環境問題解決策の一環として、電気自動車を導入しよう!

今回は、最近メディアでもよく耳にする電気自動車について、その環境への効果と問題について記していきます。世界を取り巻く現在の環境問題、そしてそれらに対し、なぜ電気自動車が注目されているのかについて解説していきます。

目次

  1. そもそも電気自動車は、なぜ環境問題に良いのか

  2. 今現在の電気自動車で、環境問題を解決する動き

  3. 電気自動車から発生する環境問題とは

  4. 今後、企業として電気自動車でどう問題を解決して環境へ貢献するか

  5. まとめ

1. そもそも電気自動車は、なぜ環境問題に良いのか

電気自動車と一概にいっても細かい構造や、どれぐらい環境に良いのかについて知らない方も多いのではないでしょうか。ここでは、電気自動車の仕組みと実際のCO2排出量に焦点を当て説明してきます。

電気自動車が動く仕組みが鍵

電気自動車は、ガソリン車と違い、電気でモーターを回して走行しています。ガソリン車は、ガソリンを燃やしてモーターを回しているためそこが違いとなります。またハイブリッドカーは、電池とガソリン両方でモーターを回しています。

電気自動車のCO2排出量は0になっており、その点で環境に良いと一般的に言われています。また、ガソリンはそのエネルギーの20%しか走行に使えないという問題点もあります。その点、電気はエネルギーの80%を走行に回すことができます。

出典:国立環境研究所『電気自動車は環境にやさしいの?\走行に使えるエネルギー』(参照情報記載箇所/2ページ右下)

ガソリン車とのCO2排出量の違いはどれくらいなのか

実際、ガソリン車とのCO2排出量の差がどれくらいあるのでしょうか。現状のデータでは、日本では約50%減という結果が出ています。走り方や電池自体の効率性・能力などでその差は変わってきますが、フランスでは90%減というデータも出ています。今後技術の発展とともに、より効率的に走行することが可能になるかもしれません。

出典:国立環境研究所『電気自動車は環境にやさしいの?\電気自動車のCO2削減効果』 (参照情報記載箇所/1ページ右下)

2. 今現在の電気自動車で、環境問題を解決する動き

環境問題は、戦後世界中で課題とされていましたが、近年ではそれを電気自動車で解決しようと、推進運動やキャンペーンが広がっています。

世界での電気自動車への推進運動

世界では、環境問題のなかでも二酸化炭素排出から起こる地球温暖化が取り沙汰されています。具体的には、京都議定書やパリ協定と取り決めがなされ、ゴールを具体的に設定しています。そのため電気自動車は、欧米をはじめとして広く推進されています。

欧州自動車工業会によれば、普及率は9%ほどまで伸びています。理由の一つとして考えられるのは補助金制度が充実していることです。ドイツでは、最大9000ユーロほどの補助があり、ガソリン車と価格に差がなくなり購買率が上がっています。

出典:JETRO『低排出ガス車購入時の補助額、期間限定で増額(ドイツ) | ビジネス短信』(2020年7月21日)

日本での電気自動車への推進運動

日本もパリ協定などの取り組みに参画しているため、もちろん二酸化炭素削減へ舵を切らなくてはいけません。日本では、2050年までに温暖化ガス排出量を0にするという政府目標があります。そのため電気自動車には欠かせない急速充電スポットも増え続け現在では、21,000箇所を超えています。

また、政府は、2030年半ばまでに販売車全てを、ハイブリットもしくは、電気自動車にすると明言しています。同じく東京都でも、2030年までに全てのガソリン車の販売を辞める予定です。

出典:朝日新聞『東京都も2030年までに「脱ガソリン車」 知事が表明:朝日新聞デジタル』(2020年12月8日)
東洋経済『政府が「2030年ガソリン車禁止」を打ち出した訳 | 電動化』(2020年12月8日)
出典: 経済産業省『急速充電器 普通充電器 』(2017年6月)(参照情報記載箇所/5ページ)

3. 電気自動車から発生する環境問題とは

環境に良いと言われる電気自動車といえども、もちろん問題もあります。それは完全に二酸化炭素を出さないわけではないことです。製造の部分に焦点を当てるとそこでは、二酸化炭素が発生しています。

ガソリン車との構造比較が1つのポイント

ガソリン車との違いで言えば、まず電気自動車は、バッテリーを積んでいます。前述の通り、電気自動車は、電気でモーターを回すのでバッテリーが必須になります。しかしここで問題なのが必要な内容量です。同じ2.5km走る場合、ガソリンでは、0.16kgで充分ですが電池の場合5kg必要です。この30倍の重さの違いにより、電気自動車は走行に余分なエネルギーを使うことになります。また同時に1台当たりの搭載バッテリーが大きいため、部品製造の際、CO2が多く発生してしまいます。

出典:国立環境研究所『電池にどのくらいのエネルギー が ためられるのか? 』(参照情報記載箇所/2ページ上段)

電気の製造方法が問題に

電気自動車の動力である電気ですが、そちらの製造に問題があります。現在、日本の電気は主に、火力、自然(水力、風力など)、原子力の3つの製造方法で作られています。特に現在重宝されている火力発電では1kWhごとに867gの二酸化炭素を排出しています。しかし欧州では、この電気の製造方法も脱炭素化が進み、製造過程の二酸化炭素排出量を削減しています。

出典:環境省『電気事業分野における地球温暖化対策の 進捗状況の評価結果について』(2020年7月14日)(参照情報記載箇所/37ページ)

4. 今後、企業として電気自動車でどう環境へ貢献するか

企業として、今後よりSDGs等の環境問題へ取り組むことが期待されています。もちろん企業ごとに取り組み方は変わってきますが、より良い環境のために新しい行動をすることが必要です。その一つとして電気自動車が挙げられます。

電気自動車に対する効果

導入の仕方ですが、例えば現在社用車等をご利用している場合、電気自動車に変えるだけでその分CO2排出量が削減できます。またガソリン代が浮くため、その分コストも削減できます。また電気自動車に関わる製造業では、現状より、脱炭素化が進んだ製造方法(再生可能エネルギーを利用など)ができれば環境への取り組みが評価され、ブランディング面でのメリットに繋がります。

導入の補助等のサポート

コストの面で未だ高いと思われがちな電気自動車ですが、現在は補助金などの制度もあります。日本では21年4月現在80万円の補助を受けることができ、急速充電などの付属のパーツを購入することによりその分の補助金も払われます。よって現在、価格面ではガソリン車に近づいてきている状況になっているのです。

出典:経済産業省『クリーンエネルギー自動車の導入補助金」について (METI)』(2021年3月26日)

5. まとめ

このように電気自動車は、現在国の補助金制度等もあり台数、充電器数ともに右肩上がりに進んでいます。さらにその技術力は向上し、よりクリーンで便利な車両になっています。

これからも各社の技術力の進化とインフラのより良い整備拡充により私たちの生活の一部となることは間違いありません。私たちも、常に環境問題の現状を知り、電気自動車で何ができるのかを具体的に数字で知ることが大切です。

ぜひ自分たちの会社でも環境貢献の一環として、補助金など国の政策も利用しながら、電気自動車の社内導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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