21年11月開催「COP26」とは?世界で脱炭素の取り組みが加速!

COP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)とは?2021年11月13日までイギリスのグラスゴーでCOP26が開催され、開催中開催地にデモ隊が集まるなど世界では様々な反応が起きました。

この記事では、世界のカーボンニュートラルに向けた取り組みの枠組であるCOP26について関心のある法人の皆さまが知っておくべき基本的な知識についてご紹介します。

目次

  1. COP(気候変動枠組条約締約国会議)とは?

  2. COP26における議論内容

  3. COP26において各国が提案した具体策

  4. COP26に対する世界の反応

  5. まとめ:COP26への理解を深め、世界の脱炭素の取り組みを把握しよう!

1. COP(気候変動枠組条約締約国会議)とは?

気候変動枠組条約締約国会議との正式名称を持つCOPとは、どのようなことを目的として集まる会議なのでしょうか。ここではCOPとはどのようなものであるのか概要と、これまでの歴史をご紹介します。

COPとは?

COPとは1992年に採択された国連気候変動枠組条約に基づき、1年ごとに開催されている国際的な枠組です。国連気候変動枠組条約は、大気中の温室効果ガス濃度の安定化を究極の目的としており、197ヶ国・地域の全国連加盟国が参加しています。

COPは新型コロナウイルスの影響により2020年度は開催されませんでしたが、1995年から毎年開催されています。議決は全会一致が原則とされているため、議論がまとまらずにしばしば議論が紛糾しています。

出典:環境省『国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)・京都議定書締約国会合(CMP)・パリ協定締約国会合(CMA)』

出典:経済産業省『国連気候変動枠組条約(UNFCCC)とパリ協定の関係について』(p.0)

COPの歴史

COPは2021年で26回目の開催を迎えました。1997年開催のCOP3では、京都議定書が採択され、先進国に対して温暖化ガス削減義務が課されました。2015年開催のCOP21では、パリ協定が採択され、先進国だけでなく途上国にも温暖化ガス削減努力が求められるようになりました。つまり、COPの歴史は、世界の温暖化対策への取り組みの歩みだと言えます。前回のCOP25に関してはこちらの記事をご参考ください。▷COP25が世界に与えた影響とは?|パリ協定積み残しルールを議論

出典:日本経済新聞『COPとは 温暖化対策の国際会議』(2021/5/14)

2. COP26における議論内容

26回目となるCOP26が、イギリスのグラスゴーで2021年10月31日から2021年11月12日まで開催されました。ここでは、COP26の主な議論内容についてご紹介します。

開発途上国への資金援助

2009年開催のCOP15において、開発途上国が温暖化対策に取り組むために必要となる資金援助に関して、以下の取り決めが合意に至りました。

  • 短期資金として先進国は共同で2010年から2012年までに300億ドルの公的資金を拠出すること。

  • 長期資金として2020年までに1000億ドルの資金を動員すること。

しかし、現在資金援助の目標が達成されていないことを受け、COP26では開発途上国への資金援助が再議論されます。

出典:環境省『COP15(於コペンハーゲン)における主な成果と概要』(2020/12/22)(p.2)

石炭火力発電所の新規建設廃止

2050年までのカーボンニュートラルを実現させるために、COP26では石炭火力発電所の新規建設の廃止と、建設に対する他国への資金援助の取り止めが議論されます。

出典:NHK NEWS WEB『COP26「脱石炭」の声明に40か国余が賛同 日米中は含まれず』(2021/11/5)

二国間クレジット制度のルール作り

二国間クレジットとは、優れた低炭素技術を持つ国が、技術やインフラなどを途上国に提供することで脱炭素を加速させ、その効果を二国間で分け合う制度です。

2015年開催のCOP21で採択されたパリ協定では二国間クレジット制度が条文に盛り込まれましたが、具体的なルールは合意に至りませんでした。COP26では二国間クレジット制度のルール作りが議論されます。

出典:資源エネルギー庁『「二国間クレジット制度」は日本にも途上国にも地球にもうれしい温暖化対策』(2018/1/9)

3. COP26において各国が提案した具体策

世界各国がCOP26において示した脱炭素への取り組みの具体策についてご紹介します。

日本が示した具体策

日本は2015年に、官民合わせて年間約1.3兆円の途上国における気候変動対策事業を実施する計画を発表していました。パリ協定で合意した開発途上国への資金援助目標に達していないことから、COP26では資金援助を求める声が多くあがりました。日本は開発途上国が温暖化対策に必要とする支援として最大100億ドルの追加支援を行う表明を行いました。

出典:外務省『気候変動に関する最近の動向』(2021/3)(p.5)

出典:朝日新聞『岸田首相、途上国へ最大100億ドル追加支援表明 COP26で演説』(2021/11/2)

アメリカが示した具体策

アメリカは主要温室効果ガス排出国に野心的な排出量削減目標の設定を促すために、オンラインの気候サミットを開催しました。脱炭素の取り組みに積極的な姿勢を示しており、石油ガス鉱区のメタン汚染の規制強化や自動車の燃費・排ガス基準の厳格化への取り組みを関係省庁に指示しました。イノベーションやグリーンエネルギー分野などに4年間で2兆ドルの投資を実施する計画も示しています。

出典:外務省『気候変動に関する最近の動向』(2021/3)(p.7)

EUが示した具体策

2019年にグリーン・ディールを発表したEUは、コロナ復興予算となる1.8兆ユーロのうち30%以上を気候変動に充て、気候変動対策と経済復興を同時に推進する方針を固めています。温室効果ガス排出量削減目標の引き上げと2050年までのカーボンニュートラル実現を法制化する具体策を示しています。

出典:外務省『気候変動に関する最近の動向』(2021/3)(p.8)

4. COP26に対する世界の反応

石炭への依存が高い日本は、石炭発電所の新規建設廃止に同意しませんでした。日本は第6次エネルギー基本計画の素案で取りまとめた通り、2030年度の石炭割合を19%のまま目標とする方針です。日本の他にはアメリカと中国も同意していません。脱石炭に消極的な国に対して世界では大規模のデモ集会が開催されるなど大きな影響が出ています。ここでは、COP26に対する世界の反応についてご紹介します。

出典:日本経済新聞『石炭火力廃止、同意見送りの日本 脱炭素へ打開策見えず』(2021/11/6)

出典:NHK NEWS WEB『COP26「脱石炭」の声明に40か国余が賛同 日米中は含まれず』(2021/11/5)

NGOによる日本への抗議

COP26の議長国であるイギリスの要請を受け、日本は石炭火力発電所への公的な輸出支援を打ち切る方針を固めました。しかしながらイギリスは国内も含めた廃止を求めているため、今後も石炭火力発電を使い続ける意向を示している日本に対する風当たりが世界で強くなっています。COP26の会場の外では、NGO団体がピカチュウの着ぐるみを着て脱石炭に後ろ向きな日本に対する抗議デモが起きる事態になっています。

出典:朝日新聞『脱石炭火力の動き加速 COP26で廃止の声明も 日本は不参加』(2021/11/4)

COP26そのものに対するデモ

COP26はただのPRイベントに成り下がったとし、温暖化強化を求めグラスゴーで大規模なデモが起きました。この大規模デモは、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんを中心に、若者達が主体となり開催されました。

出典:朝日新聞『「気候正義」訴え2日連続のデモ COP26開催の英グラスゴー』(2021/11/6)

5. まとめ:COP26への理解を深め、世界の脱炭素の取り組みを把握しよう!

現在開催されているCOP26に関する基本的な知識についてご紹介しました。COPは世界のカーボンニュートラル実現に向けた共通の枠組です。COP26への理解を深め、世界の最新の脱炭素への取り組み状況を把握しましょう。

COP26の大きな争点となる脱石炭に関しては、CO2排出量が多い中国や日本、アメリカの合意を得られない結果となりました。一方世界では脱石炭への取り組みに消極的な国に対して、批判の声が強くなっています。また、海外の若者だけでなく日本の若者もデモを行うなど、環境問題への関心の高まりを感じます。今後日本は脱石炭に向けどのように取り組むのか、これからの対応に注目です。

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