順氏が登壇し行われたパネルディスカッション「企業に求められるサステナビリティ・脱炭素に向けた取組の潮流」では、SMBCとしてのESGに関する取り組み内容とアスエネESGについての紹介とESG経営に関するパネルディスカッションが行われました。

本パネルディスカッションでは、三井住友銀行が1年半前に設立したサステナビリティ本部の重要性や気候変動に対応するためのルールメイキングについて話しました。また、顧客に対してどのように付加価値を提供しているかについても語り、サステナビリティとESGへの取り組みがビジネスにおいて競争力の源となること、ESGが企業と社会においてどれほど重要であるかを再確認し、持続可能なビジネスモデルへの移行が進行中であることを示しました。

カーボンフットプリント(CFP)の政府・消費者・企業の動向とCFPの始め方

ボストン コンサルティング グループ(BCG) マネージング・ディレクターの森原誠氏が登壇し「カーボンフットプリント(CFP)の政府・消費者・企業の動向とCFPの始め方」についてのパネルディスカッションを行いました。本パネルディスカッションではCFPの前提知識、算定方法、国内外の状況についての基本情報について触れ、CFPの重要性を強調しました。

さらに企業の環境問題に対する海外消費者の期待感は日本のものよりもを上回っていることに注目し、日本国内でも消費者が持続可能な行動を取る必要があるという背景からCFPに関連する企業と消費者の動向を分析し、これらの要素から企業が直面する課題と成功事例やそれらに対するBCGの支援事例、CFPを通して未来の経営戦略について考察を述べました。

ビジネスは社会を変えるためのプラットフォーム

「ビジネスは社会を変えるためのプラットフォーム」というタイトルで、セールスフォース・ジャパン 執行役員、遠藤理恵氏が登壇し、セールスフォースのビジネスモデルと社会への貢献について語りました。遠藤氏は、セールスフォースのビジネスモデルとそれがどのように社会変革のプラットフォームとなっているかを強調し、セールスフォースの価値観として、社会への貢献が重要視され、CEOであるMarc Benioffの社会に対するコミットメントが組織全体に影響を与えていることを示唆しました。

セールスフォースは、現在脱炭素化技術の社会実装を支えるため、世界的なイニシアチブを展開し、」環境への配慮と持続可能性に焦点を当てています。セールスフォースのコアバリューに「Sustainability」が組み込まれた背後にある動機とその影響について語り、ビジネスと社会貢献の調和が未来の成功に欠かせないことを示しました。

地球上のすべてのものに、良い影響を目指して

「地球上のすべてのものに、良い影響を目指して」というタイトルで、株式会社スノーピーク 副社長執行役員、坂本宣氏が登壇し、スノーピーク社のサステナビリティへの取り組みと構想について語りました。坂本氏は、スノーピークがどのようにサステナビリティを推進し、ビジネスを展開しているかを紹介し、「スノーピークウェイ」と呼ばれる独自のアプローチやサプライチェーンに焦点を当て、調達と生産者との関係について話しました。

国内外の調達における課題と、それに対処する戦略についても語り、サステナビリティへの取り組みを具体的に示しました。最後に、坂本氏は環境変化と地域社会との関わりに触れ、スノーピークが地域との連携を通じて環境への配慮を実現している方法について語りました。彼の登壇は、企業がサステナビリティを通じて地球に良い影響をもたらす方法についての示唆を提供し、参加者に環境への取り組みの大切さを強調しました。

KDDIのサステナビリティ経営とGXソリューション

「KDDIのサステナビリティ経営とGXソリューション」と題し、KDDI株式会社 ソリューション事業本部の内川亘氏が登壇し、KDDIのサステナビリティと脱炭素への取り組み、そしてアスエネとの協業について語りました。内川氏は、まずKDDIのサステナビリティと脱炭素に向けて全世界でカーボンニュートラルを推進し、データセンターを使用した省電力化を通じて実質のCO2排出をゼロにする取り組みについて話しました。

次に、2023年9月に締結したKDDIとアスエネの協業の概要や今後の注力分野を説明し、アスエネとの連携がKDDIのサステナビリティビジョンを推進する重要な要素であることを強調しました。最後に、内川氏はアスエネとの今後の協業と未来の構想に言及し、特に情報開示後のステークホルダーとの連携について考える方法を示しました。

今求められる人的資本の開示とESG経営

EY Japan Climate Change and Sustainability Services Leaderである牛島慶一氏が登壇し、タイトル「今求められる人的資本の開示とESG経営」についてのパネルディスカッションを行いました。牛島氏はISSB(国際持続可能性基準委員会)およびCSRD(企業持続可能性報告書基準)について説明し、これらの規格が日本と日本企業に与える影響について語りました。

次に、人的資本を含むインパクト会計の重要性に焦点を当て、これらの要素を会計的にどのように可視化できるかについて議論した後、ISSBおよびCSRDが施行された場合、企業と社会にどのような影響をもたらすかについても考察し、これらの規格が企業に求める透明性と責任を示唆しました。最後に、ISSBがシングルマテリアリティ、CSRDがダブルマテリアリティと呼ばれている中で、日本企業がどのように対応できるかについて言及しました。

アスエネESGサミットに参加をして

今回のアスエネESGサミットでは、経済産業省・環境省といった政府の視点、各業界のリーディングカンパニーが登壇者として参加し、脱炭素やESG経営における国際トレンドや取り組みについて話しました。。オンライン・オフライン共に多くの参加者が集まり、大盛況に終わったアスエネESGサミットは、脱炭素・ESG経営の国際潮流、先進事例、手法を広く学べる場となりました。

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アスエネESGサミット2024