環境にやさしい発電方法とは?これからの社会はどう変わる?

雪の上にある風力発電と太陽光発電

2011年の東日本大震災と、関連して発生した福島第一原子力発電所の事故によって、日本では急激に「クリーンエネルギー」「環境にやさしい発電」が注目されるようになりました。そして2020年になり、「メルセデス」で有名なドイツの自動車メーカー・ダイムラーがガソリン駆動車を2030年までに全廃する「ゼロカーボン」を掲げるなど、さまざまな業界において環境への配慮を優先する傾向が高まってきました。

これからの時代は、環境への配慮、環境にやさしい取り組みが優先される事態が到来しているといっても過言ではありません。そこで今回は、環境にやさしい発電方法について、クローズアップして解説します。

目次

  1. 環境にやさしい発電方法が注目される理由とは?

  2. 環境にやさしい発電方法とは?その具体例を紹介!

  3. 環境にやさしい発電方法のメリットとデメリット

  4. まとめ:事業コストの削減だけでなく、環境への取り組みをアピールすることもぜひ検討しよう

1. 環境にやさしい発電方法が注目される理由とは?

環境にやさしい発電方法が注目される、その理由はさまざまなものがあります。特に資源の少ない日本においては、さまざまな視野で環境にやさしい発電方法が注目されています。

(1)地球温暖化の進行を防ぐため

まず、地球全体で進む温暖化の進行を防ぐ取り組みが急務になっている現状があります。地球温暖化による異常気象などの気候変動問題がその一例です。地球温暖化によって引き起こされる問題は我々の身近なところにまで迫ってきており、積極的に対策をとっていく必要があります。

気候変動問題に対する世界的な取り組みとして、COP(国連気候変動枠組条約締約国会議)があります。

また、2021年にパリで開催された第21回会議では、世界の平均気温上昇を1.5℃に抑える努力を追求することを目的として、世界約200か国が合意して「パリ協定」が成立しました。

仮に、このまま具体的な対策を施さずに産業活動を続けると、2050年には平均温度が2℃上昇し、日本も「熱帯」化することが危惧されています。

世界平均地上気温の変化

出典:環境省「平成30年版環境・循環型社会・生物多様性白書」

(2)原子力発電の危険性が案じられているから

2011年の福島第一原子力発電所の事故は、多くの地域住民が避難を余儀なくされ、農作物や海産物などに風評被害をもたらすなど、その影響は多岐に及びました。

その結果、稼働から40年を超える原子力発電所の原子炉については、国による厳重な検査と、耐震基準等様々な項目クリアするだけの再整備が求められ、2021年8月末時点で原子炉10基が再稼働しています。

しかし、地震大国といわれる日本において、再び「フクシマの悲劇」が起こるリスクは付きまとっています。よってできるだけ環境への被害が少ない他の発電方法が求められているのです。

出典:日本経済新聞「想定する原発フル稼働、実現性低く 小型炉の研究も」(2021年7月)

(3)限りのある資源に依存しない発電方法が求められているから

日本において、最も多く稼働しているのは「火力発電」です。

日本の経済活動で必要な石油は、その大半を海外からの輸入に依存していて、その中でも88.7%(2018年実績)は中東地域からの輸入が占めています。

そのため、海外からの石油供給ができなくなった場合、経済活動への影響は大変大きくなります。

また、石油産出国による政治的な生産調整や価格調整は、日本経済へ幾度となく影響を与えてきた過去もあることから、限りのある自然に依存するリスクの解消が求められています。

1973年,2010年,2018年の化石燃料依存度の円グラフ 

出典:資源エネルギー庁「2020—日本が抱えているエネルギー問題(前編)」(2020年7月)

2. 環境にやさしい発電方法とは?その具体例を紹介!

それでは、ここからは環境にやさしい発電方法のうち、日本国内で実際に稼働している発電方法について、詳しく解説します。

主な再生可能エネルギーの種類と特徴

出典:日本経済新聞「再生可能エネルギーとは 太陽光など安定供給課題」(2021年8月)

太陽光発電

日本国内における太陽光発電は、2021年6月に成立した「再生エネルギー法」により、電力会社が太陽光発電などのエネルギーを一定の単価で買い取ることが義務付けられました。その結果、一般家庭での導入や、大規模な太陽光発電施設「メガソーラー」の建設が相次ぎました。

日本国内における発電量中の太陽光発電が占める割合も、2017年には5.8%でしたが、2018年には6.7%、さらに2020年には8.9%までに達しており、その割合も水力発電を超えるレベルにまで成長しています。

風力発電

風力発電は、主に北海道や本州や四国の海岸部に設置した風車による発電と、海洋上に設置した風車による発電の2種類の手法があります。

日本国内の発電量も、割合に換算すると全体の0.9%を占めるまでに成長しており、これからも成長が見込まれる方法です。

風力発電は、季節を問わず安定した風力が確保できる地域での導入が必須であり、最近では陸上部ではなく会場にフロートを設置し、安定して風力が見込める海上部での導入が加速しています。     

水力発電

水資源に恵まれた日本では、昔から水力発電は貴重なエネルギー源となっています。

一般的な水力発電では、大きなダムばかりがイメージされますが、ここ数年は小河川や水路など中小水力発電の建設も増加しています。

中小水力発電では、農業用水や上下水道を利用できることから、ダムを造る場所が限られる今までの水力発電に比べて、開発できる場所が多く残されていることは大きなメリットです。

地熱発電

日本は、世界的に見ても火山数の多い国であり、マグマから発せられる地熱を活用した「地熱発電所」が多く存在しています。

地熱発電所は、特に活火山の多い東北と九州に集中していて、全国の地熱発電所の発電量総計は2,472GWh(2020年度)にまで高められており、日本国内の電力需要の約0.2%を賄うまでになっています。

国内最大の地熱発電所は大分県の八丁原発電所(11万kW)で、これは約3万6千世帯分の年間消費電力を賄えるほどの発電量を有しています。

バイオマス発電

日本国内の発電に閉める割合が3.4%(2020年度)にまで成長しているバイオマス発電は、今までであればただ捨てるだけであった廃棄物を、発電資源として再活用する発電方法です。

バイオマスとは、動植物などから生まれた生物資源の総称で、日本国内では加工木材の端材や稲わら、サトウキビの搾りかすなどを、直接燃焼させたり、発酵させ可燃ガス化して使用しています。

また将来的には、家庭から出る生ごみや家畜の糞、使用済みのてんぷら油なども活用可能なことから、最も環境にやさしい発電方法として注目されています。

出典:資源エネルギー庁「再生可能エネルギーとは」

3. 環境にやさしい発電方法のメリットとデメリット

今まで紹介してきた環境にやさしい発電方法は、それぞれにメリットとデメリットがあります。

その代表的なものを、詳しく解説します。

メリット(1)二酸化炭素の排出量を抑制できる

石油や石炭など、燃料することで二酸化炭素の排出が避けられない発電方法に比べ、太陽光発電や風力発電などはそもそも二酸化炭素が発生しない発電方法です。

バイオマス発電についても、発酵して生成されるガスは、化石燃料と違い二酸化炭素の排出量が大幅に減少することから、環境への負担が少なくなります。

メリット(2)資源に頼らなくても発電できる

前述の通り日本は、石油や石炭の確保を諸外国からの輸入に頼っており、経済的な締め付けや政治闘争の影響を受けて、価格が高騰したり輸入量の制限が行われると、日本経済は大きな打撃を受けます。

環境にやさしい発電は、これらの資源に頼ることなく発電が可能なため、政治の影響を受けることなく安定した電力供給を可能とします。

デメリット(1)条件に左右されて発電量が安定しない

太陽光は日照量、水力発電はダムの貯水量、そして風力発電は気象条件。

これらの条件が悪化すると、安定した発電量を確保できないことは、大きなデメリットの1つです。

それらを解消しようと、設置場所の選定などに十分な配慮がなされていますが、自然には逆らえない発電方法であり、発電量が恒久的に安定させることが大きな課題となっています。

デメリット(2)大量の発電が行えない

環境にやさしい発電方法は、1か所当たりの発電量が少数のため、大量の設備を必要とします。

2018年に稼働を開始した新青山高原風力発電所(三重県)は、国内最大出力となる風力発電所で、年間予想発電量1億5000万kWhの大規模発電所です。

この発電所では、一般家庭およそ4万4000世帯分の年間電力使用量に相当する電力を生み出しますが、必要な風車の数は何と40基…要した土地面積はなんと53ヘクタール。

53ヘクタールは、東京ドーム約10個分の膨大な面積であり、大量の発電を行うとすれば相当の広さの土地が必要となり、日本国内では候補地がかなり限られます。

出典:日本経済新聞「三重・新青山高原風力発電、営業運転開始 第1期分(2016年3月

出典:日本経済新聞「再生可能エネルギーとは 太陽光など安定供給課題」(2021年8月)

4.まとめ:事業コストの削減だけでなく、環境への取り組みをアピールすることもぜひ検討しよう

2015年より、電気の発電と販売を法律で分離可能にした「発送電分離」が法律で認められるようになり、民間の販売事業者(電力小売り会社)の参入を促進し、電気料金の価格競争が始まりました。

その結果、事業コストの削減を検討している中小企業では、安価な電力を購入する選択肢が生まれました。さらに、環境にやさしい取り組みをしている電力小売り会社を選ぶことは、環境問題への間接的な取り組みや、「クリーンエネルギーで事業を行っている環境企業」とアピールすることにも繋がります。

これらのコスト削減、外部へのアピールなどのメリットから、今後は多くの企業が「クリーンエネルギーを積極的に導入する」時代が近づいているといえます。そこでまずは、企業経営において環境にやさしいクリーンエネルギーの導入を検討してみてはいかがでしょうか?

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