2023年ダボス会議・世界経済フォーラム年次総会の主なテーマと今後の見通し

2023年のダボス会議・世界経済フォーラムは、世界のトップランナーが一堂に会し、今日の難題を話し合う重要な舞台となります。ここでリーダーたちは、気候変動、デジタル経済、国際パワーバランスの変化など、さまざまな問題について深く掘り下げ、対話を通じて解決策を探ります。

ダボス会議は未来の世界経済の方向を探るための羅針盤のような存在です。新たな視野を広げ、それを企業のビジネス戦略に反映させるよう理解しておきましょう。

目次

  1. ダボス会議とは?

  2. 2023年ダボス会議の主なテーマと内容

  3. 今後の国際社会および世界経済の見通し

  4. まとめ:ダボス会議に関心を持ち世界情勢を把握しよう!

1. ダボス会議とは?

ダボス会議は、正式には世界経済フォーラム(World Economic Forum, WEF)です。毎年スイスのダボスで開催され、世界各地から政治家、ビジネスリーダー、学者、ジャーナリストなどが集まり、国際経済や政策、環境問題、テクノロジーの進歩など、世界に影響を及ぼすさまざまなテーマについて議論します。

(1)ダボス会議の目的と意味

ダボス会議は、ビジネスリーダーや政策立案者が一堂に会し、現代の重要な問題を共有し討論するためのフォーラムです。参加者は自身の視点と知識を持ち寄り、新たな視角から問題を捉え、共通の理解を形成し、これが新たな協力関係へとつながります。

特に経済視点からは、経済政策や市場動向、新たなビジネスの機会やリスク、新技術の影響等が議論の対象となります。ダボス会議は、各参加者が知識と視点を共有し、学び、行動を共有することで、複雑な問題を解決する新たな道筋を見つけることを促します。

 

出典:WORLD ECONOMIC FORUM 「Davos AM23」2023年1月17日

(2)2023年世界経済フォーラムが発表したグローバルリスク

2023年の「グローバルリスク報告書」は、「ポリクライシス」と「資源競争」を2つの重要な焦点として掲げています。ポリクライシスは、異なるリスクが互いに影響し合い、複合的な影響や予期せぬ結果を生むという概念で、今後の脅威への対処法を求めるために必要な新たな理解を生み出しています。

一方、資源競争は、食料、水、エネルギーなどの天然資源に対する供給と需要のバランスが、環境、地経学的、社会経済のリスクに直結する問題を指しています。これら2つの概念は、グローバルリスクの予測と対策において重要な視点を提供し、今後の行動計画の策定に対する新たな指針を提示します。

出典:World Economic Forum logoグローバルリスク報告書2023年版:「急激な生活費危機とサステナブルな気候アクションの狭間で緊張がピークに」2023年1月11日

2. 2023年ダボス会議の主なテーマと内容

2023年のダボス会議は、現在の地球規模の課題とリスクを解決するための新たなシステムとビジョンを模索します。気候変動、資源競争、エネルギーと食糧危機、貿易、インフレ、債務問題、産業逆風、社会的脆弱性、地政学的リスクといったテーマを探求し、官民が連携して解決策を探ります。

(1)エネルギーと食糧危機への対応

世界のリーダーは、食糧とエネルギーの危機に立ち向かうために、互いに協調して行動する必要があります。気候変動と人類の進歩に重点を置き、政策転換や大規模な投資を推進することで、生態系の崩壊を防ぎ、食糧供給とエネルギー供給の安全性を確保すべきです。

サプライチェーンの混乱に対応し、投資判断を行うためにもレジリエンス(強靭性)を強化し、長期的なリスクと構造変化に対応する戦略を策定することが求められます。

(2)世界経済における高インフレや低成長への対応

世界経済は気候変動や地政学的対立による高インフレ・低成長リスクに直面しており、これに対処するためには、持続可能な経済成長を促進する新しい金融政策と、エネルギーや食糧等の基本資源への効率的なアクセスを保障するグローバルな協力体制の構築が求められます。

(3)将来の社会環境経済的な繁栄を形成するための対応

将来の社会環境経済的繁栄のためには、エネルギー、食料供給危機やインフレへの対応は不可欠で、これには国際的協調と持続可能な政策が必要です。また、気候変動対策の実施とヒューマンキャピタルへの投資も重要で、これらは長期的な安定と繁栄に寄与します。

(4)世界的な離職率および失業率の改善と景気減退に対する対応

2023年のグローバルリスク報告書によれば、現在の広範な問題に対処するには、迅速で全力の取り組みが必要です。経済の下降と失業問題に立ち向かうには、賢い投資と政策作りが求められます。

具体的には、環境に優しい技術、教育、再生可能エネルギー、労働力のスキル向上など、未来の成長分野への投資が大切です。これらの取り組みにより、新しい仕事を生み出し、技術の進歩と世界のリスクに強くなることができます。

(5)地政学的リスクの緩和に向けた多極化した世界の関係改善

2023年のダボス会議において、地政学的対立と緊張が原因で、エネルギーおよび食料の供給危機が今後2年間続く可能性が高いと紹介されています。同時に、テクノロジーの悪用によるリスクも指摘されています。この警告を受け、世界の関係改善に向けた努力が求められています。

出典:World Economic Forum logoグローバルリスク報告書2023年版「急激な生活費危機とサステナブルな気候アクションの狭間で緊張がピークに」2023年1月11日

3. 今後の国際社会および世界経済の見通し

世界経済の舞台裏では、景気後退の恐怖が忍び寄っています。一方で、経済の再生と回復への希望の声も決して無視できません。未来予測は難しいですが、経済の展望は予測と希望のせめぎ合いによって描かれていきます。

(1)2023年の世界経済の見通しは暗い

キャロライナ・クリント氏の発言によれば、2023年の世界経済は、食料、エネルギー、原材料、サイバーセキュリティ等のリスク増大が予想されます。これはサプライチェーンの混乱を引き起こし、投資判断を困難にします。各国や組織は短期的な懸念に加え、長期リスクや構造変化への対応も必要となり、地政学的な緊張が更に高まる可能性があります。

(2)世界経済の景気後退は拡大すると予見

サーディア・ザヒディの言葉からは、今後の経済状況の深刻化は、特にエネルギー、食料、負債、災害などを中心に進行する可能性が示唆されています。そして、これは最も脆弱な人々や危機に直面している人々の増加を招く可能性があり、これが景気後退の拡大につながると予想されています。

(3)一方で懸念より世界経済は回復する声もある

キャロライナ・クリント氏は、食料、エネルギー、原材料、サイバーセキュリティのリスクが増大し、サプライチェーンの混乱や投資判断への影響を招く可能性があると指摘しています。しかし、再生可能エネルギーや電気自動車の進化、レジリエンスの強化などが示すように、世界経済の回復は可能です。しかし、これには気候変動やサプライチェーンの混乱などの課題に迅速かつ戦略的に対処する必要があると述べています。

出典:World Economic Forum logoグローバルリスク報告書2023年版「急激な生活費危機とサステナブルな気候アクションの狭間で緊張がピークに」2023年1月11日

4. まとめ:ダボス会議に関心を持ち世界情勢を把握しよう!

ダボス会議は世界の経済・社会の動向を対話し予測する場であり、これからの経営指針や事業について考える際に参考になる情報が多く見つかります。2023年は多様なテーマが扱われ、国際社会の未来予想図を描き出していました。

また、ダボス会議にて扱われているテーマは多様であるだけではなく、世界が共通で持っている課題や意識です。ダボス会議の議論を追い、世界の流れを理解することで今後の世界の動向や企業の成長に必要な要素を推測し、それらに合わせた対策を講じることができます。ダボス会議だけでなく、国際的な状況について認識する機会を多く持つことが重要となるでしょう。

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