【2022年度】予算を増額!EV購入で貰える補助金は?

地球温暖化が深刻化し、企業の環境問題への取り組みが注目されています。これによりCO2の排出削減対策としてEV車(電気自動車)の導入を考えている企業も多いと思います。ここでは2022年度のEV車導入に伴って適用される、政府による補助金についてご紹介します。政府のクリーンエネルギー対策とともに企業の今後の取り組む方向性について考えていきましょう。

目次

  1. 各国で進められる電動化の動きとZEV規制

  2. EV車の普及促進!政府のクリーンエネルギー政策とは

  3. 令和3年度補正予算で成立!「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」とは?

  4. 補助金だけじゃない!その他の補助金・減税について

  5. 【まとめ】補助金を利用し、EV車利用で環境問題に取り組もう!

2020年、日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出量を全体としてゼロとするカーボンニュートラルを達成すると宣言しました。その動きの背景には世界的に進む電動化の動きとZEV規制の強化があります。

各国で進められる電動化の動き

各国のCO2排出規制の動向

出典:経済産業省「2030年に向けたトヨタの取組みと課題」(2020/9/14)(p7)

パリ協定で課せられたCO2排出削減を達成するため、各国はCO2排出に対する規制を強化しています。先進国では2010年から規制が強化され、パリ協定が結ばれた2020年までに日米欧中に7か国を加えた国々がCO2の排出規制を実施しました。

その中でもカナダやアメリカのカリフォルニア州は排出ガスを一切出さないZEVの普及をさせるため、ZEV規制を法案化しました。

ZEVとは

ZEV車とはZero Emission Vehicleの略で、走行時に排出ガスを一切出さない電気自動車や燃料電池車のことを指し示す言葉です。電気自動車は電気を動力として走行する自動車、燃料電池車は水素と酸素を反応させ走行に必要な電力を確保する自動車です。

このほか、プラグインハイブリッド車もZEVに含まれます。プラグインハイブリッド車はハイブリッド車に外部充電機能を追加し、より長時間電気だけで走行できるようにしたものです。電気が不足した際は搭載している発電用エンジンを起動して走行距離を伸ばします。

ZEV規制とは

ZEV規制とはアメリカのカリフォルニア州が導入した規制のことです。この規制によりカリフォルニア州内で自動車を販売する際は、電気自動車や燃料電池車といった排気ガスを出さないZEV車を一定比率以上販売しなければならなくなりました。

出典:環境省「車体課税のグリーン化に向けた検討」(p.9)

厳格化されるZEV規制

2018年、カリフォルニア州はZEV規制を厳格化しました。2017年までZEV規制の対象となっていたのは、日産・トヨタ・ホンダ・GM・クライスラー・フォードの6社でしたが、2018年以降はこれに6社が加わり、計12社がZEV規制の対象となりました。

さらに、ハイブリッド車はZEVから除外されてしまいます。プリウスなどのハイブリッド車販売で他社をリードしてきたトヨタも次世代ZEV車の投入を迫られています。

出典:環境省「車体課税のグリーン化に向けた検討」(p.19)

2. EV車の普及促進!政府のクリーンエネルギー政策とは

2021年3月カーボンニュートラルに向けた自動車政策検討会

経済産業省は2021年3月の「カーボンニュートラルに向けた自動車政策検討会」で今後のグリーン成長戦略の実行計画の改定に向け、関係業界からのヒアリングを実施し、取り組みの方向性を発表しています。「2050年の自動車のライフサイクル全体でのカーボンニュートラル化」を目標に、

  • 2030年代半ばまでに乗用車新車販売で電動車100%

  • 今後10年間で電気自動車の導入を強力に進める

を掲げています。欧中が戦略的にEV・PHEVの普及に取り組んでおり、2020年第3四半期のEV・PHEV販売台数がEU全体で約27万台(前年同期比3倍以上)になっている一方、日本は約6千台(前年同期比約5割)にとどまっています。このように、欧州では「持続可能でスマートなモビリティ戦略に基づき、環境負荷低減と都市交通最適化を実現するための大規模実証プロジェクトが進められていることから、日本においてもEV車推進、また車の使い方についても変革が求められているということです。

出典:経済産業省『カーボンニュートラルに向けた自動車政策検討会』

現状と今後の課題

政府はEV車普及についての今後の課題として、7項目をあげています。それぞれ見ていきましょう。

(1)燃料規制の活用

2020年4月、2030年を目標年度として燃料基準を制定しました。新たにEV・PHEVを対象にwell to wheel(車の総合的なエネルギー効率を示す指標)で評価し、2016年度実績比約32.4%改善を要求しています。

出典:経済産業省『カーボンニュートラルに向けた自動車政策検討会』(2021.3.9)

(2)公共調達の推進

2021年2月、グリーン購入法「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」が改訂され、政府の公用車として可能な限り電動車を調達することを推進しています。そのための推進対策と、民間企業でのEV車調達への支援・取り組みについて検討が必要となっています。

出典:経済産業省『カーボンニュートラルに向けた自動車政策検討会』(2021.3.9)

(3)充電・充填インフラ拡充

現在、日本におけるEV・PHEVの公共用充電器は約3万基(水素ステーション162箇所)となっており、EV・PHEVの1台あたりの公共用充電器(基/台)は0.10(中国0.15、アメリカ0.05、ドイツ0.14、イギリス0.10、フランス0.13)となっています。今後の目標達成のためにはどの程度のインフラが必要で、どのように拡充するかの計画が必要となります。

出典:経済産業省『カーボンニュートラルに向けた自動車政策検討会』(2021.3.9)

(4)導入支援や買い替え促進

現在、CEV(clean energy vehicle)への補助金として、BEV(バッテリー式電気自動車)は最大42万円、PHEV(プラグインハイブリッド車)は最大22万円、FCEV(燃料電池車)は最大210万円の補助の他、エコカー減税として初回と2回目の車検時の自動車重量税の免除が行われています。これについても今後の見直しが考えられています。

出典:経済産業省『カーボンニュートラルに向けた自動車政策検討会』(2021.3.9)

(5)軽自動車の電動化

現状、新車販売の40%を占める軽自動車については、日本独自の規格である点、低価格帯である点、航続距離の問題によりEV化が遅れています。今後の目標達成には軽自動車の電動化が必要となりますが、開発・購入・利用についてどのような支援が必要となるのか検討されています。

出典:経済産業省『カーボンニュートラルに向けた自動車政策検討会』(2021.3.9)

(6)商用車の電動化

政府はグリーン成長戦略として、商用車は小型の車について2030年までに20〜30%、2040年までに100%の新車販売を目指すとし、大型車は2020年代に5000台の先行導入、2030年までに2040年の普及目標を設定するとしています。

出典:経済産業省『グリーン成長戦略概要』(2021.6.18)

(7)事業転換・車の使い方の変革

今後EV車の普及に向けては、中小サプライヤー、ディーラーの事業転換が必要となり、この支援策の検討も必要となります。また、EV車の選択・利用の促進、持続可能な移動サービス、物流の効率化・生産性向上といった自動走行・デジタル技術の活用・都市インフラとの連携による使い方の変革への対応も検討されています。

出典:経済産業省『カーボンニュートラルに向けた自動車政策検討会』(2021.3.9)

このような課題のある中、令和3年度の補正予算で成立した「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」とはどのようなものなのでしょうか。詳しく内容をみていきましょう。

3. 令和3年度補正予算で成立!「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」とは?

経済産業省は2021年8月、クリーンエネルギー自動車導入の促進補助金として、前年度の155億円を上回る334.9億円を概算要求しました。

これをうけ、2021年11月に閣議決定した令和3年度補正予算では、「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」として約375億円の予算案額が組み込まれ、12月20日に成立しています。

出典:経済産業省『令和4年度経済産業政策の重点』(2021.8)(p8)

出典:経済産業省『令和3年度補正予算の事業概要(PR資料)』(2021.12)(p21)

補助金の概要

EV・PHEV・FCEV車の導入と、普及に必要なインフラの整備を支援するという目的のもと、経済産業省によって交付されるものです。環境性能に優れ、また災害時の非常電源としても活用できる車両の需要創出し、車両価格を低減させ、インフラの整備を全国各地で進めていきます。

補助の対象要件

  • 補助対象・補助対象者

補助対象はEV・PHEV・FCEVの購入費の一部となり、対象者は車を購入する個人・法人・地方公共団体等です。

令和3年度当初事業を含め、国が実施する他の補助金との重複申請はできません。(地方公共団体の補助金制度は申請できます)また、リース契約も申請対象となりますが、補助金はリース会社に交付され、補助金相当額が、車両のリース料金を支払う使用者の、月々のリース料金に還元されることが条件となります。

  • 具体的な補助対象車両

具体的な対象車両についてもまとめられていますので参照下さい。現在の暫定金額となり、今後の車両の性能変更などにより変更の可能性もあります。

また、対象車両は新車発表に応じて外部審査会の審査を経て追加されることになります。

出典:経済産業省『令和3年度補正予算における補助対象車両・設備の補助見込み額(暫定)』(2022.3.4)

補助上限額

補助金の上限額は以下のようになっています。

車両

上限額

電気自動車(軽自動車を除く)

65万円

軽電気自動車

45万円

プラグインハイブリッド車

45万円

燃料電池車両

230万円

超小型モビリティ

定額25万円(個人)定額35万円(サービスユース)

また、車載コンセント(1500W/AC100V)から電力を取り出せる給電機能がある車両、外部給電器やV2H充放電設備を経由して電力を取り出すことができる車両については以下の上限額となります。

車両

上限額

電気自動車(軽自動車を除く)

85万円

軽電気自動車

55万円

プラグインハイブリッド車

55万円

燃料電池車両

255万円

超小型モビリティ

定額35万円(個人)定額45万円(サービスユース)

充電インフラへの導入補助も

合わせて法人、地方公共団体向けに充電用のインフラ設備導入の補助金も交付されます。

  • 補助対象

電気自動車・プラグインハイブリッド車に充電するための設備の購入・工事費の一部が対象で、個人宅を除く複数人が使用可能なものとなります。

  • 補助対象期間

充電設備の設置事業計画を申請し、審査を経て補助対象額が交付決定された後に機器の購入や工事に着手できます。工事完了後に実績報告を行い、確定となるため、交付前に事前着手は認められていませんのでご注意下さい。

  • 補助率・上限額

経路充電・目的地充電・基礎充電などの充電の種別によって補助率が異なり、設置場所、充電器の出力などで上限額が異なります。以下は目安となっています。

充電の種別

設備費補助率

工事費補助率

経路充電

定額

定額

目的地充電

1/2

定額

基礎充電

1/2

定額

4. 国からの補助金だけじゃない!その他の補助金・減税について

自治体からの補助金

国からの補助金の他、都道府県や市町村といった地方自治体もEV車の普及に向けて取り組みを行っており、補助金を交付しているところも多くあります。例として東京都の場合、電気自動車等の普及促進事業として助成金を交付しています。

車両

個人

法人・個人事業主

電気自動車

30万円

25万円

プラグインハイブリッド車

30万円

20万円

出典:東京都地球温暖化防止活動推進センター『電気自動車等の普及促進事業』

補助金・助成金の有無、期間、対象の車種については自治体によって条件が違いますので、各自治体のホームページで確認してみて下さい。

エコカー減税などの減免措置

また、補助金の他にも減免措置も行われています。エコカーとして指定されている車種の減税についてもまとめておきます。

税の種類

内容

自動車税

新車登録翌年度に約75%の減税

自動車重量税

新車登録時及び3年目車検時に100%免税

環境性能割

非課税

出典:国土交通省『自動車関係税制について(エコカー減税、グリーン化特例等)』

5. 【まとめ】補助金を利用し、EV車利用で環境問題に取り組もう!

現在は環境問題に取り組む企業も増え、地球温暖化の原因となるCO2の排出削減への対策としてEV車の導入は考える必要があるでしょう。政府の方針も踏まえ、商用車のEV化へ取り組んでみてはいかがでしょうか?

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