EVとHVの違いとは?次世代自動車の4つの種類とメリット・デメリットを解説!
- 2023年02月07日
- CO2削減
EV(電気自動車)とHV(ハイブリッド車)は共に次世代自動車と分類されています。しかし、車の特徴を見るとEVとHVはかなり異なっています。両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は次世代自動車の4つの種類やHV車、EV車のそれぞれのメリット・デメリット、また両者の違いなどについてまとめます。
目次
-
次世代自動車の4つの種類
-
HV車のメリット・デメリット
-
EV車のメリット・デメリット
-
HV車とEV車の違い
-
まとめ:カーボンフリーが進むと社用車のEV化が必要
1. 次世代自動車の4つの種類
次世代自動車はHV・PHV・EV・FCVの4種類に分けることができます。それぞれの特徴についてまとめます。
(1)HV(ハイブリッド)車
HVはハイブリッド車のことです。ハイブリッド車とはガソリンを燃料とするエンジンと電気を動力源とするモーターを組み合わせた自動車のことです。外部から充電することはできず、エンジンや減速時のエネルギーを活用してバッテリーに充電します。
2021年の販売台数は102万台余でガソリン車の118万台に迫る勢いで、最も普及している次世代自動車だといえます。
(2)PHV(プラグインハイブリッド)車
PHVとは外部から充電できるHV車のことです。販売台数はおよそ2万2千台ほどで全体の1%ほどです。2022年にはもう少し台数が増える見込みですが、それでもハイブリッド車に遠く及ばない数字です。
外部電源を利用して満充電にすると、ガソリン使用量を大幅に減らせます。充電環境があれば、年間CO2排出量をかなり減らすことができます。
(3)EV(電気自動)車
EVはバッテリーに充電された電力で走行する自動車のことです。EV車はガソリンエンジンを使用しないため、走行中にCO2を排出しません。また、ガソリン車に比べると駆動音が小さいため非常に静かな自動車だといえます。
2021年度の販売台数は約2万1千台で、シェアは1%未満です。ヨーロッパやアメリカのカリフォルニア州ではEVへの移行が進められています。
(4)FCV(燃料電池)車
FCV車は酸素と水素で電力を作り、その電力でモーターを動かして走行する自動車のことです。燃料電池という名前がついていますが、発電装置と考えるとわかりやすくなります。
酸素と水素を化合させ電気と水を作り出すため、走行中にCO2を排出しないというメリットがあります。販売台数は約2千台でEVやFCVの10分の1以下と、まだまだ普及していない車種だといえます。
2. HV車のメリット・デメリット
現在、ガソリン車に近いシェアを占めているハイブリッド車にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょう
(1)メリット
ハイブリッド車のメリットは、従来のガソリン車に比べ燃費性能が高いことです。理由は、ガソリン車が捨ててしまっていた熱を回収し、エネルギーを再利用しているからです。その結果、ガソリン消費が抑えられ、ガソリン車よりもCO2の排出量を少なくすることができます。
出典:環境展望台「ハイブリッド車(HV) - 環境技術解説」
(2)デメリット
デメリットは、他の次世代自動車よりもCO2排出量が多くなってしまうことです。一般的なハイブリッド車は、プラグインハイブリッド車と異なり、外部電源を使ったバッテリー充電ができません。そのため、走行中のCO2排出量をゼロにすることができません。
出典:資源エネルギー庁「自動車の“脱炭素化”のいま(前編)~日本の戦略は?電動車はどのくらい売れている?」
3. EV車のメリット・デメリット
欧米や中国を中心に生産台数が増えているのがEVです。EVのメリット・デメリットについてまとめます。
(1)メリット
一番のメリットは走行中にCO2を全く排出しないことです。石油や天然ガスといった化石燃料を使用しないため、環境にやさしい自動車とされています。既に、欧米諸国は自動車の電動化に大きく舵を切っています。
出典:資源エネルギー庁「自動車の“脱炭素化”のいま(前編)~日本の戦略は?電動車はどのくらい売れている?」
EUは2035年までにFVやFCVの割合を100%とするとともに、HEV(HV)やPHEV(PHV)、ICEは対象外とし、脱ガソリンエンジンを明確にしました。イギリスやフランスでもガソリン車(内燃機関車)が販売禁止となります。
こうした動きはCO2排出削減を積極的に進めようとする欧州の考え方を如実に表しています。
(2)デメリット
CO2を排出しないという点で大きなメリットを有するEVですが、解決すべき課題がまだまだ残っています。主なデメリットを整理します。
-
コストが高い
-
航続距離が短い
-
充電時間が長い
電池製造時にCO2を排出する先ほど見たとおり、すでに普及しているハイブリッド車と比べるとEVのコストは高く、購入に二の足を踏んでしまいます。航続距離が短いのもネックです。長距離を走るトラックなどで使用するにはまだまだ改良が必要です。
加えて、充電時間の長さが問題となっています。機種やエンジンの状態などにもよりますが、ガソリン車のように数分で燃料供給できるものとはなっていません。また、バッテリー(電池)製造時にCO2を排出してしまうことも改善が必要です。
出典:資源エネルギー庁「自動車の“脱炭素化”のいま(前編)~日本の戦略は?電動車はどのくらい売れている?」
4. HV車とEV車の違い
HVとEVにはどのような違いがあるのでしょうか。違いを2点とりあげます。
(1)普及率の違い
1つ目の違いは普及率です。新車販売台数という視点で見れば、ハイブリッド車はガソリン車と肩を並べる水準となっています。それに比べ、電気自動車ははるかに小さなシェアを占めているにすぎません。
その理由として、車両本体価格の高さやガソリン車ほどの利便性が無いことにより、車種の選択肢が少ないことがEV普及を妨げていることが挙げられます。
ですが、近年低価格の軽EVや航続距離が300km以上の車種が登場したことで、車種の選択肢が広がり今後EVシフトが進む可能性があります。
出典:東京電力エナジーパートナーズ【最新版】電気自動車(EV)の普及率はどのくらい?「日本で普及しない」は本当?
(2)HVはゼロエミッション(ZEV)車ではない
2つ目の違いはHVはゼロエミッション車ではないことです。ゼロエミッション車とはCO2を全く排出しない自動車のことです。
欧米諸国は脱炭素の動きを加速し、走行中にCO2を排出する自動車に対する規制を強めています。将来的に、欧米ではガソリン車・HV・PHVの発売が禁止され、電気自動車や燃料電池車のみとなる公算が高まっています。
出典:資源エネルギー庁「自動車の“脱炭素化”のいま(前編)~日本の戦略は?電動車はどのくらい売れている?」
5. まとめ:カーボンフリーが進むと社用車のEV化が必要
今回はEVとHVのメリット・デメリットを中心に両者の違いについてまとめました。日本ではハイブリッド車が次世代自動車に区分されていますが、欧米ではHVはZEVとみなされず、規制の対象となっています。
今後、CO2を排出しないカーボンフリーの考え方が進めば、中小企業もそれに適応する必要があります。その方法の一つとして、社用車をEVにすることが挙げられます。かつてに比べEVの利便性は高まっており、社用車としても十分使用できる水準になっています。中小企業もEVシフトを進め、CO2の排出削減に舵を切る必要があるのではないでしょうか。