RE 100 加盟日本企業のメリットと課題。求められる活動とは
- 2022年06月15日
- CO2算定
RE100は、最近メディアや会社のサイトなどで目にする機会も多くなった言葉です。現在も続々と国内外問わず多くの企業が参加を表明しています。そこで今回は、RE100の意味から現在参加している日本企業が享受できるメリットや参加条件などを解説します。この記事を読めば、RE100に対しての基本的な内容を理解でき、また貴社の参入の考察までできるかと思います。
目次
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RE100の意味と日本企業の目標
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日本でのRE100参加企業一覧と参加条件
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日本企業がRE100で得ることと留意点
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これからのRE100参加日本企業に求められるもの
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まとめ:RE100、RE Action の加盟や取り組みを検討しよう
1. RE100の意味と日本企業の目標
まずはそもそもRE100の言葉の意味と、団体として、また日本企業としての目標について記します。設立背景と目標達成の手法についても説明していきます。
言葉の意味と設立の背景
RE100は、NGO団体であるThe Climate Groupが設立した国際的な企業団体で、事業で使われるエネルギー等を全て再生可能エネルギーから賄おうというプロジェクトです。設立は2014年であり、その年行われたClimate Week NYC 2014で構想が発表されています。
ちなみに日本では、2017年より日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)が日本の地域のパートナーとして日本の企業の参画を支援しています。
出典:環境省『RE100について』(2021年3月19日 4ページ目)
出典:JCLP 『RE100・EP100・EV100 | JCLP』(2021年4月27日)
RE100目標とその手法
RE100の目標ですが、上記の通り企業での使用エネルギーを100%再生可能エネルギー由来にするというものです。日本での参加企業もその目標の達成予定年を掲げ活動しています。その手法は主に2つ存在します。
1つ目は、自社で再生可能エネルギーを生産し、使用することです。自給自足の考え方で他社に依存しない達成方法になります。
もう1つは、電力会社等から購入する方法です。この中にも次のAとBの2つの方法に細分化することができます。
A:直接電力会社から再生可能エネルギー購買する方法
B:再生可能エネルギー証書を購買する方法。
これらにより再生エネルギーを利用したと見なされて、RE100に貢献することになります。
出典:環境省『RE100・SBTの義務履行に 対応した再エネ調達方法について』(2ページ目)
2. 日本でのRE100参加企業一覧と参加条件
こちらでは、日本での参加企業の歴史と数について記していきます。また、RE100の参加条件もあわせて確認していきましょう。現在参加している企業はどのようなところなのかまたそのためにどんな目標を立てて行動しているのでしょうか。
日本での参加企業一覧
世界中ですでに300を超える企業が参加していますが、日本はその内どれほどなのでしょうか。現在日本企業で参加しているのは、54社になります。(2021年5月時点)その数はアメリカに次ぐ世界2位の数字となっています。
日本で1番始めに参画した会社は印刷機で有名な株式会社リコーです。52社の内訳は様々な業種に分かれており、建設業や小売、銀行や不動産業なども参加しています。また日本では、城南信用金庫1社が再生100%を達成しています。(世界では57社)
出典:環境省『RE100について』(2021年3月19日 25〜31ページ目)
出典:JCLP 『RE100・EP100・EV100 | JCLP』(2021年4月27日)
出典:メンバーズ 『RE100 日本企業最新リスト 53社【2021.4.27改】・脱炭素社会への期待|コラム|メンバーズ』(2021年4月27日)
参加するための条件とは
現在RE100に参画するためには、以下の4つの条件の内1つ以上を満たす”影響力のある企業”が必要条件とされています。
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グローバル⼜は国内で認知度・信頼度が⾼い
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主要な多国籍企業
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電⼒消費量が⼤きい(100GWh以上) 特例として現在、⽇本企業は50GWh以上に緩和されている
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RE100の⽬的に寄与する、何らかの特徴と影響⼒を有する 基本的にグループで加盟。(但し、親会社と明確に分離したブランド、1TWh以上の消費電⼒量を満たす場合、例外的に⼦会社での加盟可能。)
出典:環境省『RE100について』(2021年3月19日 38ページ目)
またその他にも再生可能エネルギー設備企業が参加するには、追加での条件があります。そして参加する際には、遅くとも2050年までには100%の再生可能エネルギーを使用することと中間目標の提出も求められております。そのため決してRE100に参画する事は、簡単ではなくそのための準備や提出する事項も多岐に及んでいます。
出典:環境省『RE100について』(2021年3月19日 39〜40ページ目)
中小企業向けの再エネ100宣言 RE Actionとは
再エネ100宣言 RE Actionは、上記の”影響力のある企業”という参加条件を満たすことができない中小企業等を対象とした日本独自の枠組みで、現在108社が参画しています。
参加条件としては、2050年までに再生可能エネルギーを100%使用することの対外発表や、毎年の進捗を報告することなどが挙げられています。下図の通り、年々参加企業数も増加しており、今注目されている運動の1つです。
出典:環境省『RE100について』(2021年3月19日 43ページ目)
出典:環境省『RE100について』(2021年3月19日 45ページ目)
3. 日本企業がRE100で得ることと留意点
現在日本でRE100に参加している企業は52社ですが、その理由について記していきます。再生可能エネルギーを100%にする事は簡単なことではなく、その分のコストもかかってきます。それでもなおこの運動に参加するにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
各社が享受できるメリット
享受できるメリットは大きく4つになります。
1つ目は、化石燃料に依存しないことです。環境変動の中で価格の推移に動じることなく事業を進めていけます。
2つ目は、再生可能エネルギー市場の活性化です。企業が対外的に参画を発表することで市場が活性化し、併せてエネルギーの価格が安価になるため好循環になります。
3つ目は、投資家からの支援が受けやすくなります。企業の評価軸にエコの要素も入っているためその点で有利になります。
4つ目としては、世界的なアピールになります。世界的な運動のため参画しているために、様々な企業とのコミュニケーションのきっかけになります。
出典:環境省『RE100について』(2021年3月19日 6〜22ページ目)
参加する上で留意すること
上記の通りのメリットを得ることは企業にとってメリットですが、その分リスクも存在します。ここでは2つ紹介します。
1つ目は、自社で再生可能エネルギーを生産する場合、その設備導入のコストがかかることです。この際大きな支出になるため、ある程度の資金がないと達成が難しくなります。またそのための知識のインストールも必要になります。
2つ目は、証書や電力会社からの購入の場合ですが小口購入の場合、通常のエネルギーより高価になることです。現状やはり化石燃料からのエネルギーは主力であり、それ以外での製造はコストが高い面があるため地方の企業などで小口で契約すると高くなってしまいます。そのため地方自治体などでは、まとめての購入によるコストダウンなどを計画しています。
出典:環境省『資料3-3 環境省のRE100達成に向けた取組(PDF形式/2784KB)』(2020年12月18日 2〜4ページ目)
出典:環境省『環境省RE100の取組』
4. これからのRE100参加日本企業に求められるもの
ここまでは、RE100に参加している日本企業などの現状でしたが、以下では今後の方針や目指すべき目標など未来の点についての記載となります。
アメリカとの比較から見える問題とは
まず日本は他国と比べると参加社数は多いですがアメリカと比べると1.5倍ほどの差があります。またアメリカ内ではRE100に参加していないものの、独自でエコ活動を進める企業もあります。
Amazon.comとTesla, Inc.はそれぞれで活動を行なっておりAmazon.comでは2040年にはカーボン排出量0を掲げています。そのため日本では、まだまだ参加の機運やその規模が少ないように思えます。今後多くの企業が参画し、日本での運動を盛り上げ市場をシフトさせていくことが期待されます。
出典:メンバーズ 『RE100 日本企業最新リスト 53社【2021.4.27改】・脱炭素社会への期待|コラム|メンバーズ』(2021年4月27日)
早期における目標の達成
また日本では、多くの参加企業が2050での目標達成を掲げており、早期での達成が難しい状況になっています。また2019年時点での達成率が10%に達している企業も少なく具体的な活動内容も未定の企業も多く見られます。
それには、上記のコスト的な障害が関与しているのではないでしょうか。企業が早期に達成することにより、より多くの再生可能エネルギーへの転換点が生まれ企業ならびに民間へのメリットが多くなります。
出典:環境省『RE100について』(2021年3月19日 32〜36ページ目)
5. まとめ:RE100、RE Action の加盟や取り組みを検討しよう
RE100に参加している日本企業は年々増加しており、その市場も大きくなってきています。上記の通り、参画するのに障害はあるものの今後の世界情勢を考えた際に、RE100の日本企業参入はより進んでいくものと思います。
各企業で早期に内容を踏まえどの条件で参入していくのか、また中小企業でもRE Actionにいつ参入するのかは重要な事柄になります。世界基準でエコな企業という証明を得る1つの方法としてRE100への参画を考えてみてはいかがでしょうか。