普及が進むグリーンボンドとは?概要やメリットなどをわかりやすく解説

グリーンボンドとは?環境活動を重視する企業が増加したことで、2014年以降、日本においてグリーンボンドの発行・投資の事例件数が増加しています。企業はグリーンボンドを発行することで、環境問題への積極的な活動を対外的にアピールできるため、企業価値を高めることができます。

この記事では法人の皆さまが知っておくべき、グリーンボンドの概念や利用の仕方、メリットやデメリット、普及状況などについて分かりやすくご紹介します。グリーンボンドへの理解を深め、企業でのグリーンボンド利用を検討してみましょう。

目次

  1. グリーンボンドとは?利用方法など基礎知識

  2. 企業価値を向上!グリーンボンドのメリット

  3. グリーンボンドのデメリット

  4. まとめ:グリーンボンドへの理解を深め、グリーンボンドを活用しよう!

1. グリーンボンドとは?利用方法など基礎知識

ESG投資を拡大させるための取り組みの1つとして始まったグリーンボンドは、日本においては2017年から発行件数が増加しています。グリーンボンドの概念や発行手続きの流れ、日本での普及状況などグリーンボンドに関する基礎知識についてご紹介します。

グリーンボンドとは?

グリーンボンドとは、自治体や企業が、国内外のグリーンプロジェクトを実施するために必要な資金を調達するために発行する債券のことです。グリーンボンドを発行したら、集めた資金は必ずグリーンプロジェクトに利用しなければなりません。また、集めた資金は追跡・管理され、資金の使い道などを報告する義務が生じます。

グリーンボンドを発行する地方自治体や企業に投資するのは、ESG投資を行うことを表明している機関投資家やESG投資の運用を受託する運用機関、個人投資家

です。

出典:環境省『グリーンボンドガイドライン 2020 年改訂版 (案)』(p.5)

グリーンボンドの利用方法環境省はグリーンボンドガイドラインにおいて、通常の発行手続きの流れを以下のように定めています。

  1. 発行準備

  2. 債権発行

  3. 資金管理

  4. 利払い・情報管理

  5. 満期償還

出典:環境省『グリーンボンドガイドライン 2020 年改訂版 (案)』(p.12)

日本のグリーンボンドの普及状況

2017年3月にグリーンボンドガイドラインが策定されたことで、グリーンボンドの発行件数が大幅に急増しました。環境省によると、日本のグリーンボンド発行件数は次のように推移しています。

  • 2014年:1件 337億円

  • 2015年:2件 565億円

  • 2016年:4件 748億円

  • 2017年:11件 2223億円

  • 2018年:34件 5363億円

  • 2019年:58件 8238億円

  • 2020年:77件 1兆170億円

内訳を見ると、事業者や財政機関による発行件数が増加しています。調達した資金は、再生可能エネルギーを中心に、省エネルギー事業やグリーンビルディングなどで使用されています。

出典:環境省『グリーンボンドに関する環境省の取組について』(2021年3月)(p.5)

2. 企業価値を向上!グリーンボンドのメリット

グリーンボンドを発行する側にも、投資する投資家側にもメリットがあります。ここではそれぞれの視点から、グリーンボンドに取り組むメリットをご紹介します。

グリーンボンドを発行するメリット

グリーンボンドを発行するのは、主に環境事業に取り組む自治体や企業です。グリーンボンドはESG投資と重なる部分が大きいことから、グリーンボンドを発行することでESG投資にアピールすることができます。

経済産業省がESG投資家に対して実施したアンケートによると、アンケート回答者の43.8%が、グリーン投資について投資先のグリーン性を判断する基準としてグリーンボンドガイドラインをあげています。

出典:経済産業省『ESG投資に関する運用機関向けアンケート調査』(2019年12月)(p.13)

グリーンボンドに投資するメリット

グリーンボンドは株式や債券などの投資とは異なり、価格連動性が低いオルタナティブ投資であることから、分散投資することでリスクを低減させることができます。また、グリーンボンドに投資することで、イメージを向上させることができます。

出典:グリーンボンド発行促進プラットフォーム『グリーンボンドとは』

3. グリーンボンドのデメリット

企業はグリーンボンドを発行することでESG投資を受けやすくなるなどのメリットがありますが、グリーンボンド発行をためらう企業も多いです。グリーンボンドの発行を阻んでいるデメリットについてご紹介します。

追加コストがかかる

Climate Bonds Initiative(CBI)が、グリーンボンドを発行した企業を対象に2019年に実施したアンケートによると、過去にグリーンボンドを発行しなかった理由として以下のような回答が多くあがっています。

  • 当時はグリーンボンド市場が十分に発展しているとは思えなかった。

  • 投資家が少ない。

この他にグリーンボンドには追加コストがかかるからとの回答も出ています。

政府はグリーンボンドにかかる追加コストを補助するために、補助金制度を実施しているため、グリーンボンドの発行を検討している企業は申し込むことでこのデメリットを解消することができます。

出典:グリーンボンド発行促進プラットフォーム『CBIレポート「グリーンボンド財務部門調査2020年版」』

出典:環境省『令和3年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(グリーンボンド等促進体制整備支援事業)の公募について』(2021/5/13)

集めた資金の使い道が限定的

グリーンボンドの使い道が限定的であることも、グリーンボンド発行の普及を妨げている原因の1つです。環境省やICMA(国際資本市場協会)は、グリーンプロジェクトとは別の事業に投資するグリーンウォッシュ問題を未然に防ぐ目的で、グリーンボンドにより集めた資金の使い道を明確に定めています。環境省やICMAは、グリーンボンドの使い道を次のように示しています。

  • 再生可能エネルギーに関する事業

  • 省エネルギーに関する事業

  • 汚染の防止と管理に関する事業

  • 自然資源・土地利用の持続可能な管理に関する事業

  • 生物多様性保全に関する事業

  • クリーンな運輸に関する事業

  • 持続可能な水質源管理に関する事業

  • 気候変動に対する適応に関する事業

  • 環境配慮製品、環境に配慮した製造技術・プロセスに関する事業

  • グリーンビルディングに関する事業

出典:環境省 グリーンボンド発行促進プラットフォーム『グリーンボンドに期待される事項』

出典:ICMAグループ『グリーンボンド原則2020 グリーンボンド発行に関する自主的ガイドライン』(2020年6月)(p.3)

4. まとめ:グリーンボンドへの理解を深め、グリーンボンドを活用しよう!

グリーンボンド発行に関心のある法人の皆さまが知っておくべき、グリーンボンドの基礎知識などについてご紹介しました。

今やグリーンボンド市場は1兆円規模にまで拡大しています。国内外において、グリーンプロジェクトを検討されている法人の皆さまは、環境省が実施する補助金制度などを活用し、グリーンボンドを発行することを検討されてみてはいかがでしょうか。

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