大企業だけじゃない?中小企業向けの再エネ100宣言 RE Actionとは?

ニュースなどで聞くことも多くなったRE 100ですが多くの中小企業にとってその参加条件をクリアすることは難しいです。しかし再エネ100宣言 RE Actionという団体があるのを知っているでしょうか。まさに中小企業向けのRE100の基礎からメリット、デメリットそしてその後のアクションプランまでを記していきます。

目次

  1. RE100の意味とその目標

  2. 中小企業向けの再エネ100宣言 RE Actionとは

  3. RE Actionで得られるメリットとは

  4. RE Actionにおける課題と次のアクション

  5. まとめ:RE Actionだけでなくその先を見据えた活動をしよう

1. RE100の意味とその目標

まずはそもそもRE Acion の元の団体であるRE100の言葉の意味と、団体として、また日本企業としての目標について記します。設立背景と目標達成の手法についても説明していきます。

言葉の意味と設立の背景

RE100は、NGO団体であるThe Climate Groupが設立した国際的な企業団体で、事業で使われるエネルギー等を全て再生可能エネルギーから賄おうというプロジェクトです。設立は2014年であり、その年行われたClimate Week NYC 2014で構想が発表されています。

ちなみに日本では、2017年より日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)が日本の地域のパートナーとして日本の企業の参画を支援しています。

出典:環境省『RE100について』(2021年3月19日 4ページ目)
出典:JCLP 『RE100・EP100・EV100 | JCLP』(2021年4月27日)

RE100目標とその手法

RE100の目標ですが、上記の通り企業での使用エネルギーを100%再生可能エネルギー由来にするというものです。日本での参加企業もその目標の達成予定年を掲げ活動しています。その手法は主に2つ存在します。

1つ目は、自社で再生可能エネルギーを生産し、使用することです。自給自足の考え方で他社に依存しない達成方法になります。

もう1つは、電力会社等から購入する方法です。この中にも次のAとBの2つの方法に細分化することができます。

A:直接電力会社から再生可能エネルギー購買する方法

B:再生可能エネルギー証書を購買する方法。

これらにより再生エネルギーを利用したと見なされて、RE100に貢献することになります。

出典:環境省『RE100・SBTの義務履行に 対応した再エネ調達方法について』(2ページ目)

参加するための条件とは

現在RE100に参画するためには、以下の4つの条件の内1つ以上を満たす”影響力のある企業”が必要条件とされています。

  1. グローバル⼜は国内で認知度・信頼度が⾼い

  2. 主要な多国籍企業

  3. 電⼒消費量が⼤きい(100GWh以上)  特例として現在、⽇本企業は50GWh以上に緩和されている 

  4. RE100の⽬的に寄与する、何らかの特徴と影響⼒を有する  基本的にグループで加盟。(但し、親会社と明確に分離したブ ランド、1TWh以上の消費電⼒量を満たす場合、例外的に⼦ 会社での加盟可能。)

出典:環境省『RE100について』(2021年3月19日 38ページ目)

またその他にも再生可能エネルギー設備企業が参加するには、追加での条件があります。そして参加する際には、遅くとも2050年までには100%の再生可能エネルギーを使用することと中間目標の提出も求められております。そのため決してRE100に参画する事は、簡単ではなくそのための準備や提出する事項も多岐に及んでいます。

出典:環境省『RE100について』(2021年3月19日 39〜40ページ目)

2. 中小企業向けの再エネ100宣言 RE Actionとは

上記の通り、RE100には、参加するための条件がありこちらを満たせないと参加ができない状況です。しかし、国内の他の環境に配慮したアクションを起こしたい企業はどのようにすればいいのでしょうか。

RE Actionの特徴と条件

再エネ100宣言 RE Actionは、上記の”影響力のある企業”という参加条件を満たすことができない中小企業等を対象とした日本独自の枠組みで、多くの企業が参画しています。下図の通り、年々参加企業数も増加しており、今注目されている運動の1つです。参加の条件としては、下記の3つがあります。また参加費として、企業であればその規模によって¥25,000〜200,000が必要となってきます。その代わりとして、ロゴの使用などが特典として利用できるようになります。

  1. 遅くとも2050年迄に使用電力を100%再エネに転換する目標を設定し、対外的に公表すること。

  2. 再エネ推進に関する政策エンゲージメントの実施

  3. 消費電力量、再エネ率等の進捗を毎年報告すること

出典:環境省『RE100について』(2021年3月19日 43ページ目)
出典:再エネ100宣言 RE Action協議会『再エネ100宣言 RE Actionとは

出典:環境省『RE100について』(2021年3月19日 45ページ目)

RE Actionの加入企業

RE Actionは、現在153団体、総従業員数10.7万人(2021年6月27日時点)もの加入規模になってきています。企業だけでなく、教育法人や医療団体、また地方自治体も参画しています。またその業種も多種多様であり、不動産業から製造業また小売業まで参画しています。

またそのほかにもアンバサダーとして各省庁も参画しています。環境省もRE100はもちろんですが、RE Actionも同じ重要項目として取り組むことを明言しています。

出典:環境省『「再エネ100宣言 RE Action」へのアンバサダー参加について』(2019年10月9日)
出典:再エネ100宣言 RE Action協議会『再エネ100宣言 RE Action

3. RE Actionで得られるメリットとは

さてこのRE Actionですがもちろん前述の通り、ロゴが使えるというメリットがありますがそれ以外にも参画した企業にとってはもちろんメリットがあります。これからのビジネスには、環境への運動も1つのステータスになってきますのでそちらも踏まえまして下記にて説明します。

対外的イメージアップ

1つ目は、社外でのイメージアップならびに認知力の向上になります。ロゴが使えることで、社外に環境に対するアクションを取っているという証明になります。また同様のアクションを行なっている企業に対する接点を持てることになります。さらに、フォーラムなどへの参加権も持てることになりますので、そこでの関わりも増えることになります。

これから、大企業などは、否が応でも環境へのアクションが求められます。そのような企業と付き合う中では、自社内で対応が取れているということは、1つ大きなアドバンテージになります。

出典:環境省『RE100について』(2021年3月19日 6〜22ページ目)

使用エネルギーへのリスクヘッジ

化石燃料などが現在主流ですが、その1つに頼りきっているとリスクヘッジとしては問題があります。今後再生エネルギーのニーズは上昇する中で、多様なエネルギーを自社で生産できることならびに購入する手立てがあることは、大きなメリットになります。

変化が大きくなる前にあらかじめ再生エネルギーの普及率を自社内であげなくてはならないRE Actionに参加することで、プラスアルファのメリットを享受することができます。

出典:環境省『RE100について』(2021年3月19日 6〜22ページ目)

4. RE Actionにおける課題と次のアクション

RE Actionは、一般的に社内外問わず非常に有効的なアクションの1つではありますがその代わり、現状では課題もまだ存在しています。その課題についてと、今後課題をどのようにクリアしていくのかというところについて説明します。

現状の課題とは

まず現状の課題についてですが、全体的な問題として2つ挙げます。1つ目は、再生エネルギーを自社で生産するときの先行投資です。例えば太陽光パネルなどですが、これらの設備には初期投資がかかってしまいます。大企業ならともかく、中小企業にとってはなかなかの出費になってしまう恐れもあります。また、設置しても24時間の小売店舗などでは、再生エネルギーだけではまかないきれない恐れもあります。

2つ目は、証書や電力会社からの購入の場合ですが小口購入の場合、通常のエネルギーより高価になることです。現状やはり化石燃料からのエネルギーは主力であり、それ以外での製造はコストが高い面があるため地方の企業などで小口で契約すると高くなってしまいます。そのため地方自治体などでは、まとめての購入によるコストダウンなどを計画しています。

出典:環境省『資料3-3 環境省のRE100達成に向けた取組(PDF形式/2784KB)』(2020年12月18日 2〜4ページ目)
出典:環境省『環境省RE100の取組
出典:再エネ100宣言 RE Action協議会『年次報告(2020年) | 再エネ100宣言 RE Action』(2020年10月31日)

参加企業がRE Actionでするべき次のアクション

RE Actionでの課題は、このように存在していますがそれを今後改善していくためにどのようにしていけばいいでしょうか。まずは、再生エネルギーの使用量を増やすことが必要です。現状の量では、希少性が高いためその問題点をクリアするために、やはり各企業が再生可能エネルギーを恒常的に使用することが求められます。

また、コストの面も相まって各社の目標達成年度が世界的に遅く、またそのマイルストーンも曖昧なまま提示されてるケースも多く見られます。取り組みのより具体化と、達成年度の前倒しをできるような新たなアイデアを社内外で見つけることが求められてくるのではないでしょうか。

出典:環境省『資料3-3 環境省のRE100達成に向けた取組(PDF形式/2784KB)』(2020年12月18日 2〜4ページ目)
出典:環境省『環境省RE100の取組
出典:再エネ100宣言 RE Action協議会『再エネ100へ【事例紹介】

5. まとめ:RE Actionだけでなくその先を見据えた活動をしよう

今回、RE Actionについての概要及びそのメリット、課題等を説明しましたが、まずは各企業がRE Actionに参加しその活動を常に行うことが求められてきます。多くの企業が行えば行うほど、再生可能エネルギーの市場は活発になりより各社が進めやすい状況に変わってきます。

その上で、RE Actionの活動だけで終わるのではなく、さらなる活動ができることでより地球環境に根ざした状況が作れます。またそのような活動は、決して環境だけでなく、自社の経営の部分に関してもリスクを回避できるような結果を生み出していけるはずです。

よって初めに、RE Actionへの参加ならびに準じた活動、その後、その先を見越した活動が各社に求められることとなります。

アスエネESGサミット2024資料 この1冊でLCAの基礎を徹底解説資料 サプライチェーン全体のCO2排出量Scope1〜3算定の基礎を徹底解説
アスエネESGサミット2024