サステナビリティな取り組みとは?企業のサステナビリティな取り組みを解説

「サステナビリティ」という言葉が定着する中、企業のサステナビリティへの取り組みは、消費者が企業のサービスを選ぶための選択肢ともなります。今や企業のサステナビリティへの取り組みは当たり前であり、一歩先を見据えたサステナビリティの取り組みが今後の大きな成長へとつながります。ここでは、サスティナビリティの意味や企業の考え方、取り組み事例などを分かりやすくご紹介します。

目次

  1. サステナビリティとは?

  2. 企業におけるサステナビリティ情報の開示

  3. サステナビリティ経営に有効なサステナビリティ・トランスフォーメーションとは?

  4. 企業におけるサステナビリティ取り組み事例

  5. まとめ:サステナビリティの取り組みへの理解を深め、本物のサステナビリティ経営を!

1. サステナビリティとは?

「サステナビリティ」は、企業を経営する上で欠かすことができないプログラムです。ここでは、サスティナビリティの意味と、同じ意味合いで例えられる「SDGs」との違いについてご紹介します。

サステナビリティの意味とは?

サステナビリティとは、日本語で「持続可能性」を意味し、簡単に言うと、「ずっと保ち続けることができる」という意味になります。具体的には、「社会と環境を保つこと」に併せて「経済の成長」の両立を目指すものとしています。

そのためには、「将来の世代のニーズを満たしつつ、現在の世代のニーズも満足させるような開発(=持続可能な開発)」が重要だとしています。

サステナビリティとSDGsの関係

サステナビリティと併せてよく耳にする言葉に「SDGs」があります。「SDGs」とは、サステナビリティの取り組みにおいて、2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットのことを指します。

SDGsは、各分野において目標が明確にされているので、企業がサステナビリティの取り組みをする上で、取り組むべき目標を具体的に表すことができます。

出典:外務省『SDGs 実施指針改定版』p,1.(2019/12/24)

2. 企業におけるサステナビリティ情報の開示

サステナビリティ情報開示について

企業におけるサステナビリティ情報開示は、具体的には「ガバナンス」「リスク管理」「戦略」「指標及び目標」の4項目において開示が求められています。このうち、「ガバナンス」と「リスク管理」は、すべての企業に対して開示が求められ、「戦略」と「指標及び目標」においては、各企業がその重要性を判断して開示することとされています。

出典:金融庁『記述情報の開示に関する原則(別添)』p,1.(2023/01/30)

企業におけるサステナビリティの考え方とは

企業におけるサステナビリティの考え方として、日本だけでなく世界のサステナビリティ情報開示の基準や、その情報を用いた取り組みのスピードが急速となっているのが現状であり、サステナビリティ情報の開示の「重要性」を含めて、今後の国内外の動向に合わせて、変化が伴うものと考えられています。

重要性を考えるにあたっては、企業の持続可能性に関する事項について、経営方針と経営戦略等の両立を意識することが重要です。サステナビリティ開示情報においては、自社で働く従業員の人権の尊重、汚職や不正な取引などの防止、ガバナンス、セキュリティシステムなど、環境や社会との関係性だけでなく企業の経営全体を通した考え方が重要とされています。

出典:金融庁『記述情報の開示に関する原則(別添)』p,1.p,2.(2023/01/30)

サステナビリティ情報開示における企業の取り組み

企業が、サスティナビリティ情報開示において気候変動対応が重要と判断した場合、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標及び目標」を開示することが望ましいとされています。

また、温室効果ガス(GHG)排出量に関しては、企業の業務形態や経営環境等を踏まえた上で重要性を判断することを前提に、「Scope1(事業者自らによる直接排出)」、「Scope2(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)」の温室効果ガス排出量について、積極的に情報開示することが期待されています。

出典:金融庁『サステナビリティ開示に関する関係府省会議(第1回) 説明資料』p,6.(2022/03/11)

出典:環境省『サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する 基本ガイドライン (ver.2.5)』p,15.p,16.(2023/03/10)

 

3. サステナビリティ経営に有効なサステナビリティ・トランスフォーメーションとは?

企業がサステナビリティの取り組みを行うためには、従来の経営方法をサステナビリティを重視した経営に変えることが必要です。「サステナビリティ・トランスフォーメーション」は、サステナビリティ経営に有効な考え方とされています。

サステナビリティ・トランスフォーメーションとは?

サステナビリティ・トランスフォーメーション(₌SX)とは、社会のサステナビリティと企業のサステナビリティを「同期化」させていくこと、さらにそのために必要な経営・事業変革(トランスフォーメーション)のことです。 

社会のサステナビリティと企業のサステナビリティの同期化とは、企業が長期的に持続可能な社会へ向けた価値提供をし続けることで、社会の持続可能性に貢献すると同時に、自社の長期的かつ持続的に価値を生み出し、稼ぐ力を向上していくことを意味します。

2. 企業におけるサステナビリティ情報の開示 サステナビリティ情報開示について

出典:経済産業省『伊藤レポート 3.0 (SX 版伊藤レポート)』p,2.(2022/08/29)

サスティナビリティ・トランスフォーメーションが必要な理由

国際的な問題とされている気候変動問題や人権問題などのサステナビリティ課題は、企業活動の持続性に大きな影響を及ぼしており、サステナビリティ課題に向き合わない企業は、投資家、消費者、労働市場から評価を得ることが難しく、その結果、事業活動の継続に影響が生じるケースが増えています。今や、サステナビリティ経営は経営継続のために必須と言えます。

出典:経済産業省『伊藤レポート 3.0 (SX 版伊藤レポート)』p,7.(2022/08/29)

中小企業におけるサスティナビリティ・トランスフォーメーション

世界規模でサステナビリティ経営が急速に進む中、日本の中小企業も自社だけでなくバリューチェーン全体でSXを進めて行く必要があります。バリューチェーンとはサービスや商品の原材料の調達から製造、流通、顧客に渡るまでの一連の流れのことであり、これら全体がSXの対象となります。バリューチェーン全体でSXを達成させるためには、長期視点での設備投資計画、経営・事業の在り方を柔軟に変革するなど、長期に価値を生み出し続ける取り組みが重要です。中小企業は資金面でSX導入が難しいこともありますが、大企業などに、積極的に企業間連携やオープンイノベーションなどを持ちかけることも有効な方法です。

出典:経済産業省『伊藤レポート 3.0 (SX 版伊藤レポート)』p,16,17.(2022/08/29)

4. 企業におけるサステナビリティ取り組み事例

既に、さまざまな分野の企業がサステナビリティへの取り組みで成果を上げています。ここでは企業におけるサステナビリティへの取り組み事例をご紹介します。

ナカノ株式会社

リサイクル事業を運営する「ナカノ株式会社」は、衣類の回収だけでなく、再商品化し再利用するところまで一貫した仕組みが整っています。

回収された古着は、上質な衣類は海外に提供する他、ウエス、反毛、 フェルト、軍手など生まれ変わらせることで再利用、特に軍手は日本全国の工場を始め環境保全活動やボランティア活動などで活用されています。資源を有効活用することで循環利用を促進すると共に、古着の廃棄を削減し、発生するCO2排出量の削減に貢献しています。

出典:環境省『古着をリユース・リサイクルする取り組み事例』(2022/03/10)

太平洋セメント株式会社

セメント業の「太平洋セメント株式会社」は、社会・防災インフラに必須なコンクリートの基礎素材に、廃棄物・副産物を有効活用してセメントを製造し、最終処分量の削減に取り組みながら「循環型社会」構築の大きな役割を担っています。

セメント原料のひとつである粘土代替として、石炭火力から発生する石炭灰を使用しています。また、廃プラスチックも熱エネルギーに活用し、エネルギー起源のCO2削減に貢献しています。

出典:環境省『注目事例集』p,8.(2022/09/14)

根羽村森林組合

根羽村森林組合」は、地元の根羽杉を利用してタオルを製造しています。根羽杉 をチップにしてセルロース化した後、和紙にし細く裁断、それを糸にして布を作ります。これは、古くから日本に伝わる和紙作りや、 糸を撚る(よる)技術が生かされており、化学繊維は一切使用していません。

 商品タグも木の布から仕上げているので、タオルを処分する際は、地中に埋めることが可能で、埋めた後は微生物によって、1ヶ月程度で分解される仕組みとなっています。

出典:環境省『注目事例集』p,11.(2022/09/14)

第一生命ホールディングス株式会社

金融持株会社の「第一生命ホールディングス株式会社」は、2020年にドイツの世界的な大手消費財メーカー「Henkel AG & Co. KGaA(以下、ヘンケル社) 」が、資金使途を廃プラスチック削減目的に限定した世界初の社債を発行した際に、発行額の全額を購入しました。

この社債によって調達された資金は、商品のリサイクル性の向上や、製造過程におけるプラスチック素材使用量の削減に充てられ、第一生命ホールディングス株式会社は廃プラスチック削減に向けた取り組みを資金面からサポートすることとなりました。

出典:環境省『J4CE注目事例集(2021)』p,15.(2021/08/31)

5. まとめ:サステナビリティの取り組みへの理解を深め、本物のサステナビリティ企業へ!

企業におけるサステナビリティの取り組みは「基本」であり、今後は環境と経営がプラスとなる関係を築くことが重要となります。そのためにも、サスティナビリティ情報開示が必要であり、サステナビリティの取り組みの向上を図るにはサステナビリティ・トランスフォーメーションが有効となります。

企業におけるサステナビリティの取り組みは、利用者からの企業のイメージアップにもつながります。サステナビリティの取り組みへの理解を深め、本物のサステナビリティ企業を目指しましょう。

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