【2021年版】日本のCO2削減目標に向けた今後の動向を徹底解説
- 2022年06月15日
- CO2削減
2021年4月、アメリカ主催で開催された気候変動サミットで、各国がCO2削減目標を発表しました。日本は2030年度に2013年度比でCO2排出量を46%削減するという野心的な目標を発表しています。
この記事では、今後どのようなCO2削減の取り組みを始めようかご検討中の法人の皆さまが知っておくべき、日本におけるCO2削減の目標と今後の取り組み方針などについて紹介します。日本が今後どのような社会に変わろうとしているかを理解し、企業のCO2削減への取り組みにつなげていただければと思います。
目標
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【最新版】世界各国が掲げるCO2削減目標
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日本のCO2排出量の現状を知ろう
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新目標を達成するために日本がすべきこと
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まとめ:日本のCO2削減目標と方針を理解し、企業の取り組み方針を決めよう!
1. 【最新版】世界各国が掲げるCO2削減目標
2021年4月に、世界40ヶ国の首脳が招かれ、アメリカ主催で気候変動サミットが開催され、CO2削減の新しい目標と方針を発表しています。CO2排出量世界最大の中国と、アメリカに次ぐ第3位のインドは新しい取り組みを発表しませんでした。ここでは、日本を含む世界各国がどのようなCO2削減目標を掲げたのかについてご紹介します。
日本が掲げる新目標
日本は、CO2排出量を2030年度までに2013年度比で46%削減することを目標として発表しています。野心的だと言われているのは、パリ協定後に日本が掲げた26%という目標から20%も引き上げられているためです。
菅首相は、目標を達成するための方針として、再生エネルギーの最大限の活用や企業に投資を促すことを表明しています。
出典:外務省『菅総理大臣の米国主催気候サミットへの出席について(結果概要)』(2021/4/22)
アメリカが掲げる新目標
CO2排出量が世界第2位のアメリカのバイデン大統領は、温暖化による気候変動に強い危機意識を抱いています。アメリカは、新しい目標として2030年度までに2005年比でCO2を50〜52%削減することを宣言しています。アメリカは2025年度までにCO2を26~28%削減することを目標にしてきたため、目標値を2倍近く引き上げたことになります。アメリカは、イノベーションやクリーンエネルギー分野などへの投資により競争を高めることで、CO2削減目標の達成と雇用の創出を同時に行う方針です。
出典:BBC NEWS JAPAN『バイデン氏、気候変動対策の「勝負の10年」 サミットでCO2削減の新目標を発表』(2021/4/23)
出典:外務省『気候変動に関する最近の動向』(2021/3)(p.7)
EUが掲げる新目標
2020年3月に欧州気候法案において審議していた、1990年度比で2030年度までにCO2を55%以上削減する目標が合意に至り、気候変動サミットでCO2削減55%を新しい目標として発表しています。EUはグリーン・ファイナンスの推進や国内の法令や制度を整備することで、CO2削減目標を達成する方針です。
出典:外務省『気候変動に関する最近の動向』(2021/3)(p.8)
各種報道資料を元にアスエネが作成
2. 日本のCO2排出量の現状を知ろう
2030年度までに2013年度比でCO2排出量を46%削減することを新しい目標として掲げた日本ですが、現在どのような状況にあるのでしょうか。ここでは、日本のCO2排出量の推移や使用電力の電源構成の推移など、現状についてご紹介します。
日本のCO2排出量の推移
日本は2011年3月に起きた東日本大震災以降CO2排出量が増加しましたが、その後緩やかに減少しています。CO2排出量が増加した原因は、原発が停止したことで、火力発電の使用割合が増えたことにあります。
出典:資源エネルギー庁『日本のエネルギー2020 エネルギーの今を知る10の質問』(p.6)
日本の使用電力の電源構成の推移
発電時にCO2を排出する火力発電への依存が高いほど、CO2排出量も多くなります。日本は今後目標を達成するために、再生可能エネルギーを最大限活用する方針を示しています。資源エネルギー庁によると、日本の電源構成は以下のように推移しています。
出典:資源エネルギー庁『2020—日本が抱えているエネルギー問題(前編)』(2020/11/18)
新目標を達成するために日本がすべきこと
菅首相は気候変動サミットにおいて、CO2削減の新しい目標を達成するために、再生可能エネルギーの最大限の活用や、企業へ投資を促すことなどの方針を表明しています。
2030年度を中間目標とし、最終目標として2050年度までにカーボンニュートラルの実現を目指しています。カーボンニュートラルを実現するために、重要分野ごとに方向性を以下のように定めています。
(1)水素分野
2050年度までにLNG以下のコスト水準を実現させ、世界をリードする国になることを目指す。
2020年12月に開催された第6回成長戦略会議で配布された資料によると、日本は水素タービン発電の燃焼技術が世界的に先行しており、1年当たりの潜在国内水素需要として約500〜1000万トンが見込まれています。燃料電池で走らせるFCトラックの潜在国内水素需要は約700万トンを見込んでいます。このように大規模な潜在国内水素需要がありますが、実機での実証が完了しておらず、商用化が現在の課題とされています。
出典:資源エネルギー庁『今後の水素政策の課題と対応の方向性中間整理(2021/3/22)』(p.3)
(2)自動車・蓄電池分野
2030年度に新車販売に占めるEVやPHVの割合を2〜3割にする。
日本自動車会議所によると、2020年1〜12月における電動車販売台は、新型コロナウイルスによる需要の減少や、ホンダやトヨタの新型車の販売台数が限定的だったことなどから、前年比でマイナスになっています。日本ではガソリン車とハイブリッド車が主流で、2020年1月〜2021年2月の新車台数におけるEV とPHVはともに0.6%と、普及は進んでいません。
出典:一般社団法人 日本自動車会議所『自動車産業インフォメーション』(2020/10/20)
(3)燃料アンモニア分野
2030年度までに石炭火力発電に20%アンモニアを混焼させることでCO2削減を目指す。
燃焼時にCO2を排出しないアンモニアは、水素と同様にカーボンニュートラル実現を支える燃焼として期待されています。2020年11月17日に開かれた総合資源エネルギー調査会によると、アンモニア混焼率の向上やアンモニア専焼火力の技術開発が課題とされています。
出典:資源エネルギー庁『燃料アンモニアに関する検討状況』(2020/12/7)(p.20)
出典:経済産業省『「ビヨンド・ゼロ」実現までのロードマップ』
4. まとめ:日本のCO2削減目標と方針を理解し、企業の取り組み方針を決めよう!
この記事では、日本が掲げるCO2削減の新目標や日本のCO2排出量の現状、
カーボンニュートラルを実現させるための今後の方針などについてお伝えしました。日本の今後の動向をした上で、企業がどのような方法でCO2削減に取り組むかを決めていただければと思います。