再生可能エネルギー発電促進賦課金は上がり続けるのか?企業負担の推移

電力の料金表を見たとき「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」という文字を見たことはありませんか? 家庭の電気代ならまだしも、企業の電力代を管理する立場ともなると、なかなか無視できない数字になっているのではないでしょうか。今回は再エネ賦課金の仕組みや推移、そして気になる企業への負担額の推移など、なかなか見えにくい賦課金の影響を企業視点で解説していきます。

目次

  1. 再生可能エネルギー発電促進賦課金とは?

  2. 負担が積みあがる、再生可能エネルギー発電促進賦課金

  3. 再生可能エネルギー発電促進賦課金の過去推移と今後の予測

  4. 年額25万円にも!?高まり続ける賦課金と企業への負担

再生可能エネルギー発電促進賦課金とは?

そもそも、再生可能エネルギー発電促進賦課金(以下再エネ賦課金)とはいったい何なのでしょうか。再エネ賦課金とは、「全ての電気使用者」が、「電気使用量に応じて支払う」、「再生可能エネルギー普及のためのお金」です。

再エネ普及に使われる、電力特有の消費税だと考えればわかりやすいでしょうか。再エネ賦課金の説明には、FIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)の説明が不可避ですので、要点を押さえて説明します。

  • FIT制度とはその名の通り、発電された再エネを固定価格で買い取ることを約束する制度

  • 期間は発電量によるが大体家庭で10年、企業で20年

  • 固定価格は毎年設定されるが、通常の電力調達費より割増価格

  • 採算が合いやすいことから2012年8月施行以降急激に再エネ事業を始める企業が増加

詳細:【法人向け解説】再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)とは?

そしてこの固定価格の財源が、国民全員が負担している電気代・電力代のなかの「再エネ賦課金」ということです。この金額は全国一律で1年ごとに更新され、経済産業大臣が毎年5月に決定します。

出典:経済産業省 資源エネルギー庁『なっとく!再生可能エネルギー』

負担が積みあがる、再生可能エネルギー発電促進賦課金

もともとFIT制度は、日本の電力自給率の低さという課題に、東日本大震災による原子力発電所の稼働低下が追い打ちとなり、再エネ普及の必要性が高まったことから始まった政策でした。

結果、政策は功を奏して再エネ、特に太陽光発電導入量は大きく増えました

環境エネルギー政策研究所 ISEP Energy Chart「累積設備導入量」全国エリア 2018年2月14日データを元にアスエネが作成

しかし、この制度は失敗だったと言う声もあります。なぜなら制度の都合上、下記のような課題が出てしまうためです。

  • 再エネ事業者が増えれば増えるほど、その負担額が賦課金として全国民にのしかかる

  • 発電量の多い企業から、20年契約で買い取り続けるため、賦課金は積み上げ式で毎年上がっていく

再生可能エネルギー発電促進賦課金の過去推移と今後の予測

毎年増えているという再エネ賦課金。FIT制度が2012年施行で、直後から再エネ参入企業が増えていることから、2030年ごろまで増加を続けると言われています。では実際に、今までどのように増えてきて、今後どうなっていくのでしょうか。

東京電力ホールディングス『再生可能エネルギー発電促進賦課金単価
電気新聞『FIT総額、2030年に4.5兆円へ。電中研が推計』を元にアスエネが作成

グラフは制度開始日からの再生可能エネルギー発電促進賦課金の推移と、それにより受ける中小企業の毎月の負担額です。

2012年8月当初は1キロワット時あたり0.22円だった再エネ賦課金ですが、直近2021年5月は3.36円まで増額されています。2017年の法改正で国民負担の抑制を掲げましたが、それでも2030年ごろまでは増え続けると言われています。

再エネ賦課金は全電力使用者に課されるため、一般家庭であれば月額900円前後の出費ですが、電力使用量の多い企業にとっては月額約1.5万円、年間で約18万円の負担額となってしまいます。

年額25万円にも!?高まり続ける賦課金と企業への負担

さらに、先述の通り2030年ごろまでは再エネ賦課金は上昇すると言われています。電力中央研究所の発表によると「30年度の賦課金単価は1キロワット時当たり3.5~4.1円」(電気新聞2020年5月21日)になると予測されています。

こちらは20年度までのデータを参照にしており、21年度は前年比+13%と増加率が大きくなったため、30年度の予想額はさらに大きくなる可能性もあります。

しかし、もし予測通りであっても、中央値の3.8円換算で月額1.9万円、年間で約23万円近くになり、上振れすれば25万円近くにもなります。これは中小企業を想定した計算のため、電力を多く使う製造業や、大手企業にとってはさらに悩ましい出費になってくるでしょう。

増え続ける再エネ賦課金に対して、我々はどうしたらよいのでしょうか。近年では、環境に関心の高い企業を中心に、収益が賦課金低減に利用される非化石証書付きのエネルギーを購入することで、全国民の負担削減に貢献しているところもあります※。電力会社によっては、賦課金込みでも一般の電力会社より電気代が安くなる再エネを取り扱っている企業もあります。是非確認してみましょう。

それ以外では、賦課金は仕方ないものと受け入れて安い電力会社への切り替えを検討するか、節電に励むしかありません。とっくにやっている、という企業様も多いでしょうが、これを機会に、再度見直してみてはいかがでしょうか。

※「非化石証書」とは、作られた電気が化石燃料を使用していない電気であることを示すもので、非化石証書を購入した小売電力会社は、「再生可能エネルギーの販売」「CO2フリーの電気の販売」を謳うことができます。証書の取引で生まれた売上が再エネ賦課金の原資になるため、結果的に国民の負担軽減につながることになります。

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