地球温暖化による乾燥化の影響とは!?農作物への影響も解説

地球温暖化の進行によって、世界各地で乾燥化が深刻な問題となっていますが、今後、乾燥化が進むとどのような影響がでてくるのでしょうか。この記事では乾燥化の実態とそれによって引き起こされる影響、さらに、地球温暖化と除草剤の意外な関係性についてまとめています。

目次

  1. 乾燥化によって引き起こされる影響とは

  2. 除草剤による農作物への影響

  3. 砂漠化による影響と抑制に向けた取り組み

  4. まとめ:地球温暖化による影響を理解すると共に、他にどのような影響があるか調べてみよう!

1. 乾燥化によって引き起こされる影響とは

地球温暖化による乾燥化の実態と乾燥化が及ぼす影響について解説しています。

(1)地球温暖化による乾燥化

地球温暖化による乾燥化は、気候変動の影響の一つであり、気温上昇や気候パターンの変化によって引き起こされる現象です。

現在、地球上の陸地の4割以上が乾燥地域と見積もられていますが、この先地球温暖化の影響により、その面積は増える可能性があります。今世紀末には7%ほど増えるのではないかと予測されています。

乾燥地域は降水量が少なかったり、水資源が枯渇しやすかったりすることから、水不足に陥りやすいのが特徴です。その乾燥地域には地球上の人口の4割が生活しているため、人々の生命を維持していくことが喫緊の課題といえます。

出典:環境省『砂漠化する地球 -その現状と日本の役割-』

(2)地球温暖化が与える農作物への影響

気候変動によって、品質低下や収穫量減少が見られる農作物が70品目以上に上っていると報告されています。特にコメ、ブドウ、ナシ、トマト、ミカンなどが影響を受けており、高温、集中豪雨、降水量の増加、干ばつなどが具体的な影響として挙げられています。また、農家は新しい作物栽培や品種改良に挑戦している一方で、気候変動による影響は避けられない現実となっています。

出典:47news『地球温暖化、農作物70品目に深刻なダメージ 品質低下や収穫量減少 コメ、野菜、果物、豆類…食卓が脅かされる』(2022/8/23)

2. 除草剤による農作物への影響

アメリカで行われた実験では、夏の後半に除草剤を散布した際に、かなりの確率で農作物に損傷等の被害が及びました。その原因はおそらく除草剤を散布したときの高温乾燥な気象条件によるものと考えられています。

多くの接触除草剤は高温(90度以上)でより活性化する傾向があります。
高温の気象条件下でこれらの除草剤が活性化することで、雑草の抑止につながりますが、一方で作物への損傷リスクも増加します。

また、接触除草剤に加えられた散布剤が高温乾燥な条件下では農作物に損傷被害を引き起こす可能性もありますが、それによる損傷は一時的なもので農作物は最終的に回復します。

高温の気象条件下で接触除草剤による農作物の損傷リスクを最小限に抑えるためには、除草剤の成分が低いものを選ぶことがオススメです。加えて、気温が比較的低い朝方か夕方に接触除草剤を散布することで、農作物の被害を最小限に抑えることができます。

出典:IOWA STATE UNIVERSITY『Considerations for Herbicide Applications under Hot Dry Conditions』(2021/6/9)

3. 砂漠化による影響と抑制に向けた取り組み

上述の内容から分かる通り、乾燥化が進んでいると同時に、地球温暖化による砂漠化も進んでいる状況が続いています。そこで、砂漠化とは何か?その原因とは何か?について解説します。

(1)砂漠化とは何か?

砂漠化(さばくか)とは、もともと緑豊かな土地が、植物が育ちにくい土地に変わってしまう現象です。主に乾燥地域で起こり、気候変動や人間の活動が大きな原因とされています。砂漠自体では砂漠化は起こらず、人が住んでいる場所や植物が生えている場所が影響を受けます。

また、砂漠化の原因は大きく分けて以下の2つが挙げられます。

  • 気候的要因

長期的な干ばつや気候変動が影響を与えます。

  • 人為的要因

過度な牧畜、木の伐採、不適切な農業手法などがあります。

出典:鳥取大学乾燥地研究センター「砂漠化って、なんだろう?」

(2)砂漠化による影響とは?

砂漠化が深刻な問題とされていますが、その要因は、以下のような影響があるためです。以下にいくつか解説します。

  • 生活環境の劣化

乾燥地に住む人々は、食料、飼料、薪炭材などを生態系に依存しています。土地の劣化が進むと、生態系も劣化し、住民の生活環境が悪化します。一度生態系が損なわれると、回復は困難であり、農業生産性の低下や貧困が進行します。

  • 悪循環の進行

特にアフリカ諸国では、干ばつが頻発し、土地の劣化が進むと、住民は生存のために森林や水などの自然資源を過剰に利用することになり、これがさらに土地の劣化を促進します。

  • 気候変動との関連

砂漠化は気候変動を促進し、逆に気候変動も砂漠化を進行させます。砂漠化により、炭素の放出が増加して気候変動を促進し、生物多様性が失われる可能性があります。

  • 経済的損失

砂漠化により、作物や家畜の生産性が低下し、経済的な損失が発生します。例えば、持続不可能な土地管理により、コムギ、トウモロコシ、コメの生産に年間566億米ドルの損失が発生しています。

  • 健康への影響

砂塵嵐の頻度と強度が増加し、人々の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。特に呼吸器系に影響を与える粒子状物質や汚染物質が問題となります。

  • 水資源の減少

土壌の劣化により、土壌の保水能力が低下し、洪水や干ばつが激化します。これにより、水資源が減少し、人々の生活に影響を与える可能性があります。

出典:環境省『砂漠化する地球 -その現状と日本の役割-』

(3)砂漠化の抑制に向けた目標

上述した通り、砂漠化は重要な課題とされており、SDGs(持続可能な開発目標)17の目標にも砂漠化が追加されており、重要な課題の1つです。

17の目標のうち、15番の「陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する」という項目の中の15.3に以下の内容が含まれています。

15.3の内容:2030年までに、砂漠化に対処し、砂漠化、干ばつ及び洪水の影響を受けた土地などの劣化した土地と土壌を回復し、土地劣化に荷担しない世界の達成に尽力する。

出典:農林水産省『SDGs(持続可能な開発目標)17の目標と169のターゲット』

4. まとめ:地球温暖化による影響を理解すると共に、他にどのような影響があるか調べてみよう!

除草剤は雑草を抑制する一方で、農作物や人体へ影響を及ぼす危険性があります。地球温暖化による乾燥化の影響で除草剤の需要は減っていますが、使用する際には天候や時期、成分などをしっかりと考慮したうえで利用するようにしましょう。

砂漠化は持続可能な開発目標にも含まれる重要な課題の1つとなっています。

企業、個人の皆さんが協力して行うことで環境問題を抑えることが出来るので、地球温暖化に対する知識をつけ、新しい判断基準を持ちましょう。

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