オフサイトPPA はオンサイトPPA とどう違う?オフサイトPPAの事例を紹介

オフサイトPPAにはどのような事例があるのでしょうか。日本ではこれまで需要家の敷地内に太陽光発電などの設備を設置するオンサイトPPAが主流でした。RE100への活用など、より多くの再生可能由来のエネルギーが求められるようになり注目を集めているのがオフサイトPPAです。

この記事では、オフサイトPPAに関心がある法人の皆さまが知っておくべき、オフサイトPPAに関する基本的な知識と事例についてご紹介します。

目次

  1. オフサイトPPAとは?オンサイトPPAとの違い

  2. オフサイトPPAを契約するメリットとデメリット

  3. 国内におけるオフサイトPPA事例

  4. まとめ:オフサイトPPAに関する理解を深め、導入を検討しよう。

1. オフサイトPPAとは?オンサイトPPAとの違い

オフサイトPPAとオンサイトPPAは、どちらもコーポレートPPA(電力販売契約)です。ここではオフサイトPPAとオンサイトPPAの特徴を、違いを含めてご紹介します。

コーポレートPPAについて

コーポレートPPAとは、需要家(企業、家庭、公共施設等)とPPA事業者(発電事業者、小売電気事業者)が結ぶ長期の電力販売契約のことです。需要家はコーポレートPPAを契約することで、太陽光発電設備などで発電した電力を、契約期間の間固定価格で購入することができます。

出典: 自然エネルギー財団『コーポレートPPA:日本の最新動向(2022年度版) (renewable-ei.org)』

オンサイトPPAとは?

オンサイトPPAとは、需要家(企業、家庭、公共施設等)の敷地内に設置された太陽光発電設備などで発電した電気を、需要家が自家消費する仕組みのことです。太陽光発電設備の設置にかかる費用の負担や所有、管理は基本的に発電事業者(PPA業者)が行います。

 オンサイトPPAモデルとは

出典:環境省『初期投資での自家消費型太陽光発電設備の』(p.1)

オフサイトPPAとは?

オンサイトPPAとオフサイトPPAの違いは、発電設備の設置場所にあります。オフサイトPPAを契約すると、需要家の敷地外に設置された発電設備で発電した電気が、送配電ネットワークを通じて需要家に供給されます。オフサイトPPAのイメージ図

出典:環境省『オフサイトコーポレートPPAについて』(2021年12月)(p.3)

フィジカルPPAとバーチャルPPA

オフサイトPPAには、フィジカルPPAとバーチャルPPAとがあります。フィジカルPPAでは、需要家はPPA事業者と電力と環境価値の両方を直接売買します。一方

バーチャルPPAは環境価値のみが直接売買され、需要家は電力に関してはPPA事業者が市場に卸売りした電力を小売電気事業者と契約を結び購入することになります。

出典:資源エネルギー庁『再エネ価値取引市場について』(2022/11/30)(p.8)

2. オフサイトPPAを契約するメリットとデメリット

オフサイトPPAを契約することで、需要家となる企業にはどのようなメリットとデメリットが生まれるのでしょうか。ここではオフサイトPPAを契約するメリットとデメリットについてご紹介します。

(1)企業側のメリット

発電事業者とオフサイトPPAを契約することで、企業は以下のようなメリットを得ることができます。

  • 電力の購入価格変動によるリスク回避

オフサイトPPAでは中長期的に契約が固定されるため、電力の購入価格変動によるリスクを回避できます。

  • RE100への活用

オフサイトPPAならではのメリットがRE100への活用です。RE100とは、事業活動を通して排出されるCO2を削除することを目的とした国際的なイニシアチブであり、事業活動で利用する電力を100%再生可能エネルギー由来に切り替えることを求めるものです。

設備規模に制限があるオンサイトPPAでは、RE100の要件を満たせるだけの電力量をまかなうことが難しいという問題があります。しかしオフサイトPPAは、オンサイトPPAと異なり設備規模に制限がないため、必要な電力をまかなうことが可能になります。

(2)企業側のデメリット

  • 機会損失等の発生リスク

中長期的に発電事業者と契約を固定することで、電力の市場価格が下落した時に調達費用削減の機会損失が発生するリスクがあります。

  • 契約解除が自由にできない

オフサイトPPAは、中長期にわたり発電事業者と契約を結ぶため、自由に契約を解除することができないというデメリットがあります。

出典:環境省『オフサイトコーポレートPPAについて』(2021年12月)(p.4)

出典:環境省『環境省RE100の取組』(2019/2/15)

(1)発電事業者側のメリット

需要家と中長期的に契約を結ぶことで再生可能エネルギー発電事業のキャッシュフローが固定され、金融機関からファイナンスを受けやすいとのメリットがあります。また電力の市場価格が下落した時に、価格変動によるリスクを回避することができます。

(2)発電事業者側のデメリット

発電事業者側のデメリットは、電力の市場価格が上昇した時に売電収入の機会を損失することです。

出典:環境省『オフサイトコーポレートPPAについて』(2021年12月)(p.4)

3. 国内におけるオフサイトPPA事例

オフサイトPPAにはどのような事例があるのでしょうか。国内においてすでにオフサイトPPAを契約し、再生可能エネルギーを事業活動で活用している企業があります。ここでは、国内におけるオフサイトPPA事例についてご紹介します。

セブン&アイ・ホールディングス

セブン&アイ・ホールディングスは、20年間の長期にわたる固定契約をNTTと契約しています。2021年6月にはオフサイトPPAの現場となる『千葉若葉太陽光発電所』の完成披露会を開催しており国内初のPPA事例となりました。オフサイトPPAにより供給された再生可能エネルギー由来の電力は、セブンイレブンの40店舗で活用されます。

出典:セブン&アイ・ホールディングス『国内初の「オフサイトPPA」太陽光発電所完成披露会を実施!』(2021/7/2)

第一生命保険株式会社

第一生命保険は、2023年度までにRE100を達成することを目標に掲げ、株式会社クリーンエナジーコネクトと20年間にわたるオフサイトコーポレートPPAを契約しています。この取り組みは、環境省が実施する2021年度の『オフサイトコーポレートPPAによる太陽光発電供給モデル創出事業』に認定されています。

出典:第一生命保険株式会社『金融機関初となる環境省モデル事業に認定されたオフサイトコーポレートPPAの開始』(2021/9/24)

株式会社東海理化電機製作所

株式会社東海理化は中部電力ミライズ株式会社とオフサイトPPAを契約し、2022年12月からの開始予定となっています。東海理化は長野県の水力発電により発電した信州Green でんきも調達し、CO2排出量削減に積極的に取り組んでいます。

出典:株式会社東海理化『東海理化と中部電力ミライズ オフサイト PPA サービス実施に向けた協定を締結』(2021/11/17)

4. まとめ:オフサイトPPAに関する理解を深め、導入を検討しよう。

この記事では、オフサイトPPAについて法人の皆さまが知っておくべき基本的な知識についてご紹介しました。オンサイトPPAではまかなうことが難しいRE100に必要な電力も、オフサイトPPAでは可能になります。オフサイトPPAに関する理解を深め、導入の検討につなげていただければと思います。

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