EEGSとは?「省エネ法・温対法・フロン法電子報告システム」わかりやすく解説!

2022年5月に稼働したEEGS(イーグス)「省エネ法・温対法・フロン法電子報告システム」とはどのようなシステムなのでしょうか。2022年3月まで「省エネ法・温対法電子報告システム」や「フロン法電子報告システム」が使用されてきましたが、システムの変更により何が変わるのでしょうか。

この記事では、EEGSの定義やEEGS稼働で変わること、EEGSを利用する上での注意点などについてご紹介します。

目次

  1. EEGSとは?

  2. EEGS稼働で何が変わるのか

  3. EEGSを利用する上での注意点

  4. まとめ:EEGSについての理解を深め、上手く活用しよう!

1. EEGSとは?

経済産業省資源エネルギー庁が提供するEEGSとはどのようなシステムなのでしょうか。EEGSとはそもそも何か、開発された目的、EEGSを使用して報告書を提出することが想定されている事業者の種類について解説します。

EEGSとは?

EEGSの正式名称は、「省エネ法・温対法・フロン法電子報告システム」です。EEGSは省エネ法、温対法、フロン法に基づくフロン類の排出量増減の理由や排出削減の取組内容、および企業グループ全体のサプライチェーン排出量算定と削減の取組、削減貢献、気候変動に関する目標計画と温室効果ガス排出に関する情報の統合を目的として開発されたものです。

EEGSには、報告書作成システム・温室効果ガス排出量集計システム・温室効果ガス排出量公表・分析システムが統合されており、外部システム・制度との連携もされています。EEGSを用いることで、温室効果ガス排出者・投資家・自治体等の全ての関連団体内だけでなく、関係団体間の連携も円滑に行うことが可能となります。

出典:経済産業省『省エネ法・温対法・フロン法電子報告システム』(p.1)

出典:環境省「省エネ法・温対法・フロン法電子報告システム」(EEGS)の操作方法及び「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」(SHK制度)の変更点に関する説明会の開催について」

EEGSの利用が想定される事業者

EEGSが開発される前にも電子報告システムは存在していましたが、利用率は4割弱にとどまっていました。さらに、報告者側、省庁側双方に以下のような課題を抱えていました。

出典:平成25年改正フロン排出抑制法施行 5年経過における状況と課題について(案)(p.10)

報告者側

  • 省エネ法と温対法の間にある報告事項の重複が多数存在した。

  • 事業者の規模が大きい場合、多数の事業所から情報取集を行う必要があった

  • 従来の電子報告システムには報告書作成機能がなかった。

【省庁側】

  • 報告者からの提出物の大部分が紙媒体やPDFであり、省庁側で電子化を行う必要があった。

  • 報告書の記入ミスを省庁側で確認しなければならなかった。

そこで、報告者側の業務効率化・コスト削減、省庁側の報告書収集や集計の利便化を図るために、EEGSが開発されました。

EEGSの利用が想定される事業者

EEGSの利用が想定されているのは、省エネ法、温対法、フロン法の報告書の提出が義務付けられている事業者です。

1. 省エネ法定期報告書 

  • 特定事業者

  • 特定連鎖化事業者

  • 認定管理統括事業者

  • 特定荷主

  • 認定管理統括荷主

  • 特定輸送事業者

  • 認定管理統括貨客輸送事業者

2. 温対法報告書

  • 特定排出者

3. フロン法報告

  • 特定漏洩者

出典:資源エネルギー庁『定期報告書・中長期計画書 | 工場・事業場の省エネ法規制』

出典:環境省『省エネ法・温対法・フロン法電子報告システム(EEGS)』

2. EEGS稼働で何が変わるのか

2022年3月までは、省エネ法・温対法電子報告システムとフロン法電子報告システムとに分かれていました。これらのシステムが統合されたことで、何がどのように変わったのかをみていきましょう。

従来のシステムとの変更点

EEGSは事業者の報告書の作成から提出にかかる負担を軽減することを目的に開発されたシステムです。事業者は各制度の報告書の作成から提出までをEEGSで完結することができるようになりました。そのため従来のシステムで行っていた紙での提出が不要となります。

出典:経済産業省『省エネ法・温対法・フロン法電子報告システム』(p.1)

EEGSのメリット

EEGSが開発されたことで事業者の負担が軽減されただけでなく、事業者は以下のような様々なメリットを得ることができます。

  • 報告に必要となるデータの収集の負担が軽減される。

  • 各報告書の一元管理が可能になる。

  • 自動チェック機能により人為的なミスを減らすことができる。

  • 過年度に提出した報告書を参照することができる。

  • 報告書を提出後の処理状況を確認することができる。

出典:経済産業省『省エネ法・温対法・フロン法電子報告システム』(p.1)

3. EEGSを利用する上での注意点

省エネ法定期報告書や温対法報告書、フロン法報告書を提出する事業者は、EEGSを使用することで様々なメリットを得ることができます。しかしながら、EEGSを利用する上で知っておくべき注意点もあります。ここではEEGSの注意点について整理しましょう。

利用できないケースがある

EEGSは2022年5月から稼働していますが、いくつかのケースにおいて利用することができません。

  • 温室効果ガス排出量の算定に実測排出係数や実測排出量を使用する場合

  • 輸送事業者で複数の輸送区分がある場合

  • 省エネ法で連携省エネルギー計画の認定を受けている非特定事業者

  • 省エネ法で認定管理統括事業者と連携省エネルギー計画の両方の認定を受けている場合

  • 電気事業及び熱供給事業の両方を行っている場合

使用届出書の提出など

EEGSはインストールをする必要がなく、指定されたURLにアクセスすることで利用することができます。しかしEEGSを利用する前に、使用届出書を指定された届出先に紙媒体で提出しておく必要があります。

出典:経済産業省『省エネ法・温対法・フロン法電子報告システム』(p.2)

4. まとめ:EEGSについての理解を深め、上手く活用しよう!

2022年5月から稼働している国が提供するEEGSに関する基本的な知識についてご紹介しました。EEGSが開発されたことで、報告書を提出する必要がある事業者は、省エネ法や温対法、フロン法に基づく報告書の作成から提出までを効率的に行えるようになります。EEGSについての理解を深め、効率的に情報開示をしましょう。

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