世界で注目されているSDGsとは?中小企業の取り組み方を徹底解説
- 2022年06月15日
- SDGs・ESG
世界で注目を集めているSDGs(持続可能な開発目標)への中小企業の取り組み方は?2015年9月にSDGsが採択されたことで、国や自治体、企業が中心となり世界が共通に掲げる目標を達成するための取り組みの輪が広がっています。この記事では、SDGsへの取り組みをご検討中の法人の皆さまが知っておくべきSDGsに関する基礎知識や中小企業の取り組み方などについてご紹介します。
目次
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世界共通の課題SDGsに関する基礎知識
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SDGs達成に向けた世界の取り組み
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中小企業のSDGsへの取り組み方法と事例
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まとめ:世界共通の課題SDGsへ取り組み、企業価値を高めよう!
1. 世界共通の課題SDGsに関する基礎知識
日本を含む世界で取り組みの輪が広がっているSDGsですが、なぜSDGsに取り組む企業が増加しているのでしょうか。ここでは、世界が共通に掲げるSDGsに関する基礎知識として概念や誕生した背景、企業のSDGsへの取り組みが重要視されている理由についてご紹介します。
SDGsとは?
SDGsは、2015年9月に国連のサミットで193の加盟国の全会一致により採択された世界共通の目標です。期限を2030年度までとし、達成すべき17のゴールと196のターゲットが示されています。地球上の誰一人取り残さないという考えのもと、発展途上国だけでなく先進国の取り組みも求められています。
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貧困をなくそう
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飢餓をゼロに
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すべての人に健康と福祉を
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質の高い教育をみんなに
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ジェンダー平等を実現しよう
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安全な水とトイレを世界中に
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エネルギーをみんなにそしてクリーンに
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働きがいも経済成長も
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産業と技術革新の基盤をつくろう
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人や国の不平等をなくそう
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住み続けられるまちづくりを
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つくる責任つかう責任
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気候変動に具体的な対策を
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海の豊かさを守ろう
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陸の豊かさも守ろう
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平和と公正をすべての人に
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パートナーシップで目標を達成しよう
出典:環境省『持続可能な開発のための2030アジェンダ/SDGs』
SDGsが誕生した背景
2015年度までに達成すべき8つの目標を示したMDGs(ミレニアム開発目標)が期限に到達したことで、SDGsが誕生しました。MDGsの1番目の目標として掲げられていた極度の貧困に苦しむ人口を半減するという目標は達成されており、1990年の約36%から2015年には約12%にまで減少しています。このようにMDGsは主に貧困問題をターゲットとしていましたが、後継となるSDGsでは中小企業が取り組める目標も多く盛り込まれています。
企業のSDGsへの取り組みが重要視される理由
環境省がまとめたアンケートによると、企業では2015年以降、CSR担当者と経営陣を中心にSDGsの認知度が高まっており、SDGsに取り組む理由については、持続可能性に関わる向上性や企業の存在価値の向上、将来のビジネスチャンス、ステークホルダーとの関係強化を挙げる企業が多いという結果が出ています。
このような風潮の中、消費者やステークホルダーなどから評価されるためにはSDGsへの取り組みが欠かせません。
SDGsの認知度の高まりにより、消費者やステークホルダーだけでなく、投資家の企業価値の評価基準にも変化が生じています。財務情報だけでなく環境・社会・ガバナンスの観点から投資を決めるESG投資が注目を集めており、投資にESGの視点を取り入れることを定めた投資原則であるPRI(国連責任投資原則)に署名する機関の数が急増しています。
出典:環境省『すべての企業が持続的に発展するために-持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド-』(2020/3)(p.35)
出典:経済産業省『ESG投資』
2. SDGs達成に向けた世界の取り組み
SDGsは、国連加盟国193カ国の全会一致により採択された国際的な枠組みです。ここでは、SDGsへの取り組みが進んでいる国や取り組み事例をご紹介します。
SDGsへの取り組みが進んでいる国
Sustainable Development Report 2020は
国連加盟国193カ国のSDGsへの取り組み状況をスコア化し、取り組みが進んでいる国をランキングにまとめています。取り組みが進んでいる国のトップ10は以下のようになっており、日本は17位です。
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スウェーデン
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デンマーク
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フィンランド
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フランス
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ドイツ
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ノルウェー
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オーストリア
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チェコ共和国
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オランダ
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エストニア
出典:SUSTAINABLE DEVELOPMENT SOLUTIONS NETWORK『Sustainable Development Report 2020』
世界のSDGsへの取り組み事例
国連加盟国の中で特にSDGsへの取り組みが進んでいるトップ5の取り組み事例をご紹介します。
(1)スウェーデン
スウェーデンでは環境省がSDGs実施の調整役を担っており、ジェンダー平等や環境保護への取り組みが進んでいます。具体的には労働力におけるジェンダー平等の水準の高さや、EU内で1人あたりの温室効果ガス排出量が最も少ないこと、EU加盟国の中で最も再生可能エネルギーの消費量が多いことなどがあげられます。
(2)デンマーク
デンマークでは財務省がSDGs実施の調整役を担い、課題である気候変動問題に取り組んでいます。2019年に国家気候変動対策法が国会で可決され、2030年までに1990年比で温室効果ガス排出量を70%削減、2050年度までにカーボンニュートラルを実現させることを目標に掲げています。デンマークにおける再生可能エネルギー割合は15%〜35%に増えています。
(3)フィンランド
フィンランドでは首相府がSDGs実施の調整役を担っており、30年近く前から持続可能な開発への取り組みが積極的に行われてきました。特に環境問題へ熱心に取り組み、水質や大気の質は世界基準で見ても高水準にあると評価されています。
(4)フランス
フランスではエコロジー転換省がSDGs実施の調整役を担っています。フランスは積極的にSDGsへ取り組んでおり、すでに17の目標を達成しています。ほぼ全ての項目への取り組みが進んでいますが、気候変動問題に関する目標13に関しては停滞傾向があるとの評価を受けています。
(5)ドイツ
ドイツでは連邦首相府がSDGs実施の調整役を担っていますが、SDGsが採択されるより前から国が中心となり持続可能な開発に取り組んできました。ドイツの特徴は実施体制が強固に整えられていることです。委員会やフォーラムなどを積極的に開催することで議論の場を多く設け、持続可能な開発に取り組んでいます。
出典:公益社団法人 地球環境戦略研究機関『SDGs 推進に関する各国の実施体制及び方法の調査』(2021/3)(p.10.11.24.39.50.51.66)
3. 中小企業のSDGsへの取り組み方法と事例
中小企業はSDGsに取り組むことで、企業価値を高めることができます。ここでは中小企業がSDGsを始める方法と中小企業の取り組み事例をご紹介します。
SDGsへの取り組み方法
SDGsへの取り組み方に決まりはなく、進め方は企業に任されています。SDGsを始めようとする企業は、17の目標の中から優先課題を選択し、どのように取り組むかを企業のホームページなどで外部に向け公開します。
SDGsを始めるにあたり満たさなければならない条件はないため、全ての企業がSDGsへの取り組みを始めることができます。SDGsに取り組むと、「取組事例」として外務省のホームページで紹介されることもあります。特に優れた取り組みをしている企業は、「ジャパンSDGsアワード」として表彰されます。
出典:外務省『取組事例』
中小企業のSDGsへの取り組み事例
SDGsへの取り組み報告を行っている中小企業の取り組み事例をご紹介します。
(1)有限会社ワールドファーム
茨城県つくば市に本社を置き、国産野菜の生産から加工、販売までを行う会社です。次世代の農業の担い手を育成するためには儲かる農業の実現が不可欠との考えのもと、SDGs14と16をのぞいた、15つの目標を達成するために取り組んでいます。
出典:有限会社ワールドファーム『企業概要 SDGs達成を通じた取組』
(2)コマニー株式会社
石川県小松市にある、間仕切りの製造から施工までを行う会社です。独自に「コマニーSDGs ∞(メビウス)モデル」を制定し、SDGs9「産業と技術革新の基盤をつくろう」を経営の軸にし、ステークホルダーや社会に貢献することでSDGs目標達成を目指しています。
(3)武州工業株式会社
東京都青梅市にあるパイプ加工を専門とする会社です。太陽光発電の使用や残業削減による働き方改革など、取り組むべきSDGsの活動を印刷した名刺を全従業員に配布し、会社が一丸となりSDGsに取り組んでいます。
4. まとめ:世界共通の課題SDGsへ取り組み、企業価値を高めよう!
SDGsとはどのような概念であるのか、中小企業の取り組み方などについてお伝えしました。
社会や環境問題への取り組みが重視されている現代社会においてSDGsへの取り組みは、企業が生き残るためにも欠かせません。中小企業の取り組み方や実際の取り組み事例を参考に、SDGsへ取り組み企業価値を高めましょう!