SDGs12番に向けた「リサイクル」への取り組み方。企業事例も紹介!

SDGsの12番に向けた企業のリサイクルへの取り組みには何があるのでしょうか?エコバッグの使用や自治体におけるリサイクル活動などにより、家庭ごみの量は緩やかながら減少傾向にあります。

一方で、事業活動を通して廃棄される事業系ごみの量の削減は進んでいません。SDGsの12番を達成するためには、企業のリサイクルへの取り組みが欠かせません。この記事では、企業はどのようにリサイクル活動に取り組むことができるのか、一般的な例や企業の事例をご紹介します。

目次

  1. SDGs12番「つくる責任 つかう責任」の内容とターゲット

  2. なぜリサイクルはSDGsの重要課題とされるのか?

  3. 【SDGs】企業のリサイクル取り組み事例

  4. まとめ:企業にとってリサイクルへの取り組みは欠かせない

1. SDGs12番「つくる責任 つかう責任」の内容とターゲット

リサイクルは、SDGsにおいてどのように位置づけられているのでしょうか。ここでは、そもそもSDGsとは何か、そしてリサイクルと関連するSDGs12番の内容についてご紹介します。

そもそもSDGsとは?

SDGsはSustainable Development Goalsの略称で、「持続可能な開発目標」と訳されています。2015年9月に国連サミットにおいて加盟国の全会一致で採択された世界が共通に掲げる目標です。「誰一人取り残さないこと」をテーマに、2030年までに世界が達成すべき17の目標と169のターゲットが示されています。

SDGs17の目標

出典:環境省『持続可能な開発のための2030アジェンダ/SDGs』

SDGs12番とは?

2030年までに達成すべき世界が共通に掲げる17の目標のうち、リサイクルが関連するのはSDGs12番の「つくる責任 つかう責任」です。SDGs12番の目標は、さらに細かく11のターゲットから構成されていますが、リサイクルはターゲット5に関連しています。

  • SDGs12番ターゲット5

"2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。"

SDGs12番 11のターゲット

出典:外務省『12: つくる責任つかう責任』よりアスエネ作成

2. なぜリサイクルはSDGsの重要課題とされるのか?

リサイクルがSDGsにおいて取り組むべき重要課題とされている背景や、日本におけるリサイクルの現状についてご紹介します。

企業のリサイクルへの取り組みが重要視される背景

2010年〜2019年において廃棄物の総量と家庭から排出される生活系ごみの量は、緩やかながら減少傾向にあります。しかしながら、事業系ごみの量はほぼ横ばいで推移しています。企業がリサイクルに取り組むことで、事業系ごみの量を削減することが期待されています。

生活系ごみと事業系ごみの排出量の推移

出典:環境省『日本の廃棄物処理 令和元年度版』(2021年3月)(p.2)

日本における廃棄物処理問題とリサイクルの現状

環境省が2021年3月に公表した報告書によると、2019年度における最終処分場の残余年数は21.4です。これは、2040年には最終処分場に空きがなくなり、廃棄物を処理することができなくなることを意味しています。

ごみ削減に効果があるリサイクル率は、以下のように推移しています。(※2011年度からは災害廃棄物のリサイクルも含まれています。)

2010年度 20.8%

2011年度 25.6%

2012年度 33.8%

2013年度 37.2%

2014年度 22.3%

2015年度 22.2%

2016年度 23.7%

2017年度 23.4%

2018年度 20.4%

2019年度 20.4%

出典:環境省『日本の廃棄物処理 令和元年度版』(2021年3月)(p.7.27)

3. 【SDGs】企業のリサイクル取り組み事例

企業が取り組むリサイクルの一般的な例として、クローズドリサイクルやオープンリサイクル、廃プラスチックの再利用などがあります。ここではそれぞれの内容や企業の取り組み事例についてご紹介します。

クローズドリサイクル・オープンリサイクル(事例:株式会社リコー)

企業はSDGs活動の一貫として、クローズドリサイクルやオープンリサイクルに取り組むことができます。

クローズドリサイクルとは、使用済みの自社製品から回収した素材を用いて、新たに製品を作り出すことです。たとえばリコー株式会社は使用済み複写機のプラスチック部品から新たな複写機の部品を再生しています。

オープンリサイクルとは、使用済みの他社製品から回収した素材を用いて新しい部品を再生したり、または自社製品から回収された素材から他社が新しい部品を再生することを指しています。リコーは使用済みの複写機のプラスチック部品を混合回収し、原材料として他社に販売したり、他製品を製造する時に再利用しています。

クローズドリサイクル及びオープンリサイクルのイメージ

出典:経済産業省『Ⅳ.調査結果 - 1. 循環資源の越境移動の現況に関する調査』(p.8)

廃プラスチックの再利用(事例:ライオン株式会社)

プラスチックごみは国内外で大きな問題になっています。1950年以降生産されたプラスチックのうち約63億トンがごみとして廃棄されていますが、そのうち79%が埋め立てまたは海洋などへ投棄されています。企業がプラスチックごみの削減に取り組むことは、SDGs14番の目標「海の豊かさを守ろう」への取り組みにもなります。企業が取り組める一般的な例として、廃プラスチックの再利用があります。

たとえばライオン株式会社はイトーヨーカドー曳舟店において、使用済みの詰め替えパックを回収しペレット化し、おもちゃのブロックなどに再生しています。今後この活動を広げていく方針を示しています。

出典:環境省『プラスチックを取り巻く国内外の状況〈第3回資料集〉』(p.2.7)

出典:LION『環境とともに資源循環』

サステナブルファッション(事例:日本環境設計株式会社のブランド「BRING」)

ファッション産業は、環境負荷が非常に大きい産業とされ、廃棄される衣類の量が課題とされています。そのような状況下においてリサイクルにより製造されたサステナブルファッションへの関心が高まっています。

日本環境設計株式会社が運営するサステナブルブランドであるBRINGは「服から服をつくる」をコンセプトに事業活動にリサイクルを組み込んでいます。

出典:BRING『服から服をつくる』(2022/1/17)

4. まとめ:企業にとってリサイクルへの取り組みは欠かせない

この記事ではSDGs活動の一貫として企業が取り組むことができるリサイクルの一般的な例や企業の事例などをご紹介しました。環境問題への関心が高まる中、企業にとってリサイクルへの取り組みは欠かせないものとなっています。企業のリサイクル活動への取り組みを参考に、企業でどのようなリサイクル活動ができるのか検討につなげていただければと思います。

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