【製造業向け】CO2排出量の計算はなぜ必要?計算方法を理解しよう。

この記事では,製造業はなぜCO2排出量を計算する必要があるのかその理由やCO2排出量を計算するメリット、基本的なCO2排出量の計算方法などについてご紹介します。理由は簡潔に,CO2排出量の計算が求められる理由は、製造業を含む産業部門から多くのCO2が排出されているためです。

目次

  1. 製造業はなぜCO2排出量を計算するのか。

  2. CO2排出量を計算するメリット

  3. サプライチェーン排出量の計算方法

  4. 製造業の事例

  5. まとめ:CO2排出量の計算方法を理解し、自社のCO2排出量を計算しよう。

1. 製造業はなぜCO2排出量を計算するのか。

製造業に関連する中小企業は、CO2排出量をなぜ計算する必要があるのでしょうか。計算は義務ではありませんが、様々な用途で活用できるためです。ここでは製造業にCO2排出量の計算が求められる理由についてご紹介します。

CO2排出量の計算が求められる理由

CO2排出量の計算が求められる理由は、製造業を含む産業部門から多くのCO2が排出されているためです。2019年度における日本のCO2総排出量(間接排出量)は約11億794万トンで、部門ごとの占める割合は以下の通りです。

  • 産業部門 34.7%

  • 運輸部門 18.6%

  • 業務その他部門 17.4%

  • 家庭部門 14.4%

  • エネルギー転換部門 7.8%

  • 工業プロセス 4.1%

  • 廃棄物 2.8%

  • その他 0.3%

企業は事業活動を通しどれくらいのCO2を排出しているかを把握し、CO2削減に取り組む責任があります。脱炭素化への貢献は義務ではありませんが、取り組みをしなければ企業の価値を高めることはできません。

2019年度 日本の部門別二酸化炭素排出量 間接排出量

出典:JCCCA『4-4日本の部門別二酸化炭素排出量(2019年度)』よりアスエネ作成

国からCO2排出量を求められるケース

日本では2006年に「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」が施行されています。「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づく制度で、定められた基準よりも多くのCO2を排出する事業者などを対象に、温室効果ガスの排出量を計算し、国に報告することを義務付けるものです。

出典:環境省『温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度』

2. CO2排出量を計算するメリット

企業はCO2排出量を計算することで様々なメリットを得ることができます。CO2排出量を製造業が計算するメリットについてご紹介します。

取引先との信頼関係の強化

製造業を含む産業部門は多くのCO2を排出することから、サプライチェーン全体でのCO2削減に取り組む大企業が増えています。CO2排出量を計算しておくと、取引先から求められた時にすぐにデータを提供できます。

企業価値の向上

計算したCO2排出量は、統合報告書や自社のホームページなどで公表します。対外的にCO2排出量を公表することで、環境問題に関心のある企業としての価値を高めることができるのです。

出典:環境省『サプライチェーン排出量算定をはじめる方へ』

CO2削減対象の特定

CO2排出量をデータにすることで、事業活動を通してどれくらいのCO2を排出しているのかを客観的に把握することができます。CO2削減対象を特定し、どのようにCO2削減を進めていくのか計算を策定することがにつながるのです。

出典:環境省『サプライチェーン排出量算定をはじめる方へ』

3. サプライチェーン排出量の計算方法

サプライチェーン全体での脱炭素化に向けた取り組みが加速していることから、サプライチェーン排出量の計算方法についてご紹介します。

サプライチェーン排出量とは?

原材料調達から廃棄に至る一連の流れで排出されるCO2を合計したものがサプライチェーン排出量です。サプライチェーン排出量は、Scope1・2・3を合計することで求めることができます。

  • Scope1

事業者自らによるCO2の直接排出

  • Scope2

 他社から供給された電気や熱、蒸気の使用に伴う間接排出

  • Scope3

Scope1とScope2以外の間接排出

上流・自社・下流

出典:環境省『サプライチェーン排出量算定をはじめる方へ』

サプライチェーン排出量の計算方法

サプライチェーン排出量はScope1・2・3の合計で求めます。それぞれのCO2排出量は、活動量に排出係数を乗じることで求めることができます。活動量は生産量や使用量、焼却量などを表しており、排出係数は活動量当たりのCO2排出量を表しています。

出典:環境省『温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度』

4. 製造業の事例

CO2を計算し、脱炭素化に取り組んでいる製造業の事例をみていきましょう。

北越コーポレーション株式会社

北越コーポレーション株式会社は、新潟県長岡市で創業した製紙会社です。サプライチェーン排出量を計算し、サプライチェーン全体でのCO2排出量の削減に取り組んでいます。計算したCO2排出量は北越グループの統合報告書の中で公表されています。

出典:北越コーポレーション株式会社『北越グループ統合報告書2021』(2018年4月)(p.31)

AGC株式会社

AGC株式会社は、兵庫県尼崎市で創業したガラスメーカーです。社内の環境部門が各部門からデータを収集し、カテゴリごとにCO2排出量を計算しています。算定結果は、各種開示媒体で開示したり、顧客への情報開示などに活用されています。

出典:環境省『AGC株式会社』(2020年度)

株式会社小森コーポレーション

株式会社小森コーポレーションは、印刷機器などを扱う機械メーカーです。決算説明資料の中で、ESG経営への取り組みとしてCO2排出量やCO2排出量の削減状況を公表しています。

出典:株式会社小森コーポレーション『2022年3月期 第2四半期 決算説明資料』(2021/11/5)(p.51)

5. まとめ:CO2排出量の計算方法を理解し、自社のCO2排出量を計算しよう。

製造業に関連する企業がCO2排出量を計算する理由やメリット、基本的な計算方法など法人の皆さまが知っておくべき基本的な知識についてご紹介しました。CO2排出量の計算方法などを理解し、自社が事業活動を通して排出しているCO2を計算してみるのはいかがでしょうか。

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