脱炭素社会とは?2050年までに実現すべき理由など基礎知識を徹底解説

脱炭素社会について、みなさんはどこまで理解されていますか。2020年以降の温暖化対策に関する国際的な枠組みであるパリ協定が2015年に採択されたことをきっかけに、世界が目指す社会は、低炭素社会から脱炭素社会にシフトしました。今や国・自治体・企業・家庭と様々な分野で取り組みが活発化しています。 この記事では、脱炭素への取り組みをご検討中の法人の皆さまが知っておくべき脱炭素社会に関する基本的な知識についてご紹介します。

目次

  1. 脱炭素社会とは

  2. 2050年カーボンニュートラル(脱炭素)について

  3. 脱炭素社会に向けた企業の取り組み

  4. まとめ:脱炭素社会に関する理解を深め、脱炭素に取り組もう!

1. 脱炭素社会とは

脱炭素社会と似た言葉に低炭素社会があります。どちらも温室効果ガス排出量の削減を目指す社会ですが、どのような違いがあるのでしょうか。ここでは、脱炭素社会と低炭素社会の違いについてご紹介します。

脱炭素社会とは?

2015年に採択されたパリ協定において、「産業革命以降の気温の上昇を2℃または1.5℃までに抑える」という具体的な長期目標が設定されたことをきっかけに、世界が目指す社会は、低炭素社会から脱炭素社会に変わりました。

脱炭素社会が意味するのは、温室効果ガス排出量が実質ゼロの社会です。できるだけ温室効果ガス排出量を削減し、どうしても排出できない量を吸収や除去によりゼロにするというのが基本的な考え方です。

パリ協定では、脱炭素社会を実現するために、先進国や途上国が独自に目標を掲げ、温室効果ガス排出量削減に向けた取り組みを行っています。

カーボンニュートラルとは出典:資源エネルギー庁『「カーボンニュートラル」って何ですか?(前編)~いつ、誰が実現するの?』(2021/2/16)

脱炭素社会と低炭素社会の違い

低炭素社会が意味するのは、温室効果ガスの排出量が少ない社会です。低炭素社会という考え方が主流だった頃に採択された京都議定書においては、先進国に対して現状から何年で何%削減するようにという形で目標が与えられ、温室効果ガス排出量削減に向け取り組むことを求めていました。

脱炭素社会を目指す現在と比べると、先進国だけを対象にしていることや、目標が自由に決められないなどの課題がありました。

出典:資源エネルギー庁『今さら聞けない「パリ協定」 ~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~』(2017/8/17)

2. 2050年カーボンニュートラル(脱炭素)について

多くの国が2050年度までの脱炭素社会を目指し、温室効果ガス排出量削減に向け取り組んでいます。ここでは、なぜ脱炭素の目標が2050年なのか、脱炭素化にする必要性などについてご紹介します。

脱炭素の目標はなぜ2050年なのか

2021年1月20日時点において、2050年までのカーボンニュートラル実現を表明しているのは124ヶ国と1地域です。2050年が大きな目標とされている背景にあるのが、パリ協定の長期目標の達成です。

国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は「IPCC1.5度特別報告書」において、産業革命以降の気温の上昇を1.5℃以内におさえるためには、2050年を目安に脱炭素化することが必要であるとの見解を示しています。

2050年までにカーボンニュートラルを宣言した国

出典:資源エネルギー庁『「カーボンニュートラル」って何ですか?(前編)~いつ、誰が実現するの?』(2021/2/16)

なぜ脱炭素化にする必要があるのか

脱炭素化が叫ばれている背景にあるのが世界各地に深刻な影響を与えている気候変動問題です。気候変動問題を引き起こしている大きな要因になっているのが、産業革命が始まった1750年以降増加し続けていた温室効果ガスによる世界の平均気温の上昇です。

平均気温は変動を繰り返しながら上昇傾向にあり、気象庁の発表によると100年あたり0.72℃の割合で上昇しています。深刻な洪水や台風など気候変動問題を食い止めるためには、平均気温を上昇させない取り組み、すなわち脱炭素への取り組みが欠かせません。

世界の年平均気温偏差

出典:気象庁『世界の年平均気温』

脱炭素社会実現に向けた日本の方針

2050年までのカーボンニュートラルを目標に掲げる日本は、脱炭素社会を実現させるための指標となる「地域脱炭素ロードマップ」を2021年6月9日に策定しています。

地域脱炭素ロードマップの主役となるのは、地域にある自治体や企業で、中間目標とする2030年までに集中して行うべき背策や取り組みが具体的に示されています。

政府は人材や情報、資金面から自治体や企業をサポートし、2030年までに脱炭素先行地域を100ヶ所以上創出することや、自家消費型太陽光や省エネ住宅などを推進するなどの方針を固めています。

出典:環境省 脱炭素ポータル『国・地方脱炭素実現会議(第3回)で『地域脱炭素ロードマップ』が決定!!』(2021/7/9)

3. 脱炭素社会に向けた企業の取り組み

企業が事業活動を通して排出するCO2排出量の削減目標を掲げ、再エネ100宣言 RE Actionに賛同し、脱炭素社会実現に向け取り組む中小企業が増加しています。

中小企業は再エネ100宣言 RE Actionに賛同していることを自社のホームページなどで対外的に公表することで、ステークホルダーや投資家に対してアピールすることができます。ここでは、再エネ100宣言 RE Actionの概要や、賛同している企業の事例についてご紹介します。

再エネ100宣言 RE Actionとは?

再エネ100宣言RE Actionは、2019年8月に設立された組織です。賛同できるのは日本の中小企業や自治体、教育機関などの団体です。

再エネ100宣言RE Actionに賛同する企業は、2050年までに事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーに切り替える目標を設定することや消費電力量や再生可能エネルギー割合の進捗状況を毎年報告することなどが求められます。

出典:再エネ100宣言 RE Action『再エネ100宣言 RE Actionについて』

賛同企業の事例

[1]有限会社 千田清掃

宮城県大崎市にある廃棄物リサイクル業者です。事業活動で使用する電力を自家発電で賄い、廃食用油のリサイクル業を行うなど環境問題に取り組んでいます。

出典:千田清掃『事業内容』

[2]株式会社 徳田工務店

宮城県仙台市にある工務店です。2030年を目標に、事業で利用する電力を100%再生可能エネルギーに切り替えるために取り組んでいます。

出典:株式会社 徳田工務店『再エネ100宣言 RE Action』へ参画』(2021/4/9)

[3]有限会社 倉繁歯科技工所

鳥取県倉吉市にある歯科技工所です。2030年を目標に企業の消費電力を100%再生可能エネルギーで賄い、脱炭素経営に切り替える宣言をしています。

出典:鳥取県倉吉市『倉繁歯科技工所』

4. まとめ:脱炭素社会に関する理解を深め、脱炭素に取り組もう!

現在世界に深刻な影響を与えている気候変動問題を食い止めるには、世界の平均気温の上昇を止めなければなりません。

平均気温上昇の大きな原因であるCO2の多くは、企業の事業活動により排出されています。これ以上、平均気温を上昇させないためにも、企業での脱炭素に向けた取り組みを始めましょう。

アスエネESGサミット2024資料 この1冊でLCAの基礎を徹底解説資料 サプライチェーン全体のCO2排出量Scope1〜3算定の基礎を徹底解説
アスエネESGサミット2024