飲食業におけるカーボンニュートラルの取り組みと事例を紹介
- 2023年06月26日
- CO2削減
2050年カーボンニュートラル達成は、飲食業界にとっても重要なキーワードとなります。世界で排出される温室効果ガスの1/3は「食」に関係しているとの指摘もあり、対応が急がれます。飲食業界でのカーボンニュートラルの具体的な対応策や企業の取り組み事例をわかりやすくご紹介します。
目次
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カーボンニュートラルとは?
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飲食業におけるCO2排出量の現状とは?
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飲食業に求められる「食品ロス」に対する役割
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飲食業のカーボンニュートラルに向けた取り組み
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カーボンニュートラルに向けた企業の取り組み事例
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まとめ:「食」によるカーボンニュートラルを目指そう!
1. カーボンニュートラルとは?
カーボンニュートラルとは、CO2をはじめとする温室効果ガスの排出量と吸収量を均衝させ、実質的に排出量をゼロにすることです。政府は「2050年カーボンニュートラル宣言」を提唱し、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目標としています。
出典:環境省『カーボンニュートラルとは - 脱炭素ポータル』(2023/01)
2. 飲食業におけるCO2排出量の現状とは?
2020年度の日本のエネルギー起源におけるCO2排出量(化石燃料を燃焼して作られたエネルギーを使用して生じた二酸化炭素)は、9億6,700万トンとなっています。そのうち、飲食業のCO2排出量は、電気・熱配分後排出量から見たエネルギー起源CO2排出量を部門別に分けると、飲食業が含まれる「業務その他部門」のうちの13%(2,400万トン)を宿泊業・飲食サービス業が占める結果となっています。これは、「業務その他部門」で最もCO2排出量が多い卸売業・小売業に次いで2番目にCO2排出量が多いという状況です。
出典:環境省『業務その他部門からのエネルギー起源CO2排出量の内訳』p,5.(2022/03)
出典:環境省『業務その他部門からのエネルギー起源CO2排出量の内訳』p,3.(2022/03)
3. 飲食業に求められる「食品ロス」に対する役割
食品リサイクル法の規制
政府は、飲食業を含む食品関連事業者などから発生する食品ロスをとても大きな問題として、「食品リサイクル法」に基づいた食品ロス削減の取り組みを企業に促進しています。具体的には、事業系食品ロスの削減に関して、2000年度比で2030年度までに半減させることを目標としています。
出典:環境省『事業者向け情報 | 食品ロスポータルサイト』(2022/11)
我が国における食品ロスの発生量
日本の事業系食品ロスの発生量は、275万トンと推計されており、そのうちの1/3は外食産業からの食品ロスということが分かっています。飲食店で食べ残しを減らすことは、ゴミの量や温室効果ガス排出量の削減につながります。
出典:環境省『事業者向け情報 | 食品ロスポータルサイト』(2022/11)
飲食業の食品ロスの発生要因
飲食業における食品ロスの発生要因の多くは「食べ残し」や「仕込みロス」であり、その解決策として「調理ロス削減」「食べきり運動の呼びかけ」「提供サイズの調整」「持ち帰り」などが進められています。持ち帰りで発生し得る食中毒のリスクは自己責任の範囲と消費者に理解してもらうことも重要となります。
出典:環境省『事業者向け情報 | 食品ロスポータルサイト』(2022/11)
4. 飲食業のカーボンニュートラルに向けた取り組み
食べ残し対策への取り組み
食べ残しは食品ロスだけでなく、企業側の損失にもつながります。食べ残しを防ぐためにも、「料理をタイミングよく提供する」「料理のサイズの選択」「宴会等では幹事と綿密な打ち合わせ」など、食品ロス削減につながる料理の提供方法を考えることが大切です。
出典:消費者庁『飲食店等における「食べ残し」対策に取り組むに当たっての留意事項』p,1.(2017/05/15)
「mottECO」の普及
食事を注文しても、どうしても全部食べることができないお客さまもいます。このような場合は、お客様の責任のもと「持ち帰り」をしてもらい、自宅で食べてもらう取り組みが有効です。持ち帰りは、食品ロス削減に効果的で、「mottECO」のロゴマークを店頭などに掲示することで、お客さまに「持ち帰って頂ける」「食品ロス削減に取り組んでいる」ことを知らせることができます。お客さまが持ち帰りをする際は、注意事項をしっかりと伝え、理解してもらうことが重要です。
出典:環境省『事業者向け情報 | 食品ロスポータルサイト』(2022/11)
脱プラスチックへの取り組み
飲食業で需要が高い「プラスチック製品」は、その製造過程で多くのCO2を排出します。プラスチック製品のほとんどは、石油から作られており、石油を精製する過程で得られる「ナフサ(粗製ガソリン)」が主な原料となっています。そしてナフサからプラスチック製品の元となる基礎化学品を作り出します。
プラスチック製品などの化学製品を製造する際に排出されるCO2排出量のうち、この基礎化学品の製造が全体の約50%の割合を占めています。「2050年カーボンニュートラル」達成にはCO2排出量の削減が重要で、プラスチック製品を使わない「脱プラスチック」への取り組みが必要となります。
出典:資源エネルギー庁『カーボンニュートラルで環境にやさしいプラスチックを目指して(前編)』(2022/01)
5. カーボンニュートラルに向けた企業の取り組み事例
ホテルメトロポリタンエドモント
ホテルメトロポリタンエドモントでは、「⾷品ロス削減プロジェクト」として、「3010(さんまるいちまる)運動」を展開しています。これは、宴会などの最初の30分と、終了前の10分間に「ちょっとお話を⽌めてお⾷事タイムにしましょう」とお客さまに提案することで、食事の時間を意識的に設ける取り組みです。その結果、お客さまの食べ残しが少なくなり、総生ごみ量約16%削減に成功しています。
出典:環境省『Special interview(日本ホテル)|Newドギーバッグアイデアコンテスト』(2020/10)
名古屋ダイヤモンドドルフィンズ
愛知県名古屋市にあるBリーグ所属のプロバスケットボールクラブ「名古屋ダイヤモンドドルフィンズ」は、地域が笑顔になれる社会貢献プロジェクト「Dolphins Smile(ドルフィンズスマイル)」に取り組んでいます。ホームゲーム時の飲食販売に使用するカップ等に、環境に配慮した紙製の容器や植物由来原料を25%配合したバイオマスプラスチックカトラリーを使用することで、2020-21シーズンのホームゲームでの飲食販売における飲食容器の脱プラスチック率が81.9%を達成しています。
株式会社セブン&アイ・フードシステムズ
「mottECO」の普及により、食事を残してしまったお客様が希望した場合に自身の責任で「持ち帰り」を提供しています。「mottECO」を利用する理由として、「食品ロス削減の貢献」「ひとり分の量が多かった」「注文した数が多かった」などが挙げられ、持ち帰った食べ残しは全て食べたという結果も出ています。このように「mottECO」の取り組みは、食品ロス削減に貢献しています。
出典:環境省『令和3年度地方公共団体及び事業者等による食品ロス削減・食品リサイクル推進モデル事業等』p,17.(R3)
6. まとめ:「食」によるカーボンニュートラルを目指そう!
飲食業のカーボンニュートラルの取り組みを、企業の事例とともにご紹介しました。「食」に関する問題はまだまだ大きく、食品ロスは先進国ならではの問題でもあります。「脱プラスチック」や「mottECO」など、飲食業だからこそ期待できる取り組みでカーボンニュートラルを目指しましょう!