産廃業者が取り組むべきカーボンニュートラルとは?

産廃業者はカーボンニュートラルを実現させるために、どのような脱炭素の取り組みができるのでしょうか。リサイクルの取り組みにより産業廃棄物の量は減少傾向にはありますが、廃棄物をゼロにすることはできません。

廃棄物は焼却するとCO2が排出されるため、産廃業者はCO2排出量を削減するために取り組まなければなりません。この記事では、産業廃棄物の量やCO2排出量など日本の現状と産業廃棄物分野においてできる脱炭素の取り組み例などをご紹介します。

目次

  1. 日本における産業廃棄物状況

  2. 産廃業者はカーボンニュートラルにどう取り組む?

  3. 廃棄物発電の事例紹介

  4. まとめ:産廃業者は今すぐ脱炭素に取り組もう!

1. 日本における産業廃棄物状況

産廃業者は、脱炭素化の実現に向けどのように取り組めばよいのでしょうか。ここでは日本の産業廃棄物分野における廃棄物やCO2排出量などの現状についてご紹介します。

国内の産業廃棄物量の状況

2018年における日本の産業廃棄物の総排出量は約3億7,883万トンで、前年比で約1.2%減という結果になりました。総排出量のうち8割以上を占めたのは、前年と同じで以下の5つの業種で、全体に占める割合は以下の通りです。

  • 電気・ガス・熱供給・水道 26.1%

  • 農業・林業 21.4%

  • 建設業 19.9%

  • パルプ・紙・紙加工品製造業 8.6%

  • 鉄鋼業 6.9%

その中でも、汚泥と動物のふん尿、がれき類といった種類の廃棄物が前年に続き今年も全体の8割以上を占めています。

出典:環境省『産業廃棄物の排出及び処理状況等(平成30年度実績)について』(2021/3/26)

産業廃棄物から排出されるCO2

2018年の廃棄物分野におけるCO2排出量は3,782万トンで、CO2総排出量の約3.0%を占めています。有機性廃棄物埋立量の削減など産業廃棄物分野におけるCO2削減の取り組みによりCO2排出量は2013年度比で4.5%減と減少傾向にあります。

廃棄物分野の温室効果ガス排出量の推移

出典:経済産業省『廃棄物分野における地球温暖化対策について』(2021/4/9)(p.2)

2. 産廃業者はカーボンニュートラルにどう取り組む?

産廃業者は脱炭素社会の実現を目指し、どのようにカーボンニュートラルに取り組めばよいのでしょうか。ここでは取り組みの例と取り組む上での課題についてご紹介します。

有機性廃棄物埋立量の削減・準好気性埋立の導入

産廃業者は、有機性廃棄物の埋立量の削減や準好気性埋立の導入などによりカーボンニュートラルに取り組むことができます。廃棄物最終処分場に準好気性埋立を導入すると温室効果ガスの1つであるメタンの削減につながります。

出典:経済産業省『廃棄物分野における地球温暖化対策について』(2021/4/9)(p.2)

廃棄物発電の導入

廃棄物発電はバイオマス発電の1つで、様々な廃棄物を燃料として発電することができます。産業廃棄物分野から排出される廃棄物のうち8割以上を占めているのは、汚泥や動物のふん尿、がれき類ですが、これらも廃棄物発電の燃料として活用することができることからCO2排出量削減につながります。

バイオマスの分類

出典:資源エネルギー庁『バイオマス発電 再エネとは なっとく!再生可能エネルギー』

しかし、廃棄物発電には、設備を導入するために莫大な費用と時間がかかるというデメリットもあります。この他に廃棄物発電の燃料となる資源が広い地域に分散していることから、小規模分散型設備になりやすく、そのため発電所を稼働させるにあたり収集や運搬、管理にコストがかかります。

出典:資源エネルギー庁『バイオマス発電 再エネとは なっとく!再生可能エネルギー』

3. 廃棄物発電の事例紹介

廃棄物発電は、廃棄物を燃料として活用できることからCO2排出量の削減効果もあります。ここでは、廃棄物発電の事例をご紹介します。

日立造船株式会社

日立造船株式会社は、1965年に大阪市に初めてごみ焼却・発電施設を納入しました。その後も納入数を増やし、2022年3月までに国内510施設の他、海外でも553施設を納入しています。

ごみ焼却発電の仕組み

出典:日立造船株式会社『ごみ焼却発電施設』

アミタ株式会社・南三陸BIO

アミタ株式会社は、宮城県南三陸町において、バイオガス発電所を運用しています。南三陸町の住宅や店舗から排出される生活ゴミなどを燃料として活用することから、廃棄物の最終処分量の削減にもつながっています。

出典:アミタ株式会社『南三陸BIO(ビオ)|資源循環の基盤づくり事例』

生活協同組合コープこうべ・食品廃棄物処理設備

コープこうべは、所有する六甲アイランド食品工場でメタン発酵を利用したバイオガス発電を行っています。六甲アイランド食品工場ではパンや豆腐が製造されていますが、バイオガス発電により食品廃棄物の約97%がリサイクルされています。

出典:食品ロス削減 資源循環型のくらし -生活協同組合コープこうべ

4. まとめ:産廃業者は今すぐ脱炭素に取り組もう!

この記事では、産業廃棄物に関する日本の現状と、産業廃棄物分野における脱炭素の取り組み例などについてご紹介しました。脱炭素はあらゆる業種に関連しており、産廃業者も例外ではありません。産業廃棄物を減らすことが脱炭素の取り組みになります。2050年カーボンニュートラルの実現を目指し、脱炭素に取り組みましょう!

アスエネESGサミット2024資料 この1冊でLCAの基礎を徹底解説資料 サプライチェーン全体のCO2排出量Scope1〜3算定の基礎を徹底解説
アスエネESGサミット2024