【SDGs目標13達成を目指す企業に】気候変動対策をリードする取り組みとは?

「SDGs」は企業にとっても重要な取り組みであり、様々ある目標の中の「SDGs目標13・気候変動に具体的な対策を」は企業の経済活動と無縁ではありません。世界の経済活動における温室効果ガス排出の増加は地球温暖化を加速させ、気候変動による異常気象が頻発しており、社会の「SDGSs目標13」の注目度は高まっています。どうすれば中小企業として気候変動対策に一歩進んだ取り組みが出来るのかを解説します。

目次

  1. 気候変動対策に取り組む企業が目指すべき「SDGs目標13」とは?

  2. なぜ中小企業が気候変動対策やSDGsに取り組まなくてはならないのか

  3. SDGsや気候変動対策への取り組みは中小企業の新ビジネスチャンス

  4. SDGs目標13に取り組む企業の気候変動対策事例

  5. まとめ:SDGsと気候変動対策に取り組み社会をリードする企業に

1. 気候変動対策に取り組む企業が目指すべき「SDGs目標13」とは?

気候変動が世界に及ぼす影響

産業革命以前と比較して地球の温度は約1度上昇したと言われています。その理由として人間の経済活動が進み化石エネルギーなどの大量消費による温室効果ガスの排出増加が挙げられます。温室効果ガスの増加により、地球の大気は不安定になり、地表の温度は上昇しています。これらが複合的に作用して地球の温暖化を生み、それに伴う気候変動が異常気象を誘発しているのです。

出典:環境省『環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書』(2019.6.7)

SDGsの5つの柱・5Ps

SDGsは「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」のことで「人類がこの地球で暮らし続けていくために2030年までに達成すべき17の目標」を掲げています。「持続可能な社会」を実現するための人類が目指すべき具体的な行動計画です。

出典:外務省「SDGsとは? 持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けて日本が果たす役割」(2021.8)(p.2)

SDGsの17の目標を5つのキーワードに分けるとより相互に持つイメージが理解しやすくなります。以下がその5つの柱になるキーワードです。

  • People (人)

  • Prosperity (繁栄)

  • Planet (地球)

  • Peace (平和)

  • Partnership (協力)

目標13はこの中のPlanet (地球)により深く関わる分野です。

出典:日本ユニセフ協会「17の目標をいろんな視点で見てみよう」

SDGsの目標13は『気候変動に具体的な対策を』とは何か

現在起きている気候変動に対して、「気候変動における災害や自然災害が発生した際にはそれに対応したり立ち直ったりできるよう全ての国は対策を取る」などの達成の目標と、「開発途上国が気候変動のスピードをゆるめるための行動を取れるよう先進国が協力する」などの具体的な実現のための方法を提示しています。SDGs目標13は地球環境に対してより緊急な対応を必要とするための対策と言えます

出典:国連広報センター「SDGs報告2020」

2. なぜ中小企業が気候変動対策やSDGsに取り組まなくてはならないのか

早急に進めなくてはならない温室効果ガス削減

温室効果ガスの排出が人類の経済活動と無縁でない限りは、地球環境をこれ以上悪化させないためにも、これを削減する努力をしていかなくてはいけません。CO2排出量は世界の経済活動に比例し増加しています。大企業・中小企業に関係なく温室効果ガスの削減に務めることは世界的に見ても急務であり、企業にはその責任があります。

出典:環境省「気候変動の国際交渉 世界のエネルギー起源CO2排出量(p.1)(2018)

SDGsによって中小企業が受ける影響は?

大企業は社会はがどのようなことを求めているのかに常に敏感です。世界的に見てSDGsに取り組み始めた企業は多く、「自社の営業が社会にどのような影響を与えているか」を問い続け、その中に環境に対しての影響が多大な場合は改善を行うという取り組みが始まっています。具体的な例で言えば使用している電力を再生可能エネルギー由来のCO2フリー電力に変更する、海洋プラスチック問題をきっかけに「脱プラスチック」を掲げるなどです。

 

中小企業は大企業のサプライチェーンの輪の中にいるため、大企業が受ける影響を直接受けます。環境に対する取り組みは中小企業にとっても重要な課題となっているのです。

世界的課題の地球温暖化・気候変動対策への貢献は重要

世界的に発生している異常気象は各国に多大なる被害をもたらしています。広範囲にわたるゲリラ豪雨や集中豪雨からの大規模水害や今までにはなかったような熱波など。このような災害の頻発は温室効果ガス排出増加による気候変動が原因と言われています。

 

企業ではこのような現状から、二酸化炭素排出をゼロにしようという「脱炭素(ゼロエミッション)」への関心が急速に高まっておりカーボンニュートラルをはじめとした「脱炭素」の取り組みを始めているところが増えています。日本は2050年までにCO2排出を実質ゼロにすることを宣言しました。

出典:資源エネルギー庁「「カーボンニュートラル」って何ですか?(前編)~いつ、誰が実現するの?」(2021.2.16)

3. SDGsや気候変動対策への取り組みは中小企業の新ビジネスチャンス

気候変動対策で新たなビジネスをリードする企業に

ビジネスの世界では自社の環境価値を高めようという動きが高まっています。環境価値を高めるだけではなく、新たなビジネスチャンスとして捉えている企業も多く、「次世代によりよい世界を」をミッションとして、クリーンエネルギーを提供する電力会社や、またデータとサイエンスの力で社会課題を解決することを目指して温室効果ガス観測技術衛星のデータを活用し環境モニタリングのサービスを提供するなどの新たなベンチャー企業が生まれています。今後環境問題に取り組みそれをビジネスとする企業はますます増えるでしょう。

日本の企業の参加も増加・環境イニシアチブとは何か

また世界的に地球温暖化や脱炭素にむけて注目されているのが環境イニシアチブです。環境イニシアチブとは温室効果ガス削減に向けて取り組む国際機関で、「RE100」「SBT(Science Based Targets)」「WMB(We Mean Business)」が存在します。このような国際的な環境イニシアチブは大手の企業の参加がメインではありますが、「SBT」には中小企業を対象としたコースも用意されており、環境対策に取り組む中小企業の参加が増えつつあるのです。

出典:環境省「中小企業版SBT・RE100取組事例」

新電力事業に参入・再生可能エネルギーの可能性

脱炭素にむけて注目されているのはCO2を排出しない再生可能エネルギーによる新電力です。再生可能エネルギーとは、太陽光、風力など自然界に常に存在するエネルギーのことを指します。自然環境を生かした非化石エネルギーのため環境負荷が少なくCO2の削減に取り組めるということで、自社の電力を再生可能エネルギー電力に切り替える企業が増えているのです。

 

また国も積極的に再生可能エネルギー事業を推し進めており、太陽光発電など新電力事業に取り組む企業は多くなっています。下記のグラフの通り、依然として化石燃料依存率は高いものの、再エネ電力の割合は少しずつ増加しています。

出典:資源エネルギー庁「「法制度」の観点から考える、電力のレジリエンス ⑤再エネの利用促進にむけた新たな制度とは?」(2020.10.8)

4. SDGs目標13に取り組む企業の気候変動対策事例

再生可能エネルギー100%目標の企業

(1)株式会社リコー

環境イニシアチブRE100に日本で初参加した企業です。2050年までに自社の温室効果ガス排出ゼロを目指しています。2030年までには自社で使用する電力の30%を再生可能エネルギーに切り替え2050年までには100%可能にすることを推し進めています。

(2)パナソニック株式会社

「パナソニック環境ビジョン2050」を掲げ、生産時に使用のエネルギーを減らしCO2ゼロの工場や省エネの製品の開発に積極的に取り組んでいます。太陽光発電や水素エネルギーなどのクリーンエネルギーの活用により、より良い社会作りを目指しています。

住宅・建築物関連の省エネ・スマートシティへの企業取り組み

(1)積水ハウス

2016年からの新築販売棟数の74%がZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)になります。2050年までの受託ライフサイクルでCO2の排出ゼロを目標に脱炭素社会の構築の貢献を目指しています。

(2)清水建設株式会社

「シミズエコロジー・ミッション2030-2050」においてSDGs目標13に伴い、すべての事業活動において建築物の運用時からライフサイクルに渡るまでのCO2排出を2050年までに1990年比でマイナス80%目標を推進し、気候変動対策に貢献することを目指しています。

出典:外務省「気候変動をリードする日本企業1」(2018.11.13)

カーボン・オフセットプロジェクト

中小企業においては様々な要因により、すぐにはCO2削減を進めることのできない場合もあります。そのような企業には「カーボンオフセット・プロジェクト」に参加するという選択も可能です。

カーボンオフセットとは経済活動や日常の生活において避けることができない温室効果ガスの排出をできるだけ減らす努力をしつつ、どうしても避けることのできない温室効果ガスをその排出に見合った分の削減活動に投資することで埋め合わせをするという方法です。日本では「富士フィルム株式会社」「株式会社資生堂」等多くの企業が参加し取り組んでいます。

出典:「環境省カーボンオフセット」

5. まとめ:SDGsと気候変動対策に取り組み社会をリードする企業に

温室効果ガス排出による気候変動が全世界的に緊急な課題となっている現在、いちはやくそれに取り組む企業は社会から大きく注目されることとなるでしょう。SDGsはすでに経済活動においても企業のあり方においても無縁の存在ではないのです。SDGs目標13に向かって真摯に取り組み気候変動に対して貢献を果たす企業として一歩リードしてみませんか。

 

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