GRIとは?「GRIスタンダード」についても解説

GRIとはなにか、わかりやすく解説します。GRIはサステナビリティに関する報告基準を策定する、国際的な機関です。GRIの策定した基準はGRIスタンダードと呼ばれ、世界中の企業が自社のIRなどに活用しています。昨今企業に対し非財務情報の開示が社会的要請にもなっており、どのような項目を開示していくか、各企業はGRIスタンダードなどを参考にしながら検討や開示を進めています。

本記事ではGRIの概要、GRIスタンダードの概要や特徴、日本企業によるGRIスタンダードの活用事例などをご紹介します。

目次

  1. GRIとは

  2. GRIスタンダードとは

  3. GRIスタンダード活用事例

  4. まとめ:GRIスタンダードを活用して、サステナビリティ情報を開示しよう!

1. GRIとは

GRIとは

GRI(Global Reporting Initiative)は、UNEP(国連環境計画)の公認団体として、1997年に設立された非営利団体です。オランダのアムステルダムに本部を置き、世界各地にネットワークを構築しています。サステナビリティに関する国際的な開示基準の策定を使命としており、世界で初めて包括的なサステナビリティー報告書のための枠組みを構築しました。GRIは現在では開示基準に関するプロフェッショナル認定プログラムや専門トレーニングの提供、ガイダンスやワークショップの実施なども行っています。

出典:特定非営利法人サステナビリティ日本フォーラム「GRIとの連携 GRIスタンダードの理解と普及」

出典:GRI「The GRI Standards Enabling transparency on organizational impacts」p2,3,8

非財務情報開示基準とは

GRIのような組織が発足した背景には、非財務情報開示に関する国際的な動向があります。それまで企業の情報開示は財務諸表が中心でしたが、責任投資(投資判断にあたって、環境・社会・企業統治に関する課題を考慮すること)の拡大などによって、財務諸表以外の企業情報に対するニーズが高まりました。

そのため欧米では気候変動対策に対する情報開示指針や、環境課題への対応など非財務指標の必要性が叫ばれるようになったのです。そのためさまざまな開示基準が提唱されるようになり、GRIの他にもA4S(Accounting for Sustainability)、CDSB(Climate Disclosure Standard Board)などの基準策定組織が設立されています。A4Sは2006年英国チャールズ皇太子の呼びかけで設立され、広い範囲の利害関係者を情報利用者として想定しているGRIに対し、投資家による利用を想定しています。CDSBは2007年世界経済フォーラムで提唱・設立され、主に機関投資家による情報の利用を想定しています。

出典:環境省「サステナビリティ開示の国際動向」p2-4

出典:PRI「責任投資の入門ガイド」p2

2. GRIスタンダードとは

GRIによって策定されたサステナビリティ報告基準が、「GRIスタンダード」です。GRIスタンダードについて解説します。

GRIスタンダードの構成

GRIスタンダードは、大きく3つに分かれています。

3つの構成要素

各構成要素の説明

構成要素に含まれる主な項目

ユニバーサルスタンダード

企業情報開示にあたっての重要な原則

GRI 1 基礎2021

GRI 2 一般開示事項2021

GRI 3 マテリアルな項目2021

セクタースタンダード

業種ごとの開示基準

GRI 11 石油・ガス2021

GRI 12 石炭2022

GRI 13 農業・養殖業・漁業 2022

トピックスタンダード

企業によって関係するトピックに関する開示基準

GRI 201~207 経済パフォーマンス、税金など

GRI 301~308 エネルギー、水、生物多様性など

GRI 401~418 雇用、労使関係、ダイバーシティなど

このようにGRIスタンダードには幅広い開示項目が網羅されており、サステナビリティ情報の開示にあたって、必要な項目を選択して活用することができます。

出典:GRI「The GRI Standards Enabling transparency on organizational impacts」p3,6

出典:GRI「日本語版」

GRIスタンダードの特徴と課題

GRIスタンダードは、サステナビリティ情報開示基準の先駆けとして、多くの企業によって活用されています。2020年には100か国以上の大手企業に広く採用され、世界最大企業250社のうち73%がGRIスタンダードに準拠したサステナビリティ情報開示をしています。

GRIスタンダードの利点は、項目の幅広さやさまざまな組織で活用できる汎用性です。一方で情報開示が一般的になりがち、財務情報との関係性や重要情報へのフォーカスが必要などの点が課題として指摘されています。

出典:環境省「サステナビリティ開示の国際動向」p4

出典:GRI「The GRI Standards Enabling transparency on organizational impacts」p2-3

3. GRIスタンダード活用事例

日本でも、多くの企業がGRIスタンダードに準拠したサステナビリティ情報開示を行っています。実際の企業事例をご紹介します。

株式会社リコー

株式会社リコーは、自社ホームページのサステナビリティ統合報告書に、「GRIスタンダード対照表」を掲載しています。全体は大きく「一般開示事項」(GRI2,3)「経済」(GRI201~207)「環境」(GRI301~308)「社会」(GRI401~419)に分かれており、それぞれの詳細項目にデータや説明へのリンクを設定しています。

出典:株式会社リコー「GRIスタンダード対照表」

ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社も、自社ホームページの「ESG関連資料」の中に、「GRIスタンダード対照表」を載せています。全体は大きく「共通スタンダード」(GRI2,3)と「項目別スタンダード」(GRI201~418)に分かれており、詳細項目を網羅した上で各項目に「開示内容」として関連するデータへのリンクを貼っています。

特徴的なのは、「対照表」というページの中でGRI以外の開示基準(ISO26000、SASBスタンダード、TCFD)の対照表へタブで遷移できるようになっている点です。これにより、各基準への準拠状況が把握しやすくなっています。

出典:ソフトバンク株式会社「GRIスタンダード対照表」

積水ハウス株式会社

積水ハウス株式会社も、自社ホームページの「サステナビリティ・ESG」の中に、「マルチサーチ GRIスタンダードから探す」というコンテンツを掲載しています。全体は大きく「一般的開示事項」(GRI2)、「マネジメント手法」(GRI3)、「項目別のスタンダード」(GRI201~419)で構成されており、各詳細項目の欄に参照データへのリンクが設置されています。最上部にインデックスとして中項目が並んでいて、閲覧したい項目をクリックするとその項目へジャンプできるようになっており、見たい項目へ素早く遷移できる点が特徴的です。

出典:積水ハウス株式会社「マルチサーチ GRIスタンダードから探す」

4. まとめ:GRIスタンダードを活用して、サステナビリティ情報を開示しよう!

GRIスタンダードは、サステナビリティ開示基準として世界各国で多くの企業に活用されています。投資家や消費者に対するサステナビリティ情報の開示は、今後ますます重要になっていくことが予想されますので、GRIスタンダードの活用もさらに拡大するでしょう。またGRIスタンダードは網羅性が高いので、自社のサステナビリティ対応に抜け漏れがないかといった観点でのチェックにも有効と考えられます。

企業でIRなどを担当する皆様は、サステナビリティ情報の整理と開示にぜひGRIスタンダードを活用しましょう。

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