SDGs取り組みの行動指針に。「SDGコンパス」の5つのステップ

みなさんは「SDGコンパス」をご存じですか?

国連193ヶ国の合意により採択された2030年までの目標、SDGsを達成するためには、各国の経済を支える企業の協力が不可欠です。そんな企業の中でも中小規模の企業向けにSDGsの進め方を示したものがSDGコンパスです。

この記事ではSDGコンパスの5つのステップについて、取り組みの例をあげながら、分かりやすく紹介していきます。SDGコンパスを参考にSDGsを進め、2030年までにより良い世界を実現しましょう!

目次

  1. SDGコンパスとは?

  2. SDGコンパスの5つのステップ「step1.SDGsを理解する」

  3. SDGコンパスの5つのステップ「step2.優先課題を決定する」

  4. SDGコンパスの5つのステップ「step3.目標を設定する」

  5. SDGコンパスの5つのステップ「step4.経営へ統合する」

  6. SDGコンパスの5つのステップ「step5.報告とコミュニケーションを行う」

  7. まとめ

1. SDGコンパスとは

SDGコンパスは、企業にSDGsをどのように進めていくかを示すガイドで、

2016年3月に次の3団体の協力により作成されました。

GRI

GRI(Global Reporting Initiative)は、民間企業や政府機関などを対象にサステナビリティ報告書の理解促進や作成をサポートしているNGO(国際協力に携わる民間団体)です。

※サステナビリティ報告書とは、持続可能な社会の実現に向け、企業がどのような取り組みをしたかをとりまとめた報告書のことです。

国連グローバル・コンパクト

国連グローバル・コンパクトとは、国連事務総長室の傘下にある組織で、頭文字を集めUNGCと表記されることもあります。

政府やNGOや企業など様々な団体と協同し、社会が抱える問題解決のために活動しています。

WBCSD

WBCSDとはWorld Business Council for Sustainable Developmentの頭文字を集めた呼び名で、持続可能な開発のための世界経済人会議と訳されています。

200以上の国際企業から成る組織で、加盟企業のCEOがリーダーシップを取り、解決が困難な難しい社会問題を解決するために協同して様々な取り組みをしています。

これらの3団体の協同により作成された、SDGコンパスの大きな柱となる5つのステップについて、次章で1つずつご紹介しますので、一緒に整理していきましょう!

※SDGコンパスの5つのステップ

 

出典:Sustainable Japan『GRIとは・意味』(2015/8/31)

出典:Global Compact Network Japan『国連と国連グローバル・コンパクトの関係』

出典:Sustainable Japan『WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議とは・意味)』(2017/08/06)

2. SDGコンパスの5つのステップ「step1.SDGsを理解する」

SDGsに取り組むには、経営者や担当者や全社員の協力が不可欠です。まずはじめにやるべきことはSDGsが掲げる17の目標と、169のターゲットへの理解を深めることです。

出典:外務省「持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた日本政府の取組」

SDGsへの理解を深める方法として、SDGsの資料を配り1人1人が理解を深めるSDGsセミナーへ参加する講師を招いての研修を開催するなどの方法があります。

環境省が発行している『SDGs活用ガイド』は、環境省のホームページから無料でダウンロードすることができますので、冊子にして社内で資料として活用することができます。

出典:環境省『持続可能な開発目標(SDGs)の推進』

3. SDGコンパスの5つのステップ「step2.優先課題を決定する」

SDGsは世界共通の目標として、17のゴールと169のターゲットを抱えています。1つの企業が全ての目標に取り組むことは難しいため、優先課題を決めて取り組むことが大切です。

優先課題を決めるために、次の順番で話し合いを進めていきましょう!

  1. 企業のこれまでの活動の棚卸し。

  2. 企業の活動に関与した、他企業や地域の団体などの特定と関係性の整理。

  3. 企業の活動でこれまでにどのような良い影響と悪い影響があったか?

  4. これから取り組む優先課題を決定し、あてはまる169のターゲットの特定。

4. SDGコンパスの5つのステップ「step3.目標を設定する」SDGsに取り組む上での目標と、KPI(重要業績評価指標)を決定します。KPIを目標ごとに設定することで、目標達成に向けた進歩度を計ることができます。

たとえば住友化学は、環境負荷低減への貢献 : 気候変動の緩和という課題に対して、2013年度比で2030年までに30%の削減するという目標とグループのGHG排出量を削減するというKPIを設定しています。

このように、目標を決める時に、特定の数値と期間を盛り込むようにすることで、目標がはっきりとします。

出典:住友化学『主要取り組み指標「KPI」』

5. SDGコンパスの5つのステップ「step4.経営へ統合する」全ての社員の理解と協力なくしては、企業が掲げるSDGsの目標を達成することはできません。

そのためには企業の経営者がリーダーシップを取り、SDGsを経営に統合することで社員の士気を高めることが大切です。

経営者がリーダーシップを取りSDGsを進めている中小企業の例として、岐阜県中津川市にある有限会社タケイ電器の取り組みをご紹介します。

2代目の社長は、リフォーム事業や太陽光発電を始めたことをきっかけにSDGsへの取り組みを始めています。

ソーラーパネルを畑の上に設置し、発電の売買収入と農業収入を得ることができる事業に着手しているのですが、この事業は、衰退する地元の農業において新たな事業を後押しするなど地域貢献にもつながっています。

出典:有限会社タケイ電器『SDGsの活動が認められ、取組事例として外務省のHPに弊社のリンクを掲載して頂きました。』(2018/10/02)

6. SDGコンパスの5つのステップ「step5.報告とコミュニケーションを行う」企業がSDGsに関してどのような取り組みを行ってきたかをまとめたレポートは、社内で情報を共有するだけでなく、外部にも発信しましょう!

報告書には、CSRレポートやサステナビリティレポートといった種類があります。

・CSRレポート(Corporate Social Responsibility Report)

企業の社会的責任の報告書と訳され、企業が環境や社会問題などにどのような取り組みをしたかをまとめたものです。

・サステナビリティレポート

持続可能な社会の実現に向けた、企業の取り組みをまとめた報告書です。

報告書を外部発信することで、外部とのコミュニケーションを取ることができ、企業のSDGsへの取り組みを認知度を高めることができます。

また外部からの評価を知ることは、次年度に向けたSDGsへの取り組みを計画する上で参考になります。

出典:緑のgoo『CSR報告書とは』

出典:Sustainable Japan『サステナビリティ報告書』

7. まとめ

2016年3月に、中小企業向けにSDGsへの取り組みの行動指針として作成されたSDGコンパスの内容や進め方についてご紹介しました。

中小企業がスムーズにSDGsに取り組む上で大変参考になる行動指針ですので、ぜひご参考にしてください!

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