RE100加盟に必要な電力は?電力の調達方法を徹底解説

脱炭素化社会の実現にむけ、2050年までに事業活動に用いる電力の再生可能エネルギー100%化を目指す国際イニシアチブ「RE100」。 気候変動による危機感などから、RE100加盟を宣言し、再エネに取り組む企業が国内外で増えています。

今回は、RE100の取り組みに関心のある方や、それらに加盟する企業のサプライヤーとなる法人の皆さまが知っておくべき、RE100に関する基本的な知識や再エネ電力の調達方法などについてご紹介します。

目次

  1. RE100はCO2削減に向けた国際的な取り組みである

  2. RE100に加盟するための条件・必要な電力

  3. 再エネ電力の調達方法

  4. まとめ:自社に必要な電力の調達方法を確認しよう!

1. RE100はCO2削減に向けた国際的な取り組みである

気候変動による異常気象は、世界各地に深刻な被害を与えています。環境問題に関心のある企業が中心となり、CO2排出量削減に向けた取り組みが加速しています。取り組みの1つであるRE100の概要や加盟事例、加盟するメリットについてご紹介します。

RE100の概要

RE100はCDPの協同のもと、The Climate Groupが2014年にスタートした国際的な取り組みです。CDPは2000年にイギリスで発足したNGOで、企業に環境情報の公開を請求するなどの活動をしています。The Climate Groupもイギリスで誕生したNGOで、気候変動問題に取り組んでいます。

RE100は、2050年度までに事業活動で用いる電力を100%再エネ化することで、CO2排出量を削減することを大きな柱にしています。気候変動に対する関心の高まりなどにより、RE100への加盟国は年々増加しており、2020年度における加盟企業数は292社(内日本企業数50社)です。

The Climate Groupの日本の窓口であるJCLPによると、RE100を宣言している企業の75%が2030年までに100%再エネ化を実現する見通しです。

出典:一般社団法人 CDP Worldwide-Japan 『気候変動イニシアティブ』

出典:環境省『RE100について』(p.24)

出典:JCLP『RE100年次レポート2020を公表:アジア地域が再エネ調達が最も難しい』(2020/12/15)

RE100の加盟事例

(1)楽天株式会社

J−クレジットの取引システムの提供やカーボンオフセットなど気候変動問題に取り組んでいた楽天株式会社が、2019年12月に2025年までに100%再エネ化することを目標に掲げ、RE100に加盟しています。

出典:Rakuten『楽天、国際イニシアチブ「RE100」へ加盟』(2019/12/17)

(2)花王株式会社

ライフサイクル全体を通し発生するCO2排出量を削減するために、花王はステークホルダーと協力し、取り組んできました。2040年にカーボンゼロ、さらには2050年にカーボンネガティブという目標を掲げRE100に加盟しています。

出典:花王『新たな「脱炭素」目標を策定 2040年カーボンゼロ、2050年カーボンネガティブをめざす』( 2021/5/19)

RE100に加盟するメリット

環境省は、RE100に取り組むと以下のようなメリットを得ることができると説明しています。

(1)気候変動による経済損失のリスク回避

CO2を排出する化石燃料に依存した事業活動は、気候変動を加速させます。気候変動による損失は、企業にとって大きな打撃になります。CO2を排出しない再エネの使用は、企業にとってリスク回避になります。

(2)再エネ市場の拡大

JCLPによると、日本における再エネ調達を困難にしている要因は、日本の市場における再エネ調達コストが海外と比べて高いことです。再エネを重要視する企業が増えると、再エネ市場は活性化します。環境省によると、海外では需要家の発信により再エネ市場が活性化し、その結果、再エネ調達コストが下がっています。

出典:JCLP『RE100年次レポート2020を公表:アジア地域が再エネ調達が最も難しい』(2020/12/15)

(3)企業のアピール

RE100への宣言は、企業が環境問題に取り組んでいることのアピールにもつながります。近年ESGの観点から投資を行う投資家が増えていることから、RE100を宣言することで投資家にアピールすることができます。

出典:環境省『RE100について』(p.7〜20)

 

2. RE100に加盟するための条件・必要な電力

RE100に加盟するための条件として、企業が設定すべき目標や必要な電力の目安についてご紹介します。

再エネ100%を達成する明確な戦力がある

RE100とは、2050年度までに事業活動に必要な電力を全て再エネ化することを目標とし、自社のホームページなどにその旨を記載し発信している影響力のある企業の集まりです。中間目標を設定することが推奨されており、設定した目標に関する報告を毎年、RE100を主催しているThe Climate Groupに提出することが義務付けられています。報告の中で、目標に対する戦略やロードマップを示す必要があります。

出典:JCLP『FAQ よくあるご質問(RE100参加について)』

RE100に加盟するために必要な電力

日本の企業がRE100に加盟するには、消費電力量が50GWh以上あることが基本的に必須事項とされています。RE100への加盟を希望している企業が、再エネ設備メーカーである場合は、0.1TWh以上の消費電力量があることが加盟要件です。

出典:JCLP『FAQ よくあるご質問(RE100参加について)』

3. 再エネ電力の調達方法

再エネ電力を調達する方法は大きく2種類あり、企業は自社で発電するか、外部から購入するかのどちらかを選択することになります。環境省によると、どれか1つを選択するよりも複数を組み合わせる企業が多いです。外部から再エネ電力を購入する方法として、電力会社から購入する、J−クレジットなど環境価値を購入する方法などがあります。環境省は、外部から再エネ電力を購入する方法として以下の5つの方法を紹介しています。

(1)企業の敷地内に設置した他社の発電設備から電力を購入する。

(2)企業の敷地外に設置した発電設備から専用線を経由して電力を購入する。

(3)企業の敷地外に設置した発電設備から系統を経由して電力を購入する。 

(4)電力小売会社から電力を購入する。

(5)J−クレジットやグリーン電力証書、非化石証書など再エネ電力証書を購入する。

出典:環境省『RE100・SBTの義務履行に対応した再エネ調達方法について』(p.2)

4. まとめ:自社に必要な電力の調達方法を確認しよう!

RE100の取り組みに関心のある法人の皆さまが知っておくべき、RE100の基本的な知識や再エネ電力の調達方法などについてお伝えしました。国際的・大規模な企業ではRE100 のような取り組みが注目されていますが、脱炭素の取り組みとしての再エネ化は大企業のみならず、『再エネ100宣言 RE Action』でも注目されている通り、全国の中小企業で求められます。

ぜひ一度再エネを取り扱う会社に問い合わせ、自社に最適な再エネ電力調達方法を確認してみましょう。自社にできる範囲の活動でも、検討できることはあるかもしれません。

 

RE100の取り組みに関心のある法人の皆さまが知っておくべき、RE100の基本的な知識や再エネ電力の調達方法などについてお伝えしました。再エネを販売している会社に問い合わせ、自社に最適な再エネ電力調達方法を確認してみることをおすすめします!

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