気候変動が与える影響とは?世界の現状や原因、できることを解説

気候変動は地球に深刻な影響を与えています。気候変動は主に人為的に引き起こされていることが多いため、原因を作り出している私達が気候変動を食い止めるために脱炭素に取り組む必要があります。

この記事では、法人の皆さまが知っておくべき気候変動に関する基本的な知識として、気候変動が地球に与える主な影響や気候変動を引き起こす原因、企業の脱炭素の取り組みについてご紹介します。

目次

  1. 気候変動が与える影響

  2. 気候変動を引き起こしている原因

  3. 気候変動を食い止めるためにできること

  4. まとめ:気候変動の影響は深刻!今すぐ脱炭素に取り組もう。

1. 気候変動が与える影響

気候変動は地球に様々な影響を与えており、その結果私達人間にも被害が出ています。ここでは、気候変動が地球に与え続けている深刻な影響を整理していきます。

気温上昇

気象庁が公開しているデータによると、日本の平均気温は1900年頃から明らかに上昇し続けており、上昇ペースは100年におよそ1.2℃です。気温上昇により大雨になる日数が増えているため、世界ではこれまで体験したことがないような豪雨による被害が起きています。

日本の年平均気温偏差出典:気象庁『日本の気候の変化』

海水温の上昇

気候変動の影響により気温が上昇することで、海水温も上昇しています。IPCC第4次評価報告書(2007)において過去の水面水位の上昇割合から将来予測が示されていますが、今後海面水位は急速に上昇する見込みです。

海水温が上昇することで台風が勢力を増し、海水が膨張することで海面水位が上がり、その結果高潮や高波など沿岸災害が激化するなど様々な被害が起きています。特に海抜が低い国にとって、海水温の上昇は深刻な脅威となります。海水温の上昇は、漁業などの産業にも深刻な影響を与えています。

出典:気象庁『地球温暖化と海洋』

世界平均の海面水位の過去及び将来予測における時系列(1980-1999年平均を基準とする

出典:気象庁『1.2海面水位』(2013/12/20)

北極海の海氷の減少

2021年5月に北極評議会(AC)閣僚会合において、北極圏の温暖化が地球全体の平均よりもおよそ3倍の速さで進んでいることが報告されています。それに伴い北極海における海氷域面積は大きく減少しています。北極海の海氷が減少することで、地球全体の温暖化がさらに加速することが危惧されています。万一北極海の海氷が全て消滅したとすると、地球全体の温暖化は現在のおよそ2倍にもなるとの見通しも報告されています。

北極海の海氷域面積の水位出典:環境省『北極海の海氷消滅で地球温暖化が加速化の危機!?地球全体に与える影響と新たな航路の可能性』

2. 気候変動を引き起こしている原因

地球に様々な深刻な影響を与えている気候変動は、主に人為的に引き起こされているものです。私達人間のどのような行動が気候変動を引き起こしているのかをみていきましょう。

化石燃料への依存

日本はエネルギー資源に恵まれていないことから、石油や石炭、LNG(天然ガス)などの化石燃料に大きく依存しています。化石燃料は再生可能エネルギー燃料と比較すると温室効果ガスを多く排出することから、気候変動を引き起こす大きな原因になっています。

isepの報告によると、日本の2021年度における火力発電の年間発電電力量は71.1%でした。再生可能エネルギーの普及を推進する政府の後押しもあり前年度より3.8%減少していますが、依然として化石燃料への依存が大きい状況にあります。

出典:isep環境エネルギー政策研究所『2021年の自然エネルギー電力の割合(暦年・速報)』(2022/4/4)

森林伐採

森林は光合成をすることで、二酸化炭素を吸収する性質を持つことから、温暖化を抑制する働きがあります。開拓などにより地球全体の森林の面積は減少していますが、森林が他の用途に転用されたことから排出される温室効果ガスは、全体の排出量のおよそ11%を占めています。

出典:農林水産省『森林破壊(しんりんはかい)が進むと、地球はどんな影響(えいきょう)を受けることになるのですか。』

食料の生産

温室効果ガスを多く排出する活動として工場での生産などをイメージするかもしれません。実際には食料の生産活動を行う農業や畜産業からも温室効果ガスが排出されます。農業分野から多く排出されているのはメタンで、メタンの全体量の8割近くを占めています。温室効果ガス排出量の大部分を占めているのは二酸化炭素ですが、メタンは二酸化炭素の25倍ほどの温暖効果があるため削減に努めることが重要です。

メタン排出量の排出源別内訳

出典:環境省『2019年度(令和元年度) 温室効果ガス排出量(確報値)について』(p.11)

過剰な消費

私達人間は、産業革命以降化石燃料を原動力として大量生産・大量消費の生活スタイルを構築しました。化石燃料を使えば使うほど、排出される温室効果ガスは増加します。大量消費型の生活スタイルにより、廃棄されるゴミも増え、その結果ゴミの焼却による温室効果ガスも増えています。

出典:環境省『第3章 地球温暖化対策を進める技術』

3. 気候変動を食い止めるためにできること

地球を守るために私達人間は、気候変動を食い止める必要があります。多くの温室効果ガスを排出している企業が率先して脱炭素に取り組むことで、大幅に温室効果ガス排出量を削減することができます。ここでは、気候変動を食い止めるために企業ができる取り組みについて、いくつかご紹介します。

再生可能由来エネルギーへの転換

再生可能由来エネルギーはライフサイクル全体において温室効果ガスを排出しますが、燃焼時には排出しません。企業は事業で使用する電力などを再生可能由来エネルギーに切り替えることで、事業活動から排出される温室効果ガスを削減することができます。

各種発電技術のライフサイクルCO2排出量

出典:資源エネルギー庁『「CO2排出量」を考える上でおさえておきたい2つの視点』(2019/6/27)

省エネルギーの徹底

企業は事業活動で多くの電力や紙資源などを消費します。企業が温室効果ガス排出量を削減するためにできる取り組みはたくさんあります。たとえばオフィスの空調設定温度を夏場26℃から28℃に、冬場22℃から20℃に変えることで、36.1tの温室効果ガス排出量の削減が見込まれています。

出典:環境省『業務部門の対策メニュー詳細(空調設定温度・湿度の適正化)』

低炭素車両の導入

日本では2050年までの脱炭素を実現させるための手段として、低炭素車両の普及を推進しています。低炭素車両の導入にかかる費用負担を軽減する補助金制度をうまく活用しましょう。たとえば中小トラック運送業者を対象とし、最先端の低炭素型ディーゼルトラックを購入する費用の一部を負担しています。

出典:環境省『大気環境令和4年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(低炭素型ディーゼルトラック普及加速化事業)の公募について』(2022/5/30)

4. まとめ:気候変動の影響は深刻!脱炭素に向けた取り組みを進めよう

この記事では気候変動が地球全体に与えている影響や気候変動の原因、企業が気候変動を食い止めるための取り組みについてご紹介しました。上記で紹介した以外にも企業ができることはたくさんあります。それぞれの自社に合った方法で脱炭素経営をすすめていきましょう。

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