カーボンニュートラルの実現に向けて企業が注目している事業や株式とは?

カーボンニュートラルをテーマとした株式市場で注目されている企業はどこなのでしょうか?また、取引されている株式の中で今もっとも期待されているのは何でしょうか?

現在、カーボンニュートラルの実現に向けて世界的に様々な動きが見られるようになりました。それに伴い環境対策に関連した事業に取り組む企業(環境対策銘柄)が増えています。

そういった企業の中でも特に成功を収めている企業、そしてその企業が行っている事業について紹介していきます。

目次

  1. 企業がカーボンニュートラル関連の株式市場に参戦した背景とは?

  2. なぜ今企業はカーボンニュートラルを株式テーマにするのか?

  3. カーボンニュートラル関連の事業に取り組んでいる企業はどこ?

  4. カーボンニュートラル実現のため特に企業に注目されている事業は?

  5. まとめ:環境とビジネスの両立を意識しよう

1.企業がカーボンニュートラル関連の株式市場に参戦した背景とは?

2015年、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定をもとにして、2019年6月に「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」を国連に提出しました。

出典:外務省『気候変動』(2020年4月2日更新)

この長期戦略では,最終到達点として「脱炭素社会」を掲げており、その実現を目指しています。

日本では2020年に菅義偉内閣総理大臣によって「2050年までの脱炭素社会の実現」といった所信表明がなされました。同時にアメリカでも2021年にバイデン大統領によってパリ協定への復帰が実現しました。

このように近年では「脱炭素社会」の実現に向けて世界的に様々な動きが見られます。おのずと環境関連の事業が重要視される時代になったとも言えるでしょう。

カーボンニュートラルとは?

まずカーボンニュートラルというのは直訳すると「炭素の中立」であり、削減が困難な部分の二酸化炭素の排出量について、他の場所で実現した温室効果ガスの排出削減・吸収量等を購入すること、または他の場所で排出削減・吸収を実現するプロジェクトや活動を実施すること等によって、その排出量の全部を埋め合わせた状態を表します。

つまり下の図のように二酸化炭素の排出と吸収をプラマイゼロにしようということです。

出典:経済産業省『「カーボンニュートラル」って何ですか?(前編)~いつ、誰が実現するの?』(2021年2月16日更新)

2.  なぜ今企業はカーボンニュートラルを株式テーマにするのか?

2015年に国連サミットで採択されたSDGs(Sustainable Development Goals)には気候変動対策や生態系の保護といった環境に配慮するように定められた項目があります。

またESG(Environment Social Governance)投資という、環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視・選別して行なう投資が注目され、ESGの評価の高い企業は社会的意義、成長の持続性など優れた企業特性を持つと言えます。

出典:大和証券『ESG投資とは?』

このようにSDGsやESGを意識した事業は世界的に注目されやすい、高い評価を受けやすいといったメリットがあるため、企業はこういった環境に関連した事業を始めるのです。

中でも、近年話題になっている「脱炭素社会」の実現に向けカーボンニュートラルのテーマとした株に焦点を当て始めた企業は特に増えています。

3.カーボンニュートラル関連の事業に取り組んでいる企業はどこ? 

日本電気株式会社(NEC corporation)(6701)

蓄電池や太陽光発電設備等の分散エネルギーリソースを情報通信技術(ICT)によって統合制御する「リソースアグリゲーション事業」を東京海上日動火災保険株式会社と協業することを決定しました。

出典:NEC(Japan

東京海上ホールディングス株式会社(8766)

カーボンニュートラルの実現のために気候変動対策に力を入れており、特に有名なのがマングローブの植林です。2010年、東京海上ホールディングス全体の1年間のCO2排出量は約4万9000トンでしたが、マングローブの植林のみで約4万4000トンものCO2を吸収しました。その他、NECとの協力事業も注目されています。

出典:東京海上ホールディングス - To Be a Good Company -

株式会社セブン&アイ・ホールディングス(3382)

2021年2月時点で太陽光発電パネルを全国8681店舗に展開。また水素ステーションの設置や水素を燃料としたトラックの導入にも力を入れています。

出典:株式会社セブン&アイ・ホールディングス

ユニ・チャーム株式会社(8113)

鹿児島県志布志市や大崎町と「使用済み紙おむつ」のリサイクルモデルを拡大するほか、事業で使用する電力を完全に再生可能電力にすることを宣言しました。

出典:ユニ・チャーム: 総合TOP

株式会社レノバ(9519)

バイオマス発電(木質資源や植物残渣などの生物資源を燃料とした発電方法のこと)により力を注ぎ、国内の未利用材から作られる木質チップ、海外の木質ペレット、パーム椰子殻(PKS)などをバイオマス燃料として活用しています。

出典:株式会社レノバ

4.カーボンニュートラル実現のため特に企業に注目されている事業は?

水素事業

水素は燃料として使用する際に二酸化炭素や大気汚染物質が排出されないため、CO2の排出量削減につながります。主な事業としては水素ステーションの整備や燃料電池自動車の開発などがあります。

出典:環境省『脱炭素・水素社会の実現に必要な水素サプライチェーン』

アンモニア事業

アンモニアは肥料に使用されることも多いのですが、アンモニアの燃焼時にCO2を出さないという特性を活かし、火力発電の燃料に使われています。次世代エネルギーである水素は貯蔵・運搬の際に圧縮や液化に伴うエネルギーロスが発生してしまうのに対し、アンモニアは貯蔵、持ち運びが容易でエネルギーロスが少ないという利点があります。

出典:国立研究開発法人 科学技術振興機構『アンモニアを燃やして発電』 

空調事業

発展途上国で特に空調事業は大きく伸びており、冷房などの電力の需要は過去よりも高まっています。そこで増えてしまう CO2の排出量を減らすために様々な企業が努力してきました。中でもダイキン工業は高効率空調機の開発や建物と連携したエネルギーの効率的活用でカーボンニュートラルの実現を目指しています。

出典:ダイキン『空調事業』

メタンハイドレート掘削事業

メタンハイドレートは、天然ガスの主成分であるメタンガスが水分子と結びついてできる氷状の物質のことで、そこから取り出されるメタンガスは体積が小さく、燃やした時のCO2の排出量が少ないことで有名です。メタンハイドレートは日本近海にあることが調査によって明らかになりましたがまだ商業利用がされておらず、今後の期待が大きい事業と言えます。

出典:産総研『燃える氷メタンハイドレート』(2020年8月掲載)

5.まとめ:環境とビジネスの両立を意識しよう

世界的にカーボンニュートラルの実現に向けて動き始めるなかカーボンニュートラル関連の株式市場はまだ新しく期待も大きいため、今後参戦する企業は増えるでしょう。

 

今後のネクストアクションとして意識して欲しいのは、SDGsやESG投資に焦点を当てて社会的信頼を得るほか、カーボンニュートラルの株式市場のトレンドの変化に目を凝らしていく必要があります。これらのテーマは移り変わりが激しいからです。環境に優しく、かつ事業を成功させるためにこれらを意識することが重要です。

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