LCCO2とは?LCAと何が違うの!?ポイントをカンタン解説!
- 2023年11月05日
- CO2算定
企業のCO2排出量削減への取り組みで、建築物や製品のライフサイクルでのCO2排出量にも注目が集まっており、「LCCO2」という言葉も聞かれるようになりました。では、「LCCO2」とはいったい何を表しているのでしょうか。ここではLCCO2について解説していきます。
これから環境問題に取り組む際に必ず知っておきたいワードになりますので、ここでしっかり理解しておきましょう。
目次
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LCCO2とは?LCAとの違い
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LCCO2の算定方法とは?
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LCCO2への日本の取り組み
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【まとめ】LCCO2を意識しカーボンニュートラルな街づくりを!
1.LCCO2とは?LCAとの違いを解説
まず、LCCO2についてその意味や必要性についてご紹介していきます。
LCCO2とは
LCCO2は「ライフサイクルCO2」の略で、製品製造の際に発生するCO2を製品の寿命1年あたりの排出量を算出し評価する手法のことで、現在は「ISO(国際標準化機構)」が策定する組織の環境配慮に関する国際規格「ISO14000シリーズ」のひとつを構成する規格となっています。
特に建築物はライフサイクルも長く、エネルギー消費と温暖化ガスの排出が重要な環境要因として認識されており、設計・建設から運用・改修・廃棄までのCO2排出量を指標としたLCCO2が活用されています。
建築分野では評価対象の建築物の「資材消費量」、「物資輸送距離」、「冷暖房や照明などの設備によるエネルギー消費」などを算出し、それぞれの過程による誘発素材量やエネルギー消費、CO2排出量、廃棄物負荷を考慮のうえ影響項目間の重み付けをおこなって総合的に評価されます。
出典:経済産業省『「CO2排出量」を考える上でおさえておきたい2つの視点』(2019.06.27)
LCCO2とLCAの違いとは
LCAは「ライフサイクルアセスメント」の略で、製品のライフサイクルにおける「投入資源」、「環境負荷」、「生態系への環境影響」を定量的に評価する手法です。LCAは細かく3つに分けられ、そのうちのひとつが「LCCO2」となり、その他に「LCE」、「LCC」があります。
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LCE(ライフサイクルエネルギー)
ライフサイクルのうちの消費エネルギーについての数値を算出する手法です。消費エネルギーは建設時より運用時で高くなり、建物の寿命に応じてエネルギー消費量は増えます。そのため、空調・照明などの省エネ設備や自然エネルギーの利用によりおさえることができます。
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LCC(ライフサイクルコスト)
製品や建物の生涯を通じてかかる費用です。建物のコストは建築時の他に修繕・維持・保全に多くのコストがかかります。建築の際には建設費以外の生涯設計を考える必要があります。
2. LCCO2の算定方法とは?
住宅や建築物から排出されるCO2は「建築時」、「運用時(修繕・改修)」、「廃棄時」の各段階で評価されます。耐久性の低い住宅は建て替え時にかかるCO2の排出まで計上されます。戸建て住宅のLCCO2は運用時のエネルギーがもっとも大きく、全体の70%~80%を占めています。
LCCO2の算出は建築材料の生産、輸送エネルギーをどこまで計上するか、エネルギーの原単位をいくつにするか、部材をどこまで計上するのかなど、非常に煩雑で一定のルールが存在していますが、LCCO2やLCAの算定ツールを3つご紹介いたします。
(1)「建物のLCA指針」計算ツール
日本建築学会で1997年から設置された「LCA指針策定小委員会」により1999年に作成されたもので、現在2013年に最新版が出版されています。こちらにはLCCO2についての計算ツールもまとめられ、構造種別、面積、建て替え周期や、資材の物量、運用時のエネルギー消費量などの必要項目を入力することで各種エネルギーや環境負荷量を算出することができます。
(2)CASBEE(conprehensive assessment system for built environment)
こちらは「建築環境総合性能評価システム」の略で、2001年に政府支援のもと「日本サステナブル建築協会」に設置された小委員会で開発・メンテナンスがおこなわれている評価ツールです。
どちらもexcelファイルによるソフトウェアが用意されており、各シートに必要項目を入力することで自動的に計算されます。
出典:日本建築学会『カーボンニュートラル建築を目指した建材のあり方』(2013.3)
(3)アスエネ
「アスエネ」は企業・自治体を対象に、Scope1-3のサプライチェーン全体のCO2排出量見える化・削減クラウドサービスとSXコンサルティングを行っています。強みである脱炭素のワンストップソリューションにより、企業の脱炭素経営推進に向けた包括的なサービスを提供しています。
「アスエネ」で登録したデータから、製品ライフサイクルのプロセスを基に、生産ラインや製品ごとに案分(分割)することで、煩雑だった製品管理がカンタンに行える機能になっており、LCAを自動的に算出することができます。
→「アスエネ」の詳しいサービス概要はこちら
3. カーボンニュートラルに向けたLCCO2への日本の取り組み
日本政府は2050年のカーボンニュートラル達成を宣言しており、目標の達成にはCO2排出量の削減が必要となります。こちらではCO2排出量削減に向けた日本の取り組みについてご紹介します。
日本のLCCO2の現状とは
日本では2030年度までの省エネルギー対策として、「長期エネルギー需給見通し」、「地球温暖化対策計画」で5,030万kl程度の削減量を設定しており、国土交通省は「運輸・民生(業務、家庭)」部門での省エネルギー対策として公共交通の利用促進、物流の効率化、建築物・住宅の省エネ化などのLCCO2を活用した方策に取り組んでいます。
出典:国土交通省『国土交通省における省エネ対策の概要』(p3)
CO2排出削減に向けた政府の取り組み
国土交通省で取り組まれているCO2排出削減対策についていくつかご紹介します。
(1)ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、LCCM(ライフサイクルカーボンマイナス住宅)の普及促進
ZEHとは高断熱化・高効率設備と太陽光発電などによる創エネで、1年間で消費する住宅エネルギー量を正味(ネット)で概ねゼロ以下となる住宅です。
出典:国土交通省『国土交通省における省エネ対策の概要』(2021.4.1)(p9)
また、使用段階のCO2排出量に加え、資材製造・建設段階のCO2排出削減・長寿命化によるライフサイクル全体を通じたCO2排出量をマイナスにする住宅(LCCM住宅)への支援をおこなっています。
出典:国土交通省『国土交通省における省エネ対策の概要』(2021.4.1)(p12)
(2)カーボンニュートラルなまちづくりへの転換
地域の脱炭素化に向けて人口減少・少子高齢化へ対処するため、「都市のコンパクト化」、「スマートシティ実装化」、「都市部でのエネルギー効率化」の推進に取り組んでいます。
(3)インフラ・建設分野における脱炭素化の推進
国際物流の産業拠点となる港湾の「カーボンニュートラルポート形成」・「エコエアポート・航空交通システムの高度化」、「道路・鉄道・ダムインフラの省エネ化」を推進し、建設施工分野でのカーボンニュートラル実現を目指しています。
(4)次世代グリーンモビリティの普及(自動車・船舶・鉄道・航空)
2035年までの乗用新車販売の電動車100%の実現のほか、船舶・鉄道・航空分野で水素燃料船、燃料電池鉄道車両、バイオジェット燃料などを活用した脱炭素化を目指しています。
4.【まとめ】LCCO2を意識しカーボンニュートラルな街づくりを!
環境問題は日本のみならず世界的な課題であり、企業についても社会貢献の観点から温室効果ガスの大部分であるCO2の排出削減に取り組む必要があります。企業でCO2の排出量削減に取り組む場合は一部分の算定にとどまらず、ライフサイクル全体でのCO2を算定し、自社の現状把握に努めていきましょう。