ゼロエミッションはなぜ重要?実現に向けた事例を詳しく紹介!
- 2023年02月16日
- 発電・エネルギー
脱炭素に向けた一連の取り組みの1つにゼロエミッション構想に基づいたエコな街作りがあります。環境用語の1つであるゼロエミッションとは、どのようなものか、どのような取り組み例があるのか、みなさんはどこまで整理できていますか。
この記事では、脱炭素への取り組みに関心のある法人の皆さまが知っておくべき、ゼロエミッションに関する基礎知識と、エコタウン事業やゼロエミ・チャレンジなど取り組み事例をご紹介します。脱炭素に向けた日本の動向を理解し、企業でも取り組みを検討しましょう。
目次
- ゼロエミッションとは?ゼロエミッションに関する基礎知識
- 日本のゼロエミッション実現に向けた取り組み事例
- 日本企業が続々参加!ゼロエミ・チャレンジとは?
- まとめ:日本のゼロエミッション実現に向けた動きを理解し、企業も取り組もう!
1. ゼロエミッションとは?ゼロエミッションに関する基礎知識
脱炭素の一連の取り組みの1つであるゼロエミッションとは、どのような意味があるのでしょうか。ここでは、ゼロエミッションという環境用語のもともとの意味やゼロエミッションが重要視される背景についてご紹介します。
ゼロエミッションとは?
ゼロエミッション(zero emission)という言葉は、1994年に国際連合大学が提唱した環境用語です。国際連合大学は、人類の存続や発展、福祉に関する緊急かつ世界的な問題を解決するための研究や発表を行う国際連合の自治機関です。
ゼロエミッションが意味するのは、本来廃棄されるだけの廃棄物を発電の燃料にするなどして、廃棄物を出さない資源循環型の社会システムです。エミッションには「排出」という意味があるため、日本ではCO2排出ゼロという意味においてもゼロエミッションという言葉が使用されています。(例:ゼロエミッション東京)
出典:EICネット一般財団法人環境イノベーション情報機構『環境用語』(2015/1/22)
ゼロエミッションが重要視される背景
高度成長期からバブル期(1980年代から1990年代前半)に、生産活動が拡大し、消費も増加しました。それに伴い、日本における産業廃棄物の排出量は1975年の2億3649万トンから、2000年には4億604万トンまで急増しています。増え続ける産業廃棄物の存在が、ゼロエミッションが重要視されている背景にあります。
現在、日本においてゼロエミッションはCO2排出量をゼロにするという意味でも使用されています。人間の活動により排出される温室効果ガスが、深刻な気候変動を引き起こしているためです。
2. 日本のゼロエミッション実現に向けた取り組み事例
日本ではゼロエミッション実現に向けた取り組みが自治体を中心に始まっています。ここでは、エコタウン事業とゼロエミッション東京の概要と実際に行われている事例をご紹介します。
エコタウン事業
エコタウン事業は、ゼロ・エミッション構想に基づき、1997年に創設された制度で、脱炭素への取り組みと地域振興を同時に推進するものです。環境省と経済産業省の共同承認を受け、プランに基づきエコタウン事業を実行すると、地方公共団体や民間団体は支援を受けることができます。2020年4月時点において、26地域と62施設が承認を受けています。
川崎エコタウン
国内で国からの承認を受けた初めての自治体です。川崎臨海部全体を対象エリアとして、4つの柱を掲げ町作りを行っています。
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企業自身がエコ化を推進。
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企業間の連携でエコ化を推進。
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持続可能な地域実現のための研究。
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企業や地域の成果を情報化し、開発途上国に貢献。
出典:環境省『エコタウン関連』
北九州エコタウン
沿岸の埋立地を中心に、様々なリサイクル工場や研究施設が集まり、リサイクルを柱としたエコな町作りが行われています。エコタウン内にはリサイクルについて見学できる施設も設置されています。
ゼロエミッション東京
東京都は2019年12月に「ゼロエミッション東京戦略」を策定し、2050年度までの脱炭素を目指しています。2021年1月に、中間目標として2030年度までに東京都内における温室効果ガス排出量を2000年度比で50%削減し、再生可能エネルギー割合を50%程度にすることを宣言しています。2030年度までの目標を達成するためにすべき取り組みは、「ゼロエミッション東京戦略2020 Update & Report」に取りまとめられています。
3. 日本企業が続々参加!ゼロエミ・チャレンジとは?
2021年3月5日時点において、325社の企業がゼロエミ・チャレンジとして認定されています。ここでは、ゼロエミ・チャレンジの概要やゼロエミ・チャレンジ企業の例をご紹介します。
ゼロエミ・チャレンジとは?
ゼロエミ・チャレンジは、経済産業省が主体で実施しているプロジェクトで、脱炭素社会実現のためにイノベーションに取り組む企業を公表することで、投資家などに投資を促すことを主な目的としています。
具体的には、イノベーションに挑戦する企業をリスト化し、企業が取り組んでいるイノベーションを見える化してTCFDサミットなどにおいて情報を公開しています。
ゼロエミ・チャレンジの事例
[1]株式会社 INPEX
東京都港区に本社を置く、国内外に石油や天然ガスなどの権益を持つ大手石油開発企業です。電気・水素・メタンのバリューチェーンの形成を目指し、核となるCO2からメタンを製造するメタネーションの技術開発に取り組んでいます。
出典:Challenge Zero『CO2-メタネーション』
[2]住友生命保険相互会社
大阪府大阪市に本社を置く生命保険会社です。製造会社だけでなく保険会社もゼロエミ・チャレンジとして認定されています。住友生命保険相互会社は、ESG投融資の推進が、イノベーションを創出につながるとし評価されています。
[3]株式会社 東芝
東京都港区にある電機メーカーです。工場から排出されたCO2を独自開発のCO2電解セルにより分解し、価値ある化学品や燃料を作り出す技術開発を行っています。
出典:Challenge Zero『Power to Chemicals 〜再生可能エネルギーを活用した二酸化炭素の資源化〜』
4. まとめ:政府や企業のゼロエミッション実現に向けた動きを理解し、企業も取り組もう!
ゼロエミッションは、廃棄物やCO2排出量をゼロにするという意味を持っています。廃棄物処理問題や温室効果ガスによる気候変動問題が顕著になっていることが、ゼロエミッションが重要視されている背景にあります。
ゼロエミ・チャレンジやエコタウン事業など日本政府のバックアップのもと、企業や自治体を中心にゼロエミッションに向けた取り組みが広がっています。日本の脱炭素に向けた取り組みの1つであるゼロエミッションへの理解を深め、企業でできる取り組みを検討しましょう!