グリーンエネルギーとは?グリーンエネルギーの関連企業やサプライチェーン全体の脱炭素化について解説!
- 2024年01月11日
- 発電・エネルギー
グリーンエネルギーとは発電時に発生するCO2排出量が少なく、環境に負荷が小さいエネルギーのことです。脱炭素の必要性が訴えられる中、世界で多くの企業がグリーンエネルギーに関心を持っています。
今回はグリーンエネルギーの定義やメリット・デメリット、サプライチェーン全体の脱炭素化の動きについてまとめます。
目次
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グリーンエネルギーとは何か
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グリーンエネルギーのメリット・デメリット
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グリーンエネルギー関連企業
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グリーンエネルギー活用等サプライチェーン全体の脱炭素化の動き
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まとめ:中小企業もグリーンエネルギーに関心を持つべきだ
1. グリーンエネルギーとは何か
グリーンエネルギーとは、どのようなエネルギーを指す言葉なのでしょうか。ここではグリーンエネルギーの定義とグリーンエネルギー認証制度について解説します。
(1)グリーンエネルギーの定義
資源エネルギー庁は「グリーンエネルギーCO2削減相当量認証制度」の運営規則において、以下のように定義づけています。
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石油・石炭・天然ガス等の化石燃料による発電でないこと。
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原子力による発電でないこと。
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発電過程における温室効果ガス及び硫黄酸化物・窒素酸化物等有害ガスの排出がゼロか、または著しく少ないこと。
また、同じ資料で上記に該当する発電方式を以下のように指定しています。
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風力発電
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太陽光発電
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バイオマス発電
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水力発電
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地熱発電
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化石燃料・バイオマス混焼発電
これらのことから、再生可能エネルギーに化石燃料・バイオマス混焼発電を含めた発電方式がグリーンエネルギーとして認められているのがわかります。
出典:資源エネルギー庁「グリーンエネルギーCO2 削減相当量認証制度 運営規則」(p11~12)
(2)グリーンエネルギーCO2削減相当量認証制度
現在、民間には「グリーン電力・熱証書」という仕組みがあります。この仕組みは再生可能エネルギーによって作り出された電気や熱には化石燃料削減やCO2削減などの環境付加価値があり、それを証書化するものです。
この証書の内容に基づいて、CO2の排出削減価値を国が認証するのが「グリーンエネルギーCO2削減相当量認証制度」です。
出典:資源エネルギー庁「グリーンエネルギーCO2削減相当量認証制度」(p2)
2. グリーンエネルギーのメリット・デメリット
グリーンエネルギーにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。それぞれについて整理します。
(1)グリーンエネルギーのメリット
グリーンエネルギーを利用するメリットは、CO2排出量を大幅に削減できることです。
出典:資源エネルギー庁『令和2年度 エネルギー白書』「第3節 2050年カーボンニュートラルに向けた我が国の課題と取組」
石炭火力発電は発電時に最も多くのCO2を排出します。石油火力・LNG火力がこれに続きます。その一方で、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーは発電時にCO2を排出しません。
また、2015年に採択されたパリ協定で参加国はCO2排出量の削減を約束しました。日本もその1つです。そのため、日本もパリ協定で定めらたCO2排出量削減を実行しなければなりません。
出典:資源エネルギー庁「今さら聞けない「パリ協定」 ~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~」
日本は2013年比で26%の削減目標を立てています。CO2排出量が少ないグリーンエネルギーを利用することで、目標達成に近づくことができます。
出典:資源エネルギー庁「今さら聞けない「パリ協定」 ~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~」
(2)グリーンエネルギーのデメリット
グリーンエネルギーのデメリットは電力の安定供給が難しい点です。たとえば、太陽光発電や風力発電では天候によって発電量が大きく変化します。発電を過剰な状態で放置すると、電力の需給バランスが崩れ大規模停電の原因となります。
出典:資源エネルギー庁「資源エネルギー庁がお答えします!~再エネについてよくある3つの質問」
また、再生可能エネルギーのコストが高いという問題点もあります。
出典:資源エネルギー庁「再エネのコストを考える」
再生可能エネルギーのコストの一部は再エネ賦課金でまかなっていますが、年々、コストが増加しています。これは大きなデメリットだといえます。
3. グリーンエネルギー関連企業
グリーンエネルギーに関連するのはどのような企業でしょうか。電力会社・エネルギー企業・再生可能エネルギー企業・総合商社について解説します。
(1)電力会社
電力会社とは電力の発送電に関わる会社のことです。かつては各地域の電力会社だけが電気を販売できましたが、2000年3月から電力の小売り自由化が始まり、2016年4月から家庭や商店を含む低圧電力も含めて全て自由化されました。
これにより消費者が電力会社を購入する際の選択肢が増えました。消費者が自分の意思で再生可能エネルギーを中心に発電を行う電力会社から電力を購入できるため、電力会社を選ぶことでグリーンエネルギーの普及に貢献できます。
出典:資源エネルギー庁「電力小売全面自由化でどう変わるの?」
(2)エネルギー企業
エネルギー会社は社会にエネルギーを供給する会社で、広義では電力会社も含みます。主なものとして石油関連企業・ガス会社があります。
大手石油関連企業のENEOSは、これまで取り扱ってきた石油や石炭、天然ガスなどに加えて次世代エネルギーの研究開発に取り組んでいます。そのうちの一つが水素エネルギーです。
水素エネルギーは国が普及を推進しているエネルギーです。国が提示したロードマップでは、「2030年頃に30円/Nm3程度、将来的に20円/Nm3程度」まで水素コストを下げることを目指しています。こうした流れを受け、ENEOSは41か所の水素ステーションを整備しました。
出典:経済産業省「水素・燃料電池戦略ロードマップの 達成に向けた対応状況」
(3)再生可能エネルギー企業
再生可能エネルギーの開発を専門に行う企業も増えています。パシフィコエナジーはメガソーラーと呼ばれる大規模太陽光発電や近頃注目されている洋上風力発電の分野に進出しています。海に囲まれた日本の洋上風力発電のポテンシャルは高く、同社は積極的に開発に乗り出しています。
また、レノボは日本やアジアで複数の再生可能エネルギーを組み合わせるマルチ電源の開発を目指しています。複数の電源を組み合わせることで再生可能エネルギーを有効活用しつつ、安定的な電力供給ができるとしています。
出典:パシフィコ・エナジー「プロジェクト紹介」
(4)総合商社
総合商社もグリーンエネルギーに深くかかわっています。海外の石油・天然ガスの開発や日本製発電機の輸出などは総合商社の重要な仕事です。5大商社の一つとされる丸紅は秋田県の洋上風力開発を行う会社に出資し、国内の再生可能エネルギー開発に乗り出しました。
4. グリーンエネルギー活用等サプライチェーン全体の脱炭素化の動き
脱炭素の動きはサプライチェーン全体に広がっています。
出典:経済産業省「中小企業のカーボンニュートラル実現に向けた取組」(2022/7/29)(p4)
これまで、自社で取り組む脱炭素の動きとして燃料からでるCO2排出を意味するScope1や電気の使用に伴うCO2排出のScope2に注目が集まってきました。原材料や輸送といった上流部、製品の使用や廃棄といった下流部も含めたCO2排出のScope3への注目が高まると関係する企業が一気に増えます。
実際、AppleはScope3のサプライヤーに再生可能エネルギー由来の電力を使うよう要請し、要請に応じられない企業との取引を終了する可能性も示唆しています。
出典:経済産業省「中小企業のカーボンニュートラル実現に向けた取組」(2022/7/29)(p4)
5. まとめ:中小企業も脱炭素に向けてグリーンエネルギーに関心を持ちましょう
今回はグリーンエネルギーと企業のかかわりについてまとめました。これまで、大企業中心に進められてきた脱炭素の動きですが、徐々に中小企業にも拡大しつつあります。脱炭素を進める大企業に製品を納めるサプライヤーは大きな影響を受けるでしょう。
今後は規模の大小にかかわらず、すべての企業がグリーンエネルギーを意識した経営をする必要性が増します。今からでもグリーンエネルギーに関心をもった企業経営が必要なのではないでしょうか。