CO2削減における日本の企業の取り組みに必要なこととは?

CO2削減には、日本の企業の取り組みが大きな役割を果たします。ここでは、CO2削減のための日本の企業の取り組みの現状や、日本の企業の取り組みのポイントを企業の取り組み事例を交えてご紹介します。CO2削減に取り組む姿は、企業のアピールにもつながります。

目次

  1. 日本のCO2削減の取り組みの現状とは?

  2. なぜ日本の企業にCO2削減の取り組みが求められているのか?

  3. CO2削減における日本の企業の取り組みのポイント

  4. 日本の企業のCO2削減の取り組み事例

  5. まとめ:CO2削減の理解を深め日本の企業の取り組みの先駆け的存在に!

1. 日本のCO2削減の取り組みの現状とは?

企業におけるCO2削減の取り組みが重要視される中、実際の企業のCO2削減の取り組み状況はどのようになっているのか、その現状をご紹介します。

日本のCO2排出量

CO2(二酸化炭素)とは、地球温暖化におよぼす影響がもっとも大きい温室効果ガスで、その発生源の多くは石炭・石油の消費やセメントの生産などです。つまり、化石燃料を使用することで発生する温室効果ガスです。

2021年度の日本のCO2排出量は、11億7,000万トン(CO2換算)であり、2013年度のCO2排出量(14億800万トン)と比べると、16. 9%(2 億 3,770 万トン)減少しています。ただし、前年度の2020年のCO2排出量(11億4,700万トン)からは、2.0%(2,320 万トン)の増加となっています。

我が国の温室効果ガス排出量(2021 年度確報値)出典:環境省『1. 温室効果ガス排出・吸収量』p,2.(2023/04/21)

日本のCO2排出削減量

日本のCO2排出削減量は、BAU比で見ると2019年度では2020年度の目標値150万トン(CO2換算)を大きく超える426万トン(CO2換算)を達成していますが、翌年の2020年度ではCO2排出削減量が90万トン(CO2換算)となり目標を下回っています。BAU比とは、対策が⾏われなかった場合に想定される温室効果ガス排出量のことで、自然の状態で比べた場合を指します。

BAU比 CO2排出削減量の推移

出典:経団連『経団連カーボンニュートラル行動計画 2021年度フォローアップ結果 個別業種編』p,12.p,17.(2022/03/28)

出典:環境省『JCM ⽅法論ガイドブック』p,3.(2021/04/27)

日本の企業のCO2削減の取り組みの現状

2022年度の日本の中小企業におけるCO2削減の取り組み状況は、全体の44.9%となっており半分に満たない状況です。3年前の実施割合(41.9%)から見ても、CO2削減の取り組み状況にあまり変化がないことが分かります。

出典:日本政策金融公庫『中小企業の脱炭素への取り組みに関する調査』p,4.(2023/01/18)

2. なぜ日本の企業にCO2削減の取り組みが求められているのか?

日本の企業にCO2削減の取り組みが求められる背景には、国の取り組みなどが大きく関係しています。ここでは、企業がCO2削減に取り組む必要性をご紹介します。

カーボンニュートラル宣言

政府は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すことを2020年10月に宣言しました。カーボンニュートラル達成には、CO2排出量の削減が必須であり、そのためには国だけでなくライフサイクルに大きく関わる日本の企業のCO2削減の取り組みが必須となります。

出典:環境省『カーボンニュートラルとは - 脱炭素ポータル』(2021/07)

2050年カーボンニュートラル宣言に伴うグリーン成長戦略

国では、「2050年カーボンニュートラル宣言」を踏まえ、さまざまな分野における技術や環境でのCO2削減に向けた取り組みへの転換を促す「グリーン成長戦略」を掲げています。

これは、経済と環境に好循環を作っていくもので、経済にも環境にもプラスの効果が期待されており、企業はそれぞれの分野での目標に応じてCO2削減に取り組みます。これにより、企業は技術の進歩や経営のビジネスチャンスにより大きな経済効果が期待できます。

出典:経済産業省『グリーン成長戦略(概要)』p,1.(2021/09/03)

日本のNDC(国が決定する貢献)

日本は、2030年度において、温室効果ガスを 2013年度から46%削減することを目指しています。具体的には、企業が大きく関係するエネルギー起源のCO2排出量を2013年度の1,235万トン(CO2換算)から2030年度には677万トン(CO2換算)にすることを目標としています。

出典:環境省『日本のNDC(国が決定する貢献)』p,2.(2021/10/21)

SDGs

2015年9月に行なわれた「国連持続可能な開発サミット」で決定した国際社会共通の目標、すなわち「持続可能な開発目標(=SDGs)」も、CO2削減の日本の企業の取り組みに大きく関係しています。特に「目標13:気候変動に具体的な対策を」は、CO2削減が重要な取り組みとなっており、2022年度6月の日本の達成度は「重要な課題が残っている」とされています。

出典:日本ユニセフ協会「SDGs17の目標」

3. CO2削減における日本の企業の取り組みのポイント

CO2削減を行なう場合、やみくもに取り組みを行っても効果が期待できません。CO2削減を効果的に行うには、効果的な取り組みがポイントとなります。ここでは、CO2削減における日本の企業の取り組みのポイントをご紹介します。

小規模単位での改善

企業がCO2削減の取り組みでいちばん取り入れやすい取り組みがオフィスの改善です。具体的には、オフィスの照明にLED照明を導入したり、パソコンの電源設定の見直し、空調設定の見直しなどでCO2削減の効果に期待ができます。

物流の効率化

営業や配送などで使用する自動車をエコカーに入れ替えたり、渋滞を避けたり自動車以外の輸配送方法を取り入れるなど物流の効率化を図ることでCO2削減効果に期待できます。

出典:環境省『温室効果ガス削減目標及び対策

再エネ電力への切り替え

CO2排出は化石燃料が主な原因となっている為、企業で使用するエネルギーを化石燃料由来のものを使い続けるとCO2削減の取り組みは望めません。再生エネルギーに転換することでCO2削減効果に期待ができ、簡単に導入する方法として再エネ電力を取り扱っている電気事業者に切り替えることでCO2削減が可能となります。

出典:環境省『はじめての再エネ活⽤ガイド(企業向け)』p,38.(2023/04/27)

再エネ電⼒証書の購⼊

再エネ電力への切り替えが難しい場合は、「再エネ電力証書」を購入する方法があります。これは、再エネ由来の環境価値だけを証書として購⼊することで、再エネ電⼒の価値(CO2排出削減効果など)を得られるものです。証書は、経済産業省、環境省、農林⽔産省が主体の「再エネ電⼒J-クレジット」と⽇本品質保証機構が主体の「グリーン電⼒証書」があり、企業は、再エネ由来の環境価値だけを購⼊できるので、従来の電⼒の契約を変更しなくて済むという利点があります。

出典:環境省『はじめての再エネ活⽤ガイド(企業向け)』p,39.(2023/04/27)

4. 日本の企業のCO2削減の取り組み事例

ここでは、日本の企業のCO2削減の取り組み事例をご紹介します。

一般社団法人日本鉄鋼連盟

鉄鋼業を担う「一般社団法人日本鉄鋼連盟」は、日本の製造業と連携して高機能鋼材を開発しました。この高機能鋼材は、ハイブリッドカーや電気自動車、電車、船舶、超々臨界圧ボイラーなどに使用され、2020年度では国内、輸出合わせて3,226万トン(CO2換算)のCO2削減効果を達成しています。

出典:環境省『高機能鋼材 製品使用段階CO2排出量削減』(2023/06/19)

株式会社エコマスター

「株式会社エコマスター」は、2017年4月、家庭や事業所から出る可燃ごみを発酵・乾燥させて固形燃料の原料としてリサイクルする「トンネルコンポスト方式」の工場「バイオマス資源化センターみとよ」を稼働させました。製造したごみ由来の固形燃料を石炭の代替として使用し、2020年では10,171.6トン(CO2換算)のCO2削減を達成しています。

出典:環境省『可燃ごみを活用した固形燃料の製造』(2023/01/13)

株式会社Jヴィレッジ

スポーツトレーニング施設を運営する「株式会社Jヴィレッジ」は、複合施設の駐⾞場にソー ラーカーポートを導⼊しています。令和2年度の年間発電量は132MWhとなっており、そのCO2削減効果は76.2トン(CO2換算)/年を達成、CO2削減コストは 77,929円/トン(CO2換算)となっています。

出典:環境省『はじめての再エネ活⽤ガイド(企業向け)』p,27.(2023/04/27)

アサヒグループホールディン グス株式会社

飲料メーカーの「アサヒグループホールディン グス株式会社」は、2050年までにCO2排出量をゼロの目標を掲げており、⾷品業界で初めてグリーン電⼒証書を商品の製造に採用、2009年から使用しています。

出典:環境省『はじめての再エネ活⽤ガイド(企業向け)』p,41.(2023/04/27)

5. まとめ:CO2削減の理解を深め日本の企業の取り組みの先駆け的存在に!

CO2削減の為には、日本の企業の取り組みが重要となります。しかし、実際の企業の取り組み具合は半分にも満たない状況であり、CO2削減の必要性の理解とそのための取り組み方法の知識を得る必要があります。

企業としては、オフィスの改善や再エネ電力の活用などでCO2削減が可能となります。今こそ、CO2削減の理解を深め、日本の企業の取り組みの先駆け的存在を目指しましょう。

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