CO2削減貢献量とは?背景から企業の事例までわかりやすく解説

CO2削減貢献量は、「2050年カーボンニュートラル宣言」による脱炭素・CO2削減のための大きなポイントとなります。CO2削減貢献量とはどのようなものなのか、その意味と必要性、取り組むことで得られる効果などについてわかりやすくご紹介します。

目次

  1. CO2削減貢献量とは何か?

  2. CO2削減貢献量が必要とされる背景

  3. CO2削減貢献量が期待される事例

  4. CO2削減量で得られる企業の効果

  5. まとめ:CO2削減貢献量の理解を深め一歩前を行く企業へ!

1. CO2削減貢献量とは何か?

今日、日本では「2050年カーボンニュートラル宣言」によって脱炭素・CO2削減の取り組みが一層強くなっています。CO2削減貢献量は、その取り組みの中で重要な役割を担っています。ここでは、CO2削減貢献量とはどのようなものなのかをご紹介します。

CO2削減貢献量とは?

CO2削減貢献量とは、自社の製品やサービスを使用した場合にどれだけCO2を削減することが出来たかを推定する指標のことです。同じような仕組みに、「CFP(カーボンフットプリント)」がありますが、これは商品やサービスの原料調達から廃棄、リサイクルまでの全体を通して排出される温室効果ガスの排出量を指します。CO2削減貢献量は、製品やサービスを使用した場合が対象となっており、CFPとは目的が違います。

出典:環境省『【参考①】削減貢献量について』p.2,(2023/03)

CO2削減貢献量の対象

CO2削減貢献量に含まれるものとして、自社で開発した技術・製品・サービスなどが挙げられます。自社に関わる全てのバリューチェーンが対象で、開発やサービスを代替した場合にどれだけのCO2削減効果があったのかを可視化する事が出来ます。

CO2削減貢献量の定義

出典:環境省『【参考①】削減貢献量について』p.2,(2023/03)

2. CO2削減貢献量が必要とされる背景

CO2削減貢献量が企業に期待される理由

各産業でのCO2排出量削減が求められている中、自社の部門のCO2排出量を削減するだけでなく、企業や業界ごとの強みを生かした別の部門でのCO2削減や、海外でのCO2削減貢献などの取り組みが期待されています。幅広い削減貢献量を視野に入れることで、より多くのCO2削減に貢献することができます。

出典:経済産業省『ガイドラインの主要論点について』p,3.(2018/02/01)

CO2削減貢献量を果たすために企業に必要なものとは?

自社における現状のCO2削減貢献量よりも、さらなるCO2削減貢献量を果たす為には、企業が自社のバリューチェーンにおける自社製品やサービスの強みの認識、および、CO2削減貢献量の度合いを認識することが重要です。

その為には、グローバル・バリューチェーンを通じた温室効果ガスの排出削減・抑制への貢献が有効です。グローバル・バリューチェーンとは、国内外、社内外を問わず、原材料の調達 から製品・サービスが顧客・ユーザーに届き、それらが使⽤、消費、廃棄されるまでの⼀連の流れに関わる企業活動を指します。

本研究会における「削減貢献量」

出典:経済産業省『ガイドラインの主要論点について』p,5.(2018/02/01)

3. CO2削減貢献量が期待される事例

ここでは、いくつかの企業のCO2削減の取り組み事例をご紹介します。他社の取り組みの目的や、効果を参考にすることで今後の自社でのCO2削減貢献量の取り組みにもつながります。

Slag Cement Association

アメリカのセメント業「Slag Cement Association」は、2016年に販売したスラッジセメントにより、ライフサイクルで 240万t‐CO2e(=51万台分の自動車))の削減に貢献しています。これは、セメント原材料消費量削減に加え、セメントの耐久性向上やコンクリートの反射性向上によるヒートアイランド現象 低減による効果で、過去10年間に2,900万トン以上のスラッジセメントが消費された結果、410万台の乗用車からのCO2排出量相当が削減されたとも発表しています。

出典:経済産業省『海外産業界による削減貢献発信事例』p,4.(2018/02/02)

BASF SE

総合化学メーカーの「BASF SE」は、自社の気候保護製品(断熱材・燃料添加剤・硝化 抑制剤・アミン硬化剤など)の利用における削減貢献量を算定、2016年度に販売した気候保護製品が顧客に利用されたことで、バリューチェーン全体で5.4億トンのCO2排出量削減に貢献しています。

出典:経済産業省『海外産業界による削減貢献発信事例』p,5.(2018/02/02)

兵庫パルプ工業株式会社

兵庫パルプ工業は、2014年10月、従来のウェットパルプマシンに代わる、パルプドライマシンを導入, 従来のウェットパルプ(水分約50%)に比べ、ドライパルプ(水分約10%)は水分が少なく容積が小さいため輸送効率が高く、ドライパルプ1ベールでウェットパルプ2ベール分の輸送が可能となりました。その結果、2017年に特定荷主として輸送時のCO2排出量を2013年の7,944トンから4,791トンまで削減することに成功しました。

出典:経団連『グローバル・バリューチェーンを通じた削減貢献』p,20.(2023/03/31)

4. CO2削減貢献量で得られる企業の効果

最後に、CO2削減貢献量で得ることができる企業側の効果をご紹介します。消費者へのアピールにもなり企業のイメージアップにもつながります。

(1)企業が開発等の目標指標として利用

CO2削減貢献量は、自社製品やサービスの開発の目標指数にすることで企業の革新を促進する効果が期待できます。CO2削減貢献量は、企業が大きく成長できる効果があります。

(2)企業が経営上の意思決定指標として利用

CO2削減貢献量は、参入市場や取引先の判断の優先順位付けに有効的で、CO2削減貢献量の高い企業ほど選定される確率が高くなります。また、自社の取引先だけでなく「取引先の関係者」のCO2削減排出量まで視野に入れて対応することで、CO2排出量の多い他の業種に対しても貢献することができます。 

(3)企業が説明・開示に利用

CO2削減貢献量は、自社の環境への取り組みとして利用者に説明・開示することができます。サステナビリティが身近となった消費者に対してのアピールにも効果的で、企業のイメージアップにつながります。

出典:金融庁『事務局資料』p,16.(2023/04/14)

5.  まとめ:CO2削減貢献量の理解を深め一歩進んだ企業へ!

CO2削減貢献量は、自社のCO2削減の取り組みを消費者に知ってもらうためのひとつの手段でもあります。「サステナビリティ」という言葉が消費者にも浸透する中、CO2削減に取り組んでいる企業は「一歩先を進んでいる」というイメージアップにもなります。一歩先を行く企業の取り組みは、情報としてメディアなどで取り上げられ、より多くの人の目に届きます。

CO2削減で社会的にも貢献していることは、社員の自社に対する共感を得られ、モチベーションアップにもつながります。社員の自社に対するイメージが良くなれば、企業の成長へとつながりますね。ぜひ、CO2削減貢献量の理解を深め、一歩前を行く企業を目指しましょう!

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