コストゼロで太陽光発電を導入!PPAモデルの全容とは

太陽光発電をコストゼロで導入できると話題のPPAモデル。クリーンエネルギーである太陽光を活用できると環境への取り組みとして実施する企業も増えています。

今回は、PPAモデルの仕組み、メリットやコストダウンについてお伝えします。

目次

  1. 太陽光発電とPPAモデル

  2. PPAモデルを導入する2つのメリット

  3. PPAモデルはコストダウンにつながる?

  4. まとめ:PPAモデルの活用でクリーンエネルギー利用を進めよう

1. 太陽光発電とPPAモデル

再エネの代表格とも言える太陽光発電。本来、太陽光発電設備を作るには多額のコストがかかりますが、PPAモデルを活用することでコストゼロが導入できます。

太陽光発電の特徴とは

太陽光発電は、太陽光という自然のエネルギーを利用して電力を生み出します。二酸化炭素の排出もなく、将来的にも無くなる心配がないクリーンなエネルギーです。また、仕組みが簡単で管理や保守が容易というメリットもあります。

しかし、太陽光発電設備は高価であるにもかかわらず、エネルギー源である太陽光の量に発電量が左右されたり、エネルギー密度が低く火力発電等と同じ量のエネルギーを発生させようとすると広大な土地が必要といった課題があります。

出典:中部電力『太陽光発電』

出典:太陽光発電‐再生可能エネルギーとは

PPAモデルが注目される理由

出典:資源エネルギー庁「再エネ導入拡大に向けた事業環境整備について」(2021年3月)(p.4)

PPAモデルは、コストゼロのクリーンエネルギーである太陽光発電を取り入れられると注目されています。大枠としては間借りするという形に近い仕組みで、まずは電力を必要とする需要家が、太陽光発電設備を販売している業者に土地を貸し出します。

土地を得た業者は無償で太陽光発電設備を設置し、その代わりに需要家は設置された太陽光発電設備から生まれた電力を購入するという仕組みです。近年、環境への取り組みが企業価値につながることもあり、需要家が持つ工場の屋根にPPAモデルを使って太陽光発電設備を設置するなど活用が進んでいます。PPAモデルは土地が欲しい業者とクリーンエネルギーを活用したい需要家を結びつけるマッチングビジネスとも言えます。

PPAモデルの種類

PPAモデルには、大きく分けてフィジカルPPAとバーチャルPPAでの2つの種類があります。フィジカルPPAは、需要家が業者と直接取引する仕組みで日本では主にこの形態で普及しています。

需要家が自ら持つ土地を貸し出して太陽光発電設備を設置してもらう形を「オンサイトPPA」と呼びます。反対に、自分たちの土地がなかったり広さが足りなくて電力が見込めない場合に、別の場所で生まれたクリーンエネルギーを活用する形を「オフサイトPPA」と呼びます。いずれの場合も、電気を供給する業者から実際の電力とクリーンエネルギーという環境価値が送られてきます。

一方で、「バーチャルPPA」では、クリーンエネルギーで発電されたという環境価値の証明と、実際の電力が別々で供給されます。電気を供給する業者は、太陽光発電などクリーンエネルギーで作られた電力そのものを市場に売ります。

バーチャルPPAにおける需要家は、実際の電力は市場から購入しつつ、クリーンエネルギーで作られたという環境価値は別で契約などを締結します。日本では制度上バーチャルPPAは出来ませんが、国土の大きいアメリカやヨーロッパといったエリアでは、PPAモデルの80%がバーチャルPPAとなっています。

出典:自然エネルギー財団『コーポレートPPA 実践ガイドブックP14』(2020年9月)

2. PPAモデルを導入する2つのメリット

PPAモデルを導入することで得られるメリットは大きく2つあります。

コストゼロで太陽光発電設備を導入できる

PPAモデルを導入するメリットの1つ目は、コストゼロで太陽光発電設備を設置することができる点です。オンサイトPPAでは需要家が持つ土地やスペースを業者に貸し出すだけなので、いわゆるデッドスペースの有効活用とも言えます。また、オフサイトPPAなら離れた場所へもクリーンエネルギーによって生まれた電力を送ることができるので、拠点が多い企業でも環境への取り組みを実現できます。

PPAモデルは企業価値向上につながる

PPAモデルの2つ目の導入メリットは、需要家の企業価値向上につながることです。現代では、SDGsやESGに代表されるように環境配慮も企業としての価値を判断する上で重要視されています。コストゼロのクリーンエネルギーである太陽光発電を取り入れられるPPAモデルは、非常に有力な環境配慮施策と言えます。

3. PPAモデルはコストダウンにつながる?

PPAモデルは環境への対策として非常にメリットのある仕組みですが、一方で課題もあります。導入時の検討事項としてチェックしておきましょう。

PPAモデルによって電気代は本当に安くなるか

日本で太陽光発電などクリーンエネルギーの価格は下がりにくい傾向があります。原因として政治的な問題と土地の問題の両方が挙げられます。まず、政治的な問題ではFIT(固定価格買取制度)が挙げられます。FITは、クリーンエネルギーによって生まれた電力を一定価格で購入するという国が定めた制度です。実施以降、発電業者がクリーンエネルギー発電にチャレンジしやすい環境を作り、普及が進んだのは事実です。

しかし、技術が進歩して発電コストが抑えられても取引価格はFITによって今までと変わらず、本来払わなくても良い部分まで支払わざるを得ないという状況なのです。また、土地的な問題もあります。山間部が多く太陽光発電設備を立ち上げにくい日本の国土ではどうしても設置におけるコストが高騰しがちです。ちなみに試算によると、現在、新たな太陽光発電設備を作って活用すれば他の発電方法よりもコストは抑えられるとされています。

出典:資源エネルギー省『太陽光発電について』

日本でのPPAモデルの課題は仕組みの整備

太陽光発電の技術が進歩して発電コストが抑えられても、FITによって消費者が支払う実際の電気料金は変わりません。発電コストの低下が電気代の節約につながれば、環境への配慮だけでなく経済面でも有利になってきます。だからこそ、インフラはもちろん政治面での仕組み整備などが今後の日本におけるPPA普及のキーポイントとなります。

4. まとめ:PPAモデルの活用でクリーンエネルギー利用を進めよう

コストゼロでクリーンエネルギーを利用することができるPPAモデル。PPAモデルはフィジカルPPAとバーチャルPPAの2つに大きく分かれており、フィジカルPPAには実際に土地を貸し出して太陽光発電設備を設置するオンサイトPPAと、離れた場所や自分たちの土地以外に設置するオフサイトPPAがあります。企業として、倉庫の屋根やビルの屋上など広いデッドスペースがある場合は、オンサイトPPAがおすすめです。

環境配慮が企業価値につながる現代において、PPAモデルは環境対策の施策としては非常に優良です。一方で、FITによる電気代固定やインフラの未整備という点でまだまだ課題が残るのも事実です。企業として、即時的にコストダウンという面で得られる効果は大きくないという可能性はありますが、環境対策として企業価値を高める方向での取り組みはおすすめです。ぜひ検討してみてください。

 

 

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