脱炭素社会とは?温室効果ガス排出ゼロの取り組みを解説!

日本が2050年までに実現させることを目標にしている脱炭素社会とはどのような社会を指しているのでしょうか。この記事では、日本が目指す脱炭素社会についての理解を深めたいと考えられている法人の皆さまが知っておくべき、カーボンニュートラルとも呼ばれている脱炭素に関する定義や日本が置かれている現状や課題、脱炭素社会に向けた企業向けの取り組みなど基本的な知識についてご紹介します。

目次

  1. 2050年までが目標!日本が目指す脱炭素社会

  2. 日本が抱える脱炭素社会に向けた課題

  3. 脱炭素社会への具体的な取り組み

  4. まとめ:脱炭素についての理解を深め、企業の取り組みを検討しよう!

1. 2050年までが目標!日本が目指す脱炭素社会

2015年にパリ協定が採択されたことで、日本を含む世界の気候変動問題に向けた取り組みが加速しています。日本は2020年10月に、2050年度までに脱炭素社会を実現することを宣言しています。ここでは脱炭素社会の定義や日本のGHGの総排出量、なぜ脱炭素への取り組みが重要なのかについてご紹介します。

脱炭素社会とは?日本は2050年が目標

脱炭素社会とは、GHG(温室効果ガス)排出量が実質ゼロを実現させている社会を指します。できるだけGHG排出量を削減した上で、どうしても排出される分については、吸収または除去により相殺するというのが基本的な考え方です。

日本では2020年10月26日に、菅首相が所信表明演説において2050年度までに脱炭素社会を実現させることを宣言しています。気候変動問題への対応を成長の機会ととらえ、約2ヶ月後となる2020年12月に、脱炭素を実現させるための指標となる「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しています。

出典:資源エネルギー庁『「カーボンニュートラル」って何ですか?(前編)~いつ、誰が実現するの?』(2021/2/16)

出典:資源エネルギー庁『「カーボンニュートラル」って何ですか?(後編)~なぜ日本は実現を目指しているの?』(2021/3/16)

日本のGHG排出量はどれくらい?

脱炭素とはGHGが実質ゼロを指す言葉です。温室効果のある物質はCO2だけでなく、メタン、一酸化二窒素、フロンガスなどがあります。日本におけるGHGの総排出量は、2014年度以降6年連続で減少しています。2019年度のGHGの総排出量は12億1,300万トンで、前年比では2.7%の減少、2013年度比では14.0%減少しています。

出典:環境省『温室効果ガスの総排出量 2019 年度』(p.1.2)

なぜ脱炭素への取り組みが重要なのか?

世界の年平均気温は、1891年の統計開始以降、変動を繰り返しながら上昇しており、長期的に見ると100年あたり0.72℃の割合で気温が高くなっています。気温上昇の主な原因であると考えられているのがGHGです。現在世界各地は、気候変動による深刻な洪水や猛暑などの災害に見舞われています。脱炭素に取り組まなければ、今後さらなる気候変動による深刻な災害リスクが高まることが予想されています。

出典:気象庁『世界の年平均気温』

2. 日本が抱える脱炭素社会に向けた課題

日本は、脱炭素社会を実現させるために解決しなければならない課題を抱えています。ここでは、日本が抱える課題についてご紹介します。

化石エネルギーへの依存

日本は脱炭素社会の実現に向け、第5次エネルギー基本計画の中で、2030年度の電源構成目標を次のように定めています。

  • 化石燃料(石油・石炭・天然ガス)56%

  • 再生可能エネルギー22〜24%

  • 原子力発電20〜22%

出典:資源エネルギー庁『新しくなった「エネルギー基本計画」、2050年に向けたエネルギー政策とは?』(2018/7/3)

しかし日本では、化石エネルギーへの依存が高い状況にあります。ISEPによると日本の2020年度の電源構成は以下のようになっています。

  • 化石燃料75.1%:内、石炭26.7%、天然ガス35.9%、石油2.3%、その他火力10.2%

  • 原子力:3.7%

  • 再生可能エネルギー21.3%:内、水力7.8%、太陽光8.9%、風力0.9%、地熱0.3%、バイオマス3.4%

出典:isep『【速報】国内の2020年度の自然エネルギーの割合と導入状況』(2021/7/21)

GHG削減が難しい産業の存在

企業努力により削減できるGHGもありますが、農業由来のメタンガスや廃棄物由来の一酸化二窒素など、GHG削減が難しい産業も存在します。

そのような産業では、カーボンオフセットが有効な選択肢になります。カーボンオフセットとは、どうしても削減できないGHG排出量に見合うクレジットを購入することなどにより、埋め合わせようとする考え方です。

出典:埼玉県環境科学国際センター『2050年温室効果ガス排出ゼロはどうやって達成する?』(2021/3/9)

出典:環境省『カーボン・オフセット』

3. 脱炭素社会への具体的な取り組み

世界や日本では脱炭素を後押しする様々な取り組みが実施されています。ここでは脱炭素社会への取り組みの1つである、国際的な枠組みであるRE100と日本で誕生した中小企業向けの枠組みRE Actionについてご紹介します。

脱炭素に向けた国際的枠組み「RE100」

RE100は、世界で影響のある企業が、事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを宣言する国際的な枠組みです。2021年9月現在における日本企業の参加数は59社です。RE100に賛同することで、企業は気候変動問題解決に貢献するだけでなく、投資家へのアピールになるなど経済面においてもメリットを得ることができます。

出典:JCLP『RE100・EP100・EV100国際企業イニシアチブについて』

中小企業による取り組み「RE Action」

RE100は大企業を対象とする枠組みであることから、日本において中小企業や自治体、教育機関、医療機関などを対象とする再エネ100宣言 RE Actionが発足しました。RE100と同様に事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーにすることを宣言する枠組みで、2021年9月現在において日本では174団体が参加しています。

出典:再エネ100宣言 RE Action『NEWS』(2021年9月6日)

4. まとめ:脱炭素についての理解を深め、企業の取り組みを検討しよう!

日本が2050年までに実現させることを目標に掲げている脱炭素社会とはどのような社会なのかについてご紹介しました。近年世界各地に深刻な影響を与えている気候変動を食い止めるため、企業を経済的に成長させるためにも脱炭素への取り組みは欠かせません。脱炭素とはどのようなものであるかの理解を深め、企業でどのような取り組みを始めるかの検討につなげていただければと思います。

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