循環型社会とは?意味や重視される背景、国内外の取り組みを紹介

循環型社会とは何か重視される背景国内外の取り組みを中心に解説します。近年、環境保全への関心は非常に高く、国や企業、また私たち一人ひとりが環境に配慮し、循環型社会の実現に向けた活動に取り組むことが求められています。循環型社会の実現への取り組み方がわからない方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

  1. 循環型社会とは?

  2. 循環型社会の必要性

  3. 循環型社会の形成に向けた目標

  4. 循環型社会の実現に向けた国内外の取り組み

  5. まとめ:循環型社会を実現するために環境保全に取り組もう!

1. 循環型社会とは?

地球環境の悪化や資源の枯渇など、環境問題が深刻化しています。それを受け政府は、循環型社会の実現に向けた取り組みを促進しています。ここでは、循環型社会が重視される背景と方針について解説します。

(1)循環型社会が重視される背景

循環型社会とは、大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会に代わる概念を指します。経済が発展する一方で、資源の枯渇問題、廃棄物の増加、それに伴う環境破壊が深刻化しています。これら重大な問題の対策の1つとして、平成12年に循環型社会形成推進基本法が施行されました。

循環型社会形成推進基本法では、製品等が廃棄物になることの抑制、排出された廃棄物を資源としてリサイクル、どうしても再利用できない物のみ適正に処分することにより実現される「天然資源の消費が抑制され、環境への負荷ができる限り低減された社会」と定義しています。

出典:環境省「循環型社会への新たな挑戦」p3

循環型社会の姿

出典:環境省「循環型社会への新たな挑戦」p3

(2)循環型社会の形成に関する基本的な方針

循環型社会の形成に関する施策の基本的な方針は、循環型社会形成推進基本法に準じます。政府は、総合的かつ計画的に推進するため、必要な事項を定めています。平成30年に閣議決定された第四次循環計画では、持続可能な社会づくりと環境的・経済的・社会的側面を統合的に向上させるために、以下の方針が定められています。

・多種多様な地域循環共生圏形成による地域活性化

・ライフサイクル全体での徹底的な資源循環

・適正処理の更なる推進と環境再生

・万全な災害廃棄物処理体制の構築

・適正な国際資源循環体制の構築と循環産業の海外展開の推進

また循環分野における基盤整備として、情報の整備、技術開発および最新技術の活用と対応、人材育成と普及啓発等を掲げています。

出典:環境省「第四次循環型社会形成推進基本計画の概要」p1

2.  循環型社会の必要性

循環型社会の実現が、環境保全を目的としていることを解説して来ました。ここでは、循環型社会の必要性をより詳しく解説します。

(1)天然資源の枯渇問題

現代社会は、化石燃料をはじめとする天然資源で成り立っています。しかし天然資源は埋蔵量に限りがあり、平成23年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書によると、確認されている天然資源の埋蔵量から年間生産量を割った採掘可能年数は、鉄鉱石が70年、鉛が20年、銅が35年、金が20年、クロムが15年など、多くの天然資源が100年以内で枯渇する可能性があると報告されています。

現状のペースで採掘を続けると、地下資源の安定供給が困難になる可能性が高く、また将来の世代に天然資源を残せない事態が生じると危惧されています。これにより、循環型社会は早急に実現すべきとされています。

出典:環境省「資源循環」p1

(2)環境破壊の深刻化

世界で採掘される天然資源は年間約300億トン、このうち化石資源の利用は約85億トン、日本においても年間約18億トンもの天然資源が利用されています。しかし再利用されている資源は年間約2億トンであり、約8億トンは廃棄物やエネルギー消費に伴う二酸化炭素等で環境に排出されているといわれています。この現状は環境破壊の拡大に繋がる重大な問題として認識されています。

この現状を解決に導くためには、循環型社会に取り組み、廃棄物の抑制、資源やエネルギーとしての循環利用を促進し、環境への負荷を最小限に抑える必要があるとされています。

出典:内閣府「循環型経済社会に関する専門調査会 中間とりまとめ」

(3)気候変動問題への対策

天然資源の利用は、二酸化炭素の排出量が気候変動をはじめとする地球温暖化問題も招いていると報告されています。気候変動は、現在国際的に解決が急がれている環境問題の1つであり、循環型社会を含む様々な対策が講じられています。

出典:内閣府「循環型経済社会に関する専門調査会 中間とりまとめ」

3. 循環型社会の形成に向けた目標

循環型社会が重視される背景やその必要性について解説してきました。循環型社会は、天然資源の確保、環境破壊の防止など環境保全に必要な取り組みと言えます。そのため日本政府は、循環型社会形成推進基本法を制定し、促進しています。ここでは、循環型社会の形成に向けた具体的な目標を解説します。

(1)持続可能な社会の実現

循環型社会の形成は、持続可能な社会の実現に向けた取り組みの1つです。循環型社会と低炭素社会、自然共生社会に向けた取り組みを統合的に展開することが重要とされており、循環型社会の中長期的なイメージにおいても「自然の循環を尊重し人間社会における炭素を含めた物質循環を自然ひいては地球の大きな循環に沿う形で健全なもの」と明記されています。

取り組む上での目標として、廃棄物発電の導入促進枯渇性資源の使用量の抑制、生物多様性に配慮した再生可能な資源の持続可能な利用の推進等を進めています。

出典:環境省「循環型社会への新たな挑戦」p6

持続可能な社会に向けた統合的取り組みの展開

出典:環境省「循環型社会への新たな挑戦」p6

(2)ストック型社会の形成

循環型社会の中長期的なイメージとして、ストック型社会の形成があります。ストック型社会とは、より良い物を多く生産し、それを活かした豊かさが生まれる社会のことです。本記事の中で「循環型社会は大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会に代わる概念である」と説明しましたが、現在手軽に使用できる使い捨てタイプの物が多く、それに伴う廃棄物の増加が問題視されています。より良い商品を使用することは廃棄物の減少、また循環型社会を形成に繋がることから推進されている取り組みです。

出典:環境省「循環型社会への新たな挑戦」p5

(3)資源循環システムの構築と促進

循環型社会の形成において、資源の循環的な利用が最大限に行われる資源循環システムの構築が必要とされています。それにより、どうしても再利用できない廃棄物のみが安定し、適正な処分に繋がると考えられています。そのためには、3Rと呼ばれるリデュース(Reduce):排出抑制、リユース(Reuse):再使用、リサイクル(Recycle):再生利用とエネルギー回収を資源循環システムとして社会に定着させる活動が推進されています。

出典:内閣府「循環型経済社会に関する専門調査会 中間とりまとめ」

4. 循環型社会の実現に向けた国内外の取り組み

上記で解説した循環型社会の形成に向けた目標を踏まえて、国内外の取り組みを紹介します。ここでは、急速な経済発展に伴う国内の廃棄物問題を抱えるアジア地域を中心に解説します。以下の内容を参考に、事業活動ならびに普段の生活の中で環境保全に取り組んでみてください。

(1)アジア各国の取り組み

近年、アジア各国は急速な経済発展を遂げており、資源消費量の増大に伴う天然資源の採掘量および関係国から輸入される循環資源等が増加しています。それによる廃棄物などは増え、また先進国から発展途上国への廃棄物移動によって、環境汚染などが問題視されています。これらの対策として、アジア各国で循環型社会の形成に向けた取り組みが進められています。

アジア諸国の法整備状況の概要

出典:環境省「循環型社会形成に向けた 諸外国の制度・取組」p3

アジア諸国の循環資源関連の法制度の整備状況をみると、廃棄物処理に関する法律はほぼ全ての国で整理されている一方、法的枠組みによるリサイクル制度に関しては、ほどんどの国が未整備の状況です。また国内産業保護等の観点から、廃棄物等の輸出入に関わる法規制を設けている国もあります。

とくに諸外国からの有害廃棄物を含む廃棄物等の輸入は問題視されていましたが、アジア主要国の多くがバーゼル条約を批准、または国内産業保護や環境問題の防止の観点から、一定の制限を設けている場合があります。

出典:経済産業省「持続可能なアジア循環型経済社会圏の実現へ向けて 」p6

出典:環境省「循環型社会形成に向けた 諸外国の制度・取組」p3 p4

(2)国内の取り組み

日本は、循環型社会の形成に向けて環境法・循環型社会形成推進基本法を中心とした廃棄物処理法資源有効利用促進法、また個別物品の特性に応じた規制(リサイクル法)を整備し、適切に施行しています。

具体的な取り組みとして、循環資源、再生可能資源、ストック資源を活⽤などの多種多様な地域循環共生圏形成による地域活性化の推進、物やサービスを必要な人に必要な時に必要なだけ提供する、ライフサイクル全体での徹底的な資源循環の推進、海洋ごみ問題が解決等の適正処理の更なる推進と環境再生、災害廃棄物処理体制の構築が行われています。

出典:環境省「第四次循環型社会形成推進基本計画の概要」p5〜p13

5. まとめ:循環型社会を実現するために環境保全に取り組もう!

近年、国際社会でサステナビリティが注目されているように、資源の枯渇、気候変動等の問破壊問題は深刻化しています。持続可能な社会の実現には、循環型社会を形成し環境保全に務める必要があるといえます。事業活動の中や普段の生活の中で、できることから環境保全に取り組みましょう。

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