中小企業も脱炭素に取り組むべき?メリットや取り組み事例を紹介!

世界的に脱炭素の潮流が強まる中、日本の中小企業にも脱炭素への積極的な取り組みが求められています。今回は世界的な脱炭素の動きや日本政府が進めるカーボンニュートラル、中小企業が脱炭素に取り組むメリット、中小企業の取り組み事例などを紹介します。

目次

  1. 世界的な脱炭素の動き

  2. 政府が目指すカーボンニュートラル

  3. 中小企業が脱炭素に取り組むメリット

  4. 中小企業の脱炭素への取り組み事例

  5. まとめ:積極的に脱炭素に取り組みビジネスチャンスを捉えよう!

1. 世界的な脱炭素の動き

気候変動枠組み条約が採択されたリオサミットから30年。脱炭素の動きが世界中で加速しています。現在の脱炭素の動きを後押ししている2015年に採択されたパリ協定や2021年に公表されたIPCC第6次評価報告書についてまとめます。

(1)パリ協定の締結・発効

2015年、フランスのパリでCOP21が開催され、パリ協定が採択されました。パリ協定では以下の目標を掲げています。

  • 世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする

  • そのため、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる

COP21は温暖化の原因とされるCO2などの温室効果ガスを参加するすべての国で削減する合意がなされ、当時では画期的な会議となりました。こうして、今に至る脱炭素の流れが形作られたのです。

出典:資源エネルギー庁「今さら聞けない「パリ協定」 ~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?」

(2)IPCCによる第6次評価報告書

IPCCとはIntergovernmental Panel on Climate Changeの略で、日本語では「気候変動に関する政府間パネル」と訳される組織です。

IPCCは学術的な機関であり、数年おきに出される「評価報告書」は地球温暖化に関する世界中の研究者の知見を集約した報告書です。評価報告書の内容は地球温暖化に関する議論の土台となるだけではなく、各国の政策にも大きな影響を与えます。

人為期限の温暖化

出典:環境省「IPCC AR6 特別報告書(p3)」

報告書では工業化により人類が排出した温室効果ガス(GHG)が地球に蓄積し続けていることを取り上げ、その結果として産業革命が始まった19世紀後半に比べ地球の平均気温が1℃上昇したと指摘しました。

こうした指摘を受け、ヨーロッパや政権交代したアメリカなどでは地球温暖化を抑制するための対策が実施されつつあります。

出典:環境省「IPCC AR6 特別報告書(p4)」

2. 政府が目指すカーボンニュートラル

各国で進む脱炭素化を踏まえ、日本政府もCO2の排出削減に動き出します。

2020年10月、政府は温室効果ガスの排出量と吸収量を等しくするカーボンニュートラルを2050年までに達成すると表明しました。カーボンニュートラルを達成するにはCO2の排出削減と同時に、CO2の吸収・除去技術を開発しなければなりません。

日本政府がカーボンニュートラルを表明したのは対外的な理由ばかりではありません。

日本の年平均気温偏差

出典:環境省「カーボンニュートラルとは」

日本で本格的に産業革命が進展した1900年頃に比べると2020年の気温は平均で1.5℃ほど高まっています。日本でも世界と同様、温暖化が進んでいることがわかります。

日本の年平均気温偏差

出典:環境省「カーボンニュートラルとは」

政府は2020年から5年間で集中的に脱炭素対策に取り組み、100か所以上の脱炭素選考地域を創出するとしています。そして、重点対策を全国で実施しようとして動いているのです。

2030年頃には全国で多くの脱炭素ドミノを発生させ、2050年を待たずに脱炭素社会を作り上げる計画です。

3. 中小企業が脱炭素に取り組むメリット

政府はカーボンニュートラル達成のため、政策面での後押しを強めています。中小企業にとって脱炭素はコストではありますが、それと同時に脱炭素に取り組むメリットもあります。脱炭素に取り組むメリットをまとめます。

(1)ビジネスチャンスの拡大

1つ目のメリットはビジネスチャンスの拡大です。近年、企業間取引では生産性やコストだけではなく、CO2の排出量にも注目が集まっています。脱炭素に取り組みCO2の排出削減に努めることは、CO2排出量が少ない企業との取引を望むビジネスパートナーとの取引を拡大させられるかもしれません。

(2)光熱費などの経費削減

2つ目のメリットは光熱費などの経費を削減できることです。照明器具を旧来の白熱電球や蛍光灯からLED照明に切り替えるだけでも光熱費を大幅に削減できます。また、省エネ設備を導入することで光熱費を節減できます。

(3)企業イメージの向上

3つ目のメリットは企業イメージの向上です。SDGsの考え方が浸透しつつある中、CO2の排出削減に熱心に取り組む企業であることは企業イメージの向上につながります。

CO2の排出削減に積極的に取り組み実績を出せば、メディアや国・自治体から表彰される可能性もあります。そうなると、自社の知名度や認知度が上がり優秀な人材が集まりやすくなるでしょう。

4. 中小企業の脱炭素への取り組み事例

ここからは中小企業の脱炭素への取り組み事例について紹介します。

(1)榊原工業株式会社

榊原工業株式会社は愛知県西尾市に本社を置く鋳型中子製造業を営む企業です。榊原工業は2030年までに2018年比で50.4%のCO2排出削減目標を立てました。これを達成するため、会社で使用するエネルギー量の見える化を実施します。

加えて、2025年までに太陽光発電など環境に配慮したエネルギーの導入を図り「再エネ100%」達成に向けて努力します。

出典:環境省「榊原⼯業株式会社(p1~4)」

(2)イノチオホールディングス株式会社

イノチオホールディングス株式会社は愛知県豊橋市にある農業関連サービスの会社です。主に農業用ハウス設計・施工や農薬の販売、営農支援などの事業を展開しています。

2030年までに2019年比で27.5%のCO2排出削減目標を立てました。目標達成のため省エネ技術導入による燃料の削減や電力の再エネ化を図ります。同時に、2030年までに使用する電力の60%を再生可能エネルギーに切り替える目標も立てました。

農業関連企業であるため気候変動についても敏感で、農作物の栽培適地が変わる可能性や自然災害の頻発を懸念しています。

出典:環境省「イノチオホールディングス株式会社(p1~4)

(3)株式会社浜田

株式会社浜田は大阪府高槻市にある産業廃棄物処理業者です。CO2の排出削減目標は2030年までに2019年比50.4%減。再生可能エネルギー由来の電気への切り替えや環境マネジメントシステムの運用によりCO2の排出削減を目指します。

自社での努力だけではなく非化石証書(CO2を出さない再生可能エネルギーで発電された電力である証書)やJクレジットといった仕組みも活用して総合的に目標達成を目指します。

出典:環境省「株式会社浜⽥(p1~4)」

5. まとめ:積極的に脱炭素に取り組みビジネスチャンスを捉えよう!

今回は中小企業と脱炭素のかかわりを中心にまとめました。パリ協定以後、世界的に脱炭素の流れが強まり、日本国内でもカーボンニュートラル達成に向けた政府の動きが加速しています。

国としてカーボンニュートラルを達成するためには大企業だけではなく中小企業の協力も必須です。中小企業は脱炭素の動きを単なるコストの増加と考えるのではなく、新たなビジネスチャンスと捉え、自ら積極的に取り組んではいかがでしょうか。

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