グリーンファイナンスとは?種類やメリットなどを解説
- 2023年12月04日
- CO2削減
脱炭素経営への関心の高まりにより、国内においてもグリーンファイナンスの活用が増加しています。
この記事では、法人の皆さまが知っておくべきグリーンファイナンスの概念や種類など基本的な知識や国内における発行実績などについて詳しくご紹介します。
目次
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グリーンファイナンスとは?
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グリーンファイナンスの発行実績
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グリーンファイナンスのメリット
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まとめ:グリーンファイナンスを活用して脱炭素経営に取り組もう!
1. グリーンファイナンスとは?
グリーンファイナンスとは、グリーンプロジェクトに限定して資金を調達する債券(グリーンボンド)や借入(グリーンローン)のことです。グリーンファイナンスにはどのような種類があるのかをみていきましょう。
(1)グリーンボンド
グリーンボンドとは、国内外のグリーンプロジェクトにかかる資金を調達することを目的とし発行する債券のことで、調達した資金は確実に追跡管理されることになっています。グリーンボンドは償還原資等の違いにより4種類に分類されています。
出典:環境省グリーンファイナンスポータル『グリーンボンド概要 グリーンボンドとは』
(2)サステナビリティ・リンク・ローン
サステナビリティ・リンク・ローンは、企業が野心的なサステナビリティ目標を達成することを目的としているローンです。目標の達成度合いに応じて金利が変動したり、調達した資金の融資対象が特定のプロジェクトに限定されないなどの特徴があります。
出典:環境省グリーンファイナンスポータル『サステナビリティ・リンク・ローン概要』
(3)サステナビリティ・リンク・ボンド
サステナビリティ・リンク・ボンドは、サステナビリティ目標の達成度合いに応じて金利が変動する債券のことです。サステナビリティ・リンク・ボンドにより調達した資金の使途は限定されていません。
出典:環境省グリーンファイナンスポータル『サステナビリティ・リンク・ボンド・原則』
2. グリーンファイナンスの発行実績
環境問題への関心の高まりなどにより、グリーンファイナンスの発行実績は増加しています。種類別にどのように増加しているかをみていきましょう。
(1)グリーンボンド
ESG投資の普及に伴い、国内外でグリーンボンドの発行件数が増加しています。国内で初めてグリーンボンドが発行されたのは2014年で、以降、発行件数は増加しており、2020年に1兆円を突破しています。
出典:グリーンファイナンスポータル『市場普及状況(国内・海外) | 発行データ | ボンド』(2022/11/7)
(2)サステナビリティ・リンク・ローン
国内では2019年に初めてサステナビリティ・リンク・ローンの融資が行われています。サステナビリティ・ローン・ローンガイドラインが2020年3月に策定されたことをきっかけに、2021年と2022年連続で融資件数が急増しています。
出典:環境省グリーンファイナンスポータル『サステナビリティ・リンク・ローン発行データ 市場普及状況(国内・海外)』(2022/11/7)
(3)サステナビリティ・リンク・ボンド
国内では2020年にサステナビリティ・リンク・ボンドが初めて発行されていますが、以降発行件数は増加しています。たとえば2022年11月7日時点において、以下のようなサステナビリティ・リンク・ボンドが発行されています。
(事例)
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ANAホールディングス株式会社(発行年限5年 発行額200億円)
4つの野心的なサステナビリティ目標を設定しています。2022年度末において2つ以上達成できなかった場合、環境や社会問題に取り組む法人または団体に寄付を行います。
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荒川化学工業株式会社(発行年限5年 発行額50億円)
2つの野心的なサステナビリティ目標を設定し、達成できなかった場合は寄付などを行います。目標1:2025年度までにCO2排出量を2015年度比で30%削減すること。目標2:2025年度におけるサステナビリティ製品の連結売上高指数を2019年度比で25%以上向上させること。
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株式会社大林組(発行年限5年 発行額200億円、発行年限7年 発行額100億円)
野心的なサステナビリティ目標を2つ設定し、債券ごとに目標を掲げています。もしも達成できない場合は、寄付などを行います。
出典:環境省グリーンファイナンスポータル『国内におけるサステナビリティ・リンク・ボンド発行リスト』(2022/11/7)
3. グリーンファイナンスのメリット
グリーンファイナンスを活用することで企業はどのようなメリットを得ることができるのでしょうか?ここでは、グリーンファイナンスを活用することで中小企業が得られるメリットについてご紹介します。
企業価値の向上
企業はグリーンファイナンスを活用することで、サステナビリティ経営を向上させ、その結果企業価値を高めることができます。たとえばサステナビリティ・リンク・ローンやサステナビリティ・リンク・ボンドを活用する場合、企業は野心的なサステナビリティ目標を設定することが義務付けられます。
企業は目標達成に動機付けられサステナビリティ経営を向上させることができます。サステナビリティ経営を高めることは、自社のブランドイメージを向上させることにもつながります。
出典:環境省グリーンファイナンスポータル『サステナビリティ・リンク・ローン概要』
脱炭素経営の推進
脱炭素経営の普及が大企業の間で進んでいますが、中小企業にも脱炭素への取り組みが求められています。大企業が脱炭素を実現するためにはサプライヤーの取り組みが不可欠であることから、取引先の中小企業に脱炭素への取り組みを促す大企業が増えているためです。資金調達におけるグリーンファイナンスの選択は、同時に中小企業の脱炭素への取り組みを活発化させます。
貸し手との信頼強化・新たな関係の構築
グリーンファイナンスの貸し手となるのは主に投資家や金融機関です。グリーンファイナンスを活用する際に企業は投資家や金融機関に環境への取り組みの情報を開示することによって、貸し手から企業としての信頼を獲得することができます。さらにグリーンファイナンスを活用している企業であると社会から認識されることで、新たな貸し手と関係を構築するチャンスも生まれます。
4. まとめ:グリーンファイナンスを活用して脱炭素経営に取り組もう!
この記事では法人の皆さまが知っておくべきグリーンファイナンスに関する基本的な知識についてご紹介しました。世界のみならず国内においてもグリーンファイナンスの発行実績は増加しています。企業はグリーンファイナンスを活用することで、ブランドイメージを向上させることができます。グリーンファイナンスを活用して脱炭素経営を推進しながら、自社の競争力向上に繋げていきましょう!